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「加虐心」の意味と例文・反語・類語・読み方|煽られる

Author nopic iconKaname
言葉の意味 / 2017年11月17日
「加虐心」の意味と例文・反語・類語・読み方|煽られる

「加虐心」どう読むの?

「かぎゃくしん」と読みます。加虐したい心境を表します。読み方が分かったところで、続いて「加虐」の意味を紹介します。

「加虐心」の意味

「加虐心」とは、動名詞「加虐」に名詞「心」をつけて心情を表現した言葉です。では、「加虐」とはどんな意味なのでしょうか。

・【大辞泉】むごい仕打ちを加えること。いじめ苦しめること
・【大辞林】他人に苦痛や屈辱を与えること。しいたげ、いじめること

「加虐」とは

「加虐」とは、しいたげる行為や言葉を他者に加えることです。対象に屈辱を感じさせたり、人格否定をすることなども「加虐」の一つです。「加虐」は、辞書的な意味だとよい印象を抱くことがないネガティブな意味で使われる場面が多いです。

なぜなら「しいたげる」とは、漢字で「虐げる」と書きますが、「虐待」「虐殺」など、他者に苦痛や痛みを与える行為に「虐」の文字が当てられることからも「加虐」が(行う本人の自覚があるかどうかに関わらず)他者に肉体的・精神的ダメージを与える言動を表す言葉だからでしょう。

「いじめ」とひらがなで表記されることが多いのですが、この言葉も本来は「虐め」「苛め」という漢字が当てられます。「加虐」とは多くの場合、人に恐怖心や嫌悪感など、ネガティブな印象を与える言葉です。

では「加虐」に「心」が付け加わった「加虐心」とは?

「加虐」は、他者を暴力、言葉、人格否定などの手段を用いて他者をしいたげる行為だと分かりました。つまり「加虐心」とは「加虐」を欲する「心」、他者をしいたげたい、いじめたい、苦痛や屈辱を与えたいという心情・感情を表す言葉です。

「加虐心」の例文

意味がわかるとネガティブな印象を抱いてしまう「加虐心」という言葉ですが、論文やビジネス文書、小説などで使うとしても、どう扱えばいいのか戸惑うこともあるでしょう。また「加虐心」を目的語とした場合、主語に当たる人物が受動形になるのか能動形になるのか、と動詞の形に迷うこともあります。この項目では、具体的な文例を挙げてみます。

加虐心をくすぐる

【例文1】が過剰に自分のミスを恐れ、肩をすくませながら涙目で私の顔を盗み見た。思いもよらず加虐心をくすぐられたわたしは、嫌味な物言いで執拗に部下のミスをいつまでも糾弾してしまった。

【例文2】作家の作品は、常に暴力で読者の加虐心をくすぐるため批判的なレビューが多くつく。その一方で、加害者が不幸な結末を迎えることにより読者が「加虐心をくすぐられる程度でよかった」と、自分の正常さを確認させてくれる良作、と高評価のレビューも同程度見受けられるので興味深い。

「加虐心」を持つ側が対象者や対象物からなんらかの言葉や行動を受けて「いじめてやりたい」「屈辱を与えてやりたい」と感じるので、動詞は受動形になります。【例文1】では、主語になる「私」がかぎゃくしんを持つ者なので受動形です。【例文2】では「作家」が主語で目的語である「読者」が加虐心を持つ者なので、動詞は能動形になります。

人は多かれ少なかれ、かわいさ余ってのことだったり、少しムッとしたりというシーンで、つい「いじめてやろうかな」とおもってしまうこともあるでしょう。犯罪を予期させるほど深刻な加虐心ではないと遠回しに伝える手筋として「くすぐる」というささやかな刺激を表現をすることが可能です。

加虐心を煽られる

【例文1】勝ち気で生意気だとしか思えなかった彼女の双眸は、慈悲を乞う弱々しい光を辛うじて維持しているだけだ。その落差がますます彼の加虐心を煽り、彼はうっすらと微笑みながら、今度は彼女の頭蓋目掛けてハンマーを振り下ろした。

【例文2】SMとは、根底に互いの信頼があって初めて成り立つ関係である。一見Sが主導権を握り、加虐心を煽られるがままにMをしいたげていると思われがちだが、実はMがどうしいたげて欲しいのかを解った上で、それに応えている。言わばMの望む形で加虐するSの愛情表現なのだ。

「くすぐる」という程度では済まない激しい加虐性を表現するときは「煽る」「煽られる」というより強い言葉で対象者の激情を表現する手法があります。激しい嗜虐心を表すため、【例文1】のような緊迫したシーンの演出や【例文2】のような、最後に唱える逆説を強調するために強い表現を用いて効果的な演出をすることが可能です。

加虐心を刺激する

【例文1】助手は、初めて教授の意外な一面を知って加虐心を刺激された。いつも見下す態度でご高説を垂れるこの男に、こんな弱点があったのかと思うと、これまで自覚さえなかった獰猛な自分が顔を覗かせる。

【例文2】映画やゲームにはレーティングがあるのに、書籍には前述のような明確で細かなレーティングがされておらず、読者の加虐心を刺激するような暴力描写や、性描写をされている書籍が一般書店の棚に並んでいるのを問題視する者もいる。しかし、暴力や性暴力の悲惨さを読者へ訴えるためにはそういった表現をしなくては伝わらない、という肯定派の主張も一理ある。

加虐心が自分の中にもある、とはなかなか認められないものです。それほどネガティブな語彙ですが、どこかで自覚があるものの意識しないようにしている、または無自覚な状態だったところを、不意に見せられた言動によって自覚してしまう場面などのときに「刺激する/される」と表現することで、言外に読者へ対象者が自覚していく様を伝えています。

以上、文章の内容ではなく、あくまでも「加虐心」を使った文章を作るということにスポットを当てて例文をいくつか挙げてみました。参考になりましたか。次の項目では「加虐心」の対義語や類語についてのお話をご紹介します。

「加虐心」の対義語

「被虐心」?

「加虐」の対義語は「被虐」、いじめられしいたげられること、苦痛や屈辱を味わわされること、という意味の言葉です。それでは「加虐」に「〇〇したい」という気持ちを表す「心」を付け加えた「加虐心」の対義語は「被虐心」なのではと思う方が多いでしょう。

対義語として「被虐心」もあるだろう、と推測してしまうのは、似た言葉だと感じられる「加虐性愛(サディズム)」「被虐性愛(マゾヒズム)」が存在しているためでしょう。マゾヒズムは、いじめられたり、苦痛や屈辱を与えられることによって性的興奮を刺激される性的嗜好を差します。

「加虐心」の対義語は存在しない

調査してみたところ「加虐心」の対義語は存在しませんでした。それもそのはず「加虐」の場合は、それ自体が目的であるのに対し、「被虐」は受動的な立ち位置であり、本能的な生存欲求という観点から鑑みても、自ら欲するものではないからです。

しかし、マゾヒズムのように被虐を肯定的に捉えることができる場合や「いじめられたい心理」もある、という反論を思い浮かべる人もいるでしょう。

しかし、それらはしいたげられることそのものが目的ではありません。心理学の話になってしまうため詳細は割愛しますが、そういう考えの人の中には、それぞれの成育歴や環境によって思考の癖がゆがめられ、しいたげられることや屈辱を受け入れることによって赦されたい、という「別の目的」があるからとのことです。

「虐げられることそのものが目的」という人間が存在しないため、「加虐心」の対義語としての「被虐心」は存在しない、ということなのでしょう。

「加虐心」の類語

嗜虐心

「嗜虐心」は、しいたげたり苦痛を与えたりすることを好ましく感じる感情です。「加虐心」と日本語の漢字表現だと難しく感じてしまう人もいるでしょう。

ですが、本来の「性的嗜好の分類の一つ」としての意味ではなく「キツい物言いや冷たい態度を取る」という意味合いを表す俗語として日常会話でもしばしば聞く「サディズム=S」も「加虐心」を表現する言葉の一つでしょう。

ただし、一部ではサディズムの意味を歪曲させているという批判もあるので、TPOを考慮して使う必要があります。

暴虐心

「暴虐心」と一つの言葉にされるよりも「暴虐の~」という表現で用いられることが多い類語ですが、「暴虐」も「加虐」と同じく「むごいこと、乱暴で残虐な行為で人を苦しめること」です。「加虐」よりも激しい表現です。

「加虐心」とは「いじめたいという情動」のこと

「加虐心」について、辞書から意味を知り、そこから文例を挙げて実際の使用例をご紹介しました。また、加虐心の意味を理解するために、対義語や類語もご紹介してみました。

・「加虐心」は「加虐」という動名詞と「心」という名詞が組み合わさった言葉
・「しいたげたい」「いじめたい」「屈辱を味わわせたい」という気持ち
・「加虐心」を持つ対象の受動形で使われる

小説であれば、その気持ちや行動から登場人物の性格を読者に印象付けるスパイスにもなり得ますし、いじめや差別などの論文を書くときにも印象に残る強烈な言葉になるでしょう。