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「くべる」は方言?くべるの意味や使い方・由来・例文

Author nopic icon水町博忠
カテゴリ:言葉の意味

初回公開日:2017年09月12日

更新日:2020年05月20日

記載されている内容は2017年09月12日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

「くべる」は方言?くべるの意味や使い方・由来・例文

「くべる」は方言?

くべるは標準語です

「くべる」という言葉を聞いて今の人はどんな反応を示すでしょうか。もしかしたら、初めて聞く言葉だと言う人がいるかも知れません。「くべる」はれっきとした標準語で、方言ではありません。この言葉になつかしさを感じ、「くべる」はきっと方言だと思っている人も多いことでしょう。それくらい「くべる」という言葉は今ではあまり使われていないようです。

この言葉が使われなくなった理由は、日本人の生活スタイルの変化によります。「くべる」は薪や紙を燃料にして火を使うときにだけ使う言葉であり、日本人が薪や紙を燃料にすることがほとんどなくなったためです。今ではどんな田舎に行っても、台所ではガスかIH調理器を使っています。昔のようにかまどで火を起こしたり、庭でたき火をする光景が見られなくなりました。

くべるという言葉はいつから始まった?

くべるは「くぶ」から始まった

くべるは古くは「くぶ」と言っていました。

平安時代前期に初めてかなで書かれたという竹取物語の中に「くぶ」の連用形「くべ」が出てきます。かぐや姫に求婚した五人の公達のうちの一人に「火鼠の皮衣」という稀少なものを持ってくるよう要求するくだりがあり、その公達は唐の商人から求めたものを持参しますが、それが真っ赤なニセモノだったのです。

本物の火鼠の皮衣は火にかけても燃えないことになっていますが、物語は「火の中にうちくべて焼かせ給うに、めらめらと焼けぬ。」と書かれており、ニセモノであることが判明します。この古語の「くぶ」が変化して、いつの頃からか「くべる」になったのです。

くべるの語源として、かまどなどの焚口を人の口に見立てて、燃料が少なくなると「腹減る」つまり「ふくへる」から薪などを焚口に追加してやることを「くべる」と言うようになったという説があります。しかし、くべるの古語が「くぶ」であることから、「腹減る→くべる」は語源としては後付けになり無理があります。

くべるはどこにアクセントを置いて発音するの?

くべるの発音はほかの動詞と同じように、東京は最初の「く」にアクセントを置くのに対し、関西では二番目の「べ」にアクセントを置きます。各地方での発音も東京式と関西式に分かれます。概して二番目の文字にアクセントを置く方がやわらかい印象を受けます。

竹取物語の作者も関西風のイントネーションをイメージして「くべて」と書いたことでしょう。

くべるの意味と使い方を知ろう

まず燃やすのが前提

くべるの意味は「燃やすために火の中に薪や紙を追加する」です。火が消えないように燃料をつぎ足すことで、この「追加する」がポイントです。燃料を追加するという行為に「くべる」という動詞が用意されています。日本語の奥の深さを感じます。

くべるという言葉を知らなくても「薪や紙を追加する」と言え変えれば事足りますが、くべると言った方が断然味のある言い方になります。

ところで、この燃やすという行為を現代人はほとんどやらなくなりました。今の子どもたちは危険なこともあってマッチすら知らない、使えない時代です。かまどなどは古民家の展示場でしか見ることができません。防火の観点からたき火やどんど焼きなども廃れつつあります。

落ち葉をかき集めて燃やすたき火もあまり見かけなくなりました。「垣根の垣根の曲がり角、たき火だたき火だ落ち葉たき、あたろうかあたろうよ、しもやけお手手がもうかゆい」という唱歌を今の子どもたちも歌っているでしょうか。ある程度の年齢の人にとってはその情景がなつかしくよみがえってきます。

落ち葉たきは、ついでに紙屑などもくべてゴミの整理を兼ねていました。また、落ち葉たきの余熱を利用して焼き芋を作ったりしました。今では落ち葉は袋詰めにしてゴミに出すのが普通です。

たき火を詠んだ俳句に久保田万太郎の「一人退(の)き二人よりくる焚火かな」があります。たき火には「たき火奉行」というか、たき火を仕切る人がいて、くべるタイミングなどをとりしきっていました。

薪などの燃料は

薪と書いて「たきぎ」とも「まき」とも読みます。これは、火の中にくべるものです。火をおこすときは薪を組んで紙など燃えやすいもので火を付けます。この場合、最初に薪を組んでセットすることは「くべる」とは言いません。くべるはあくまで火の中に薪などを追加することです。

薪は廃材や間伐材などを乾燥させまきわりで適当な大きさに割って作ります。農家やアウトドアなどでの実体験でまきわりに挑戦する機会もあります。薪を使ってご飯を炊いたり、薪をくべる体験などはアウトドア以外の日常生活ではほとんど見られなくなりました。

ナナカマドを火にくべたらどうなる

薪は燃料として炭素と酸素を結合させて完全燃焼させるのが目的ですが、木の中には薪にしないで木炭の材料になるものもあります。炭素と酸素を結合させないで炭素分を残したものが炭になるのです。これは、炭焼き窯の中で蒸し焼きにして作ります。炭の材料になる木はカシ類、コナラなどですが、ナナカマドも良質な炭になります。

ナナカマドはバラ科の落葉樹で、秋に赤い美しい実をつけることから、北海道や東北地方では市町村の木に指定したり、街路樹にしたりしています。ナナカマドの名前の由来は、七回かまどにくべても燃えないという説からです。それほど固い木なのでしょう。

くべるを使った例文を紹介します

小説に出てくる「くべる」

くべるの古語である「くぶ」が使われたものとして「竹取物語」を例に挙げましたが、近現代の小説の中で使われている例として、「吾輩は猫である」と「助左衛門四代記」を、また、川端茅舎の俳句も一句紹介します。