真摯さの意味とは
他にも
・「真摯に対応」
・「真摯に取り組む」
・「真摯に耳を傾け」
・「真摯に反省」
・「真摯に向き合う
・「真摯な姿勢」
・「真摯な気持ち」
・「真摯な口調」
など、いろいろなフレーズがあります。悪い意味が含まれているようには思えませんが、正確にはどのような意味なのでしょうか。「真摯」は国語辞書によれば「真面目で熱心なこと」、「真面目でひたむき、事を一心に行う」などの意味とされています。
ドラッカーの言う真摯さとは
ドラッカーってどんな人?
2010年から2013年にかけて300万部近い大ベストセラーになった岩崎夏海さんの小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」でドラッカーブームに火がつきました。ドラッカーは著書「マネジメント」のなかで、マネージャーには「真摯さ」が必要ということを説いていますが、この「真摯さ」にはより深い意味があるようです。
ドラッカーが説く真摯さという資質とは?
「integrity」は英和辞書では「正直、誠実、高潔、廉直」などと訳されていて、細かなニュアンスは解りません。英英辞書で見ると「the quality of being honest and strong about what you believe to be right」とされていて、「自分が正しいと信じていることについての正直さ、誠実さとその思いの強さの資質」というところでしょうか。正直さ、誠実さに加えて、正義とか信念、強く変わらぬ意思、実行力といったキーワードがあるようです。
つまり、ドラッカーの言う「真摯さ」、「integrity」は「正義に対する強い信念に基づいて一貫した正直さと誠実さで、一所懸命に仕事などの使命に取り組む資質のこと」と言えるのではないでしょうか。仕事での真摯さやリーダーとしての真摯さなどについてドラッカーは数々の提言をしています。
仕事での真摯さとは
仕事に対する真摯さで大切なのは、その仕事によって期待されている使命、成果をなんとしてでも仕上げるという粘り強さと強い意思です。その前提としてその仕事が正しいこと、仕事に正義がなければなりません。仕事の遂行の仕方のなかに正義がある場合もあるかもしれません。
リーダーとしての真摯さとは
理想のリーダーは?
「家庭の医学」の出版などで知られる保健同人社が、管理職にとっての「理想の上司イメージ」一覧を発表しています。
1 面倒見が良い
2 責任感が強い
3 配慮ができる
4 分析力がある
5 創造性に富む
真摯さのなかの責任感や面倒見、配慮といった項目と、真摯さで問われる何としても仕事を成し遂げるための実務能力である分析力や創造性が挙げられています。リーダーとして真摯さという資質は欠かせないようです。
ドラッカーが説くリーダーの資質は真摯さ
1.強みよりも弱みに目を向けるものをマネージャーにしてはならない。
2.何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネージャーに任命してはならない。
3.真摯さよりも、頭の良さを重視する者をマネージャーに任命してはならない。
4.部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。
5.自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネージャーに任命してはならない。
真摯さを伝えるためにはどうしたらいいのか
経験や行動を共有することができれば、そのなかでの真摯さを伝えたり、あるいは感じ取ってもらえるかもしれません。共に行動し経験することで、正義とか信念に基づいて正直に、誠実に一所懸命取組む姿勢が一部分でも伝えられことでしょう。経験は最高の学びの場なのです。
意見が対立することもあるかもしれませんが、対立させないと良い案や良い結果というものは出てこないものです。「相手や部下からの反対意見にいかに寛容であるか」ということが重要なポイントで、議論を通じて真摯な対応に結び付けていくことが望まれます。
仕事だけでなくライフスタイルも真摯に
正しいものは何か?正義は?真剣に熟考して自分の道を選択します。こうだと決めたらそれを実現するために一所懸命に誠実に取り組みます。真摯に取り組めば困難な道も開け甘い果実が成果として得られるでしょう。このような経験、スキルを得ておくと生きていくなかでの自信になって、普段の生活もリラックスして過ごせるようになるのではないでしょうか。生活のなかでも「真摯さ」に基づく行動はおすすめできるスキル、資質なのです。