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表千家と裏千家の違い|歴史/作法/点て方/道具/ふくさ/お茶

Author nopic iconぐく
カテゴリ:文化

初回公開日:2017年10月14日

更新日:2020年03月09日

記載されている内容は2017年10月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

表千家と裏千家の違い|歴史/作法/点て方/道具/ふくさ/お茶

表千家と裏千家の違いとは?

みなさんは、表千家、裏千家という名前を耳にしたことがあるでしょうか。これらは茶道の世界の用語です。名前だけ見ると表と裏とついているので何かが反対のようにみえるでしょう。では、実際はどうなのでしょうか。表千家、裏千家とはいったい何なのか、また、どんな違いがあるのかを紹介します。

お茶

そもそも茶の文化は中国から日本にやってきたものでした。初めて茶に関する情報が日本に入ってきたのは、中国がまだ唐の頃だったと言われています。しかし、その時点では茶は日本人の多くに知られることはありませんでした。

その後も何度か茶が日本に持ち込まれることはありましたが、なかなか日本に根付くことはなく、ようやく茶が日本に広がりはじめたのは室町時代でした。その室町時代に生まれたお茶の文化がわび茶のもととなり、最終的には現代まで続く茶道へとつながります。

茶道

そして、室町時代に生まれたわび茶というお茶の楽しみかたは、安土桃山時代に千利休によって今の茶道の形として完成されました。茶道が今の形態になった初期はまだ、様々な名前で呼ばれていましたが、その後江戸時代初期には茶道という名前が定着しました。

また、茶道とは茶をたてるだけでなく、それをお客様に振る舞うところまでを含めてを指します。中国からやってきた茶という文化が形を変え、日本独自の文化になったものが茶道だということです。

千利休

先述の通りですが、今の茶道の形を完成させたのは千利休です。そして、今回ご説明する表千家、裏千家とは、実はこの千利休の子孫たちが受け継いでいる茶道の流派のことです。したがって、全く別のものではなく、いわゆる本家、分家の関係にあたるのが表千家、裏千家です。

武者小路千家

ところで皆さん、「武者小路千家」という名前は聞いたことがあるでしょうか。表千家、裏千家ほど知名度はありませんが、この「武者小路千家」も、千利休の子孫の流派です。表千家、裏千家と合わせて三千家と呼ばれることもあります。宗家が京都市上京区武者小路通り小川東入にあり、これが名前の由来になっています。

表千家と裏千家の歴史

千家はなぜ分裂したのか?

表千家、裏千家が千利休の子孫だということは先ほども述べました。では、どうして一つの流派ではなく、わかれているのでしょうか。ここで少し、表千家、裏千家の歴史をたどってみましょう。

千家が分裂するまで

千利休の没後、千家は、千利休の息子小庵、その息子宗旦と受け継がれていきました。この時点では千利休の後を継ぐ一つの流派でした。しかし、三代目であった宗旦は正保3年(1646)に隠居し、家督を三男の江岑宗左に譲ります。

そして、自分は、屋敷の裏に隠居所を作りそこで四男の仙叟宗室と暮らしました。その後、隠居所だった屋敷が宗室に譲られると、宗室は裏千家おこしました。また、家を離れていた次男の一翁宗守も晩年千家へと戻り、武者小路千家をおこしました。

表千家、裏千家をつくったのは?

つまり、宗旦とその息子達によって今の表千家、裏千家、武者小路千家は出来上がったということです。そして、ここで表千家、裏千家の名前の意味もわかります。名前の由来はシンプルに、元々あった屋敷の裏でおこった千家だから裏千家。別に対立していた、などということは無かったのです。

表千家と裏千家の作法の違い

作法の違いはあるのか

では、表千家、裏千家が何かわかったところで、この二つの違いについて探っていきましょう。まずは、作法に違いがあるのかどうかですが、勿論違いはあります。

元々同じ流派ですので、基本の進め方やわび茶の精神などに変わりはありません。ただし、わかれてから長い年月を経て細かい部分で多くの違いが生まれました。作法の違いは多くあるので、今回はいくつかだけご紹介していきます。

移動する

一つ目は、誰もが行うことですので移動についての作法から。

まず表千家は、部屋に入る際は左足から入り、一畳を6歩で進みます。立ち上がる時は両足を揃え、一気に立ち上がります。対して裏千家は、部屋に入る際は右足から入り、一畳を4歩で進み、立ち上がる時は片足を立ててから立ち上がります。

知らない人からすれば、足の出し方や歩数にまで決まりがあるのかと驚かれるでしょうが、茶道では畳のへりを踏んではいけないという大前提があるため、歩き方についてはまず覚えなければならない作法の一つです。

ちり打ち

ちり打ちというのは、ふくさを三角形にして持ち、少しゆるめながらポンッと音を出す動作のことです。この動作は、表千家ではいつでもやりますが、裏千家では上級のお点前の際にしかやりません。

お茶をお出しする

お点前については後でご紹介しますが、点てたお茶をお客様にお出しする時にも作法の違いがあります。表千家では、お客様の前で茶碗を反時計回りに回してからお出しします。一方、裏千家では、茶碗を時計回りに回してからお出しします。また、表千家では、お出しする前に体をお客様から斜めにしますが、裏千家ではそのような動作は必要ありません。

お茶碗を拝見する

最後に、客側の作法も一つご紹介します。茶道では、お点前を頂戴した後お茶碗を鑑賞させていただきます。その時、表千家では、畳のへりの内側で、裏千家では、畳のへりの外側でお茶碗を拝見します。お茶碗を拝見する時以外でも、畳のへりの内側か外側かというのは気にされるポイントです。

表千家と裏千家の道具の違い

ふくさ

表千家と裏千家では、お作法の違いはいくつかありますが、お道具に関してはあまり変わりありません。ただ、ふくさだけ少し違いがみられます。

男性はどちらの流派でも紫色を使用するものなのですが、女性は表千家が朱色、裏千家が赤色を使用することを基本にしています。とはいえ、最近では正式なお茶会などで無ければどんな色のふくさを使用しても良いとおっしゃる方もおられるので、近所でお稽古するだけの人はそれほど気にしなくても良いでしょう。

また、裏千家には薄茶を運ぶ際に用いる古帛紗というものがありますが、表千家にはありません。

表千家と裏千家の点て方の違い

お点前

表千家と裏千家のお点前には大きな違いがあります。それは、出されたお茶をみればあきらかです。表千家のお茶は、泡が少なめで、泡の無い部分が半月状になるように点てられます。一方、裏千家のお茶は、泡が多めで、お茶の表面がキメの細かい泡で覆われるようにします。世間一般的にお抹茶と聞いて想像するのはだいたい裏千家のお抹茶ではないでしょうか。

また、入れるお抹茶の量も表千家の方が少ないため、泡の量も必然的に少なくなります。

茶道教室は表千家と裏千家どちらがいい?

茶道を習おうとしている方によくある疑問が「表千家と裏千家のどちらで学ぶのがいいのか」というものです。しかし、ここまで読んでいただければわかると思いますが、表千家と裏千家には細かな差異はあれど、どちらが優れているということはありません。あくまで、方法が少し違うだけであって、学ぶことは同じ『茶道』です。

したがって、もしどちらかを選ぶとすれば「どちらが良いか」ではなく、たとえば、泡立てるタイプのお抹茶か泡立てないタイプのお抹茶のどちらが好きかなど「どちらが好みか」を判断基準にしてください。

表千家と裏千家は兄弟筋の流派なだけ

表千家と裏千家とは何か、また、その二つの違い、わかっていただけたでしょうか。この二つは、千宗旦の息子の代でわかれただけで、元は千利休の血をひく茶道の流派でした。

また、名前の表と裏も、裏千家のお屋敷が表千家のお屋敷からみて裏にあたる位置にあるだけで、反対勢力などということもありませんでした。長い年月の中で作法やお点前に多少の違いは生まれましたが、お茶を点て、お客様をもてなすという茶道の元々の目的はどちらも変わりません。

これからお抹茶を飲むときは、ぜひ今回ご説明した表千家、裏千家について思い出しながら楽しんでみてください。