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「こちとら」は方言?標準語?こちとらの意味や使い方・例文

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言葉の意味 / 2017年10月22日
「こちとら」は方言?標準語?こちとらの意味や使い方・例文

「こちとら」は方言?標準語?

現在ではあまり使われないけれどよく聞く言葉や、なんとなく意味はわかっているつもりだったけれど、説明してと言われるとちょっと困ってしまう、そんな言葉があります。今回は、落語や時代劇でよく使われる「こちとら」という言葉についてご紹介します。

「こちとら」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、どんな場面でしょうか。例としては「てやんでい、こちとら江戸っ子でい」といった威勢のいいセリフでしょうか。血の気の多い江戸っ子の威張って叫んでいる様子が目に浮かびます。

さて、この時代劇などでよく聞く「こちとら」は方言なのでしょうか、それとも標準語なのでしょうか。

方言でも標準語でもない?

結論から申しますと、方言でも標準語でもありません。一部では「江戸弁」「東京下町ことば(東京弁)」と言われることがあります。

江戸弁とは、江戸(東京)の町人が使っていた言葉です。よく聞く言葉には、「てやんでい(なに言ってやがるんだ)」「するってえと(そうするというと)」「でーこん(大根)」「あたぼうよ(あたりまえよ、べらぼうめ)」などがあります。

早口で少しキツイ口調です。みなさんも聞いたことがありませんか。江戸時代の江戸っ子が、喧嘩の場面などで威勢よく使っている様子が時代劇でもよく見られます。

ちなみに、標準語とは「その国で共通とされている標準の言語」です。日本全国どの地域の人にも理解できる言葉である、NHKのアナウンサーが使うような言葉のことです。

他の地域では

「こちとら」は「江戸弁」「東京下町ことば」などと呼ばれていることからわかるように、
東京(江戸)の下町で使われていた言葉です。では、その他の地域では使われていなかったのかと気になりますが、時代劇や時代小説を見ていても「こちとら」という言葉は江戸でしか使われていませんでした。

北海道、東北、江戸以外の関東、関西、など、日本のいろいろな地域で独自の言葉(方言)があります。時代とともに言葉も変化していますから、「こちとら」のように意味はなんとなくわかるけれど、今では使われなくなった言葉もあります。それぞれの土地の言葉を調べてみるのも楽しいでしょう。

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時代劇、歌舞伎、そして、
今一過性のブームを迎えている
古典落語など、鑑賞のお手元にこれがあれば、
たいていの事は教えてくれる、
過不足なく充分な時代小説用語辞典である。

こちとらの意味・使い方

こちとらを漢字で表す・意味

「こちとら」を漢字で表すと「此方人等」となります。代名詞「こちと」に複数を表す接尾語「ら」のついたもの。一人称です。主に単数の意味で使われることが多いのですが、複数の意味でも使われることもあります。

じぶんを表す言葉なので「わたし」の意味ですが、庶民(男性)がじぶんのことをさして「おれ、おいら、わし、」などの代わりにじぶんをぞんざいに表して言う言葉でした。

「こちとら(此方人等)」と似た言葉で、「こちと(此方人)」「こなた(此方)」という言葉があります。「こちと(此方人)」も一人称の人代名詞で「わたし、わたしたち」の意味です。「こなた(此方)」は「わたし、わたくしども」の意味で、武士階級、公卿、華族など上流階級の人が使っていた言葉です。「こちら」の意味でも使われます。

「こちと」「こなた」は時代劇や時代小説の中で使われている程度で、現在ではまず使われることはありません。

こちとらはどう使う?

先に説明したように、「こちとら」は主に庶民の男性がじぶんのことをさして言う言葉です。ざっくばらんな口語ですから、喧嘩を売るときや威勢よく啖呵を切ってじぶんを大きく見せたいとき、捨て台詞として、やや乱暴な場面で使うとしっくりきます。【売り言葉に買い言葉】そんな場面での、「てやんでい、こちとら江戸っ子でい」が有名です。

中には男性だけでなく、この言葉を使う女性もいました。肝っ玉母ちゃんや元気な町娘が使うのがお似合いです。こんな女性が威勢よく「てやんでい、こちとら~でい」なんて言ったら、その場がとても盛り上がります。

江戸時代の庶民によく使われた言葉

「こちとら」は江戸時代の庶民(男性)に使われていたざっくばらんな言葉です。では一般人によく使われていた他の一人称には、どんな言葉があるでしょうか。

職業別にみると、農民・町民は「おれっち」「おいら」「あたし」「わきち」、職人は「あっし」「わっし」「わたくし(私)」、商人は「手前(てまえ)」「手前ども」、などの言葉があげられます。こちらの言葉は男性だけでなく、女性にも使われていました。

これらの言葉が少し変化した「お前(おめえ)」「てめえ」は今でも一部の人たちに使われています。

一人称以外には、「よたろう(与太郎)」(でたらめ、嘘つき)や「色めかす」(派手なふるま)や「言い訳故訳」(いろいろと言い訳をする)など、なんとなく聞いたことがある言葉もあります。

身分によって使う言葉が違う

江戸時代を背景とした小説や落語、映画などで庶民の暮らしぶりを見てみると、その身分によって、いろいろな違いがみられます。江戸時代には身分による格差があったのでしょうか。調べてみると、服装や生活の程度にも違いがありましたが、「こちとら」以外の言葉にもその身分が表れていたことがわかります。

庶民が使う言葉については、上記で触れました。では、武士はどうでしょうか。江戸時代に存在した武士は支配階級にあたるので、庶民が使うような一人称は使わず、「手前」「拙者」「それがし(某)」「みども(身共)」などの言葉を使っていました。

イギリスのように今でも貴族制度のある国がありますが、言葉の使い方、発音などでその身分がわかるものだといいます。日本でも身分制度のあった時代には、服装だけでなく言葉遣いでもその身分がわかってしまうものでした。

江戸時代の身分制度

江戸時代の身分制度についての追記です。

一定以上の年齢の方は、江戸時代には「士農工商」という身分制度が存在した、と学校の社会科や歴史の授業で教えられました。その内容は、「士(武士)、農(農業従事者)、工(工業従事者)、商(商業従事者)」の順で身分が決まっていたというものでした。

近年研究が進み、最新の学説では、江戸時代には厳格な意味での身分制度はなかったとされています。「士農工商」は単なる職業分類だったということです。平成12年度以降の教科書からは「士農工商」の言葉はなくなりました。

こちとらを使った例文

「こちとら」は方言?標準語?こちとらの意味や使い方・例文

こちとら自腹じゃ、など

今ではほとんど使わなくなった言葉ですが、時代劇や時代小説では時々耳にしたり見たりします。では、どんな使われ方をしていたのか、少し例をあげてみてみましょう。

「こちとら江戸っ子でい」「こちとら気がみじけえんでい」「こちとら遊びじゃねえんだよ」「こちとらとおの昔にお見通しでぇ」などと威勢よく見せるような使い方があります。「こちとら~」は現代風に言うと「~だから、オレのことなめんなよ」です。少し丁寧な言葉にすると「~だから、こちら(わたし)のことを見くびらないでくださいよ」といった意味になります。

また、「こちとら自腹なんでねえ、ハハッ」「こちとら形見がせまいねえ」などと自虐的に使うこともありました。こんな言葉を聞いていると、なんだか江戸っ子って憎めない気がしてきませんか。

町人文化の栄えた時代の言葉

一度は耳にしたことがある「こちとら」。「どんな意味?」、「どんな人が使っていたの?」など疑問を感じて調べてみると、いろいろなことがわかりました。言葉そのものだけでなく、その時代背景をみてみると、その時代の人々の暮らしぶりが目に浮かんできます。

特に江戸時代は265年にも渡る安定した時代でした。町人文化が栄えた時代もあります。人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世絵など、この時代に発展した文化は今では世界中で有名です。

映画やテレビドラマ、小説に落語。江戸時代を題材にした作品は多くありますから「こちとら」のことばを聞く機会も多くなります。みなさんも、この威勢のよい「こちとら」ということばを耳にしたら、楽しい気分になりませんか。

もっと詳しく知りたい方はこちらをオススメ

普段からなにげなく使っている言葉でも実は方言だったということもあると思います。
しっかり言葉の意味や使い方などを知っておくとどんな場面でも困らないと思うので、勉強しておくといいでしょう。

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