一貫性がないという意味
「一貫性がない」というのは、主に以下の5つのような意味になります。
1.全体の調和がとれていないさま。
2.方針、方向性が度々変わるさま。
3.論理が筋道だっていないさま。
4.言動や信念が一貫していない、時と場所にそぐわない様子。
5.事態や方針がすぐ変わる様子。
コロコロ変わる、二転三転する、筋が通らないなど、この言葉だけからだとマイナスな印象が強いようです。
一貫性がある人というのは、仕事をする上でも、人間関係の構築においても信頼を得やすい人といえます。一貫性がないと言われるのは、喜ばしいことではありません。ここでは、一貫性がないと言われる人の特徴、そもそも一貫性とは何なのか、一貫性をもつことのメリット、デメリットをご紹介していきます。
自分には一貫性があるのかないのか、あてはまることを思い浮かべながら読んでみてください。
一貫性がない人の特徴
一貫性がないと言われてしまうとマイナスな印象が強く、ショックを受けてしまうかもしれません。以下に一貫性がない人の特徴をいくつかご紹介していきます。普段の自分、知人や家族の言動、行動を思い起こしながら、読んでみてください。
言ってることが毎回違う
例えばあなたが新入社員だったとします。初日に上司から作業についての説明を受け、しっかりメモに取り、翌日そのままを実行していて、それは違うと注意されたとするとあなたはその上司に対して、不信感を抱きます。
その場その場で言ってることを変えられると、一貫性がないと捉えられる可能性は高まります。
誰にでもよい顔をする
誰に対しても、その相手に好かれようと自分の意見をコロコロ変えてしまう、そんな人は一貫性がないとすぐに見抜かれてしまいます。
自分の意見をいつでも主張すべきということではありませんが、相手の顔色ばかりを窺い自分の意見を変えることは、信頼を失うことに繋がりかねません。
流されやすく、責任感がない
一貫性がない人は、芯が揺らぎやすいので、他人の考えに流されやすいという特徴があります。簡単に流されてしまうのは、自分の意見に責任感がもてないからなのです。自分の意見を最後まで貫き通すことは、責任感が伴います。
一貫性のない人は、その責任感を負うことから逃げているともいえます。
物事を長期的に捉えていない
一貫性のない人は、その場で思いついたことをすぐに発言したり、行動に移したりします。もちろん、そのような行動力がいい方向に転ぶこともありますが、その場しのぎの行動になっていることが多くあります。それは物事を長期的に捉えず、目の前のことにのみ捉われている可能性があります。
一貫性のある人は、物事を長期的に捉えることで、先を見据えた行動、つまりその人にとって一貫性のある行動が自然とできてしまうのかもしれません。
一貫性の原理、法則
それでは一貫性についてその原理と法則をご紹介していきます。人は自分の決めたことや、ある立場を明確にすると最後まで一貫性をもった態度を取ろうとする心理が働きます。
一貫性の原理は人の行動を動機づける強力な力を持っています。人は積極的に関わる、責任をもって取り組むことでその立場を一貫させようと強い力が働くのです。これが一貫性の原理です。
ではなぜ、人は一貫性を保とうとするのでしょうか。
その理由は以下の2つが考えられます。
1.社会的に一貫性への評価が高いから。
2. 簡単だから。
1.社会的な一貫性への評価
一般的に一貫性のある人は、信頼できる誠実な人というイメージがあります。どんな場面でもどのような人に対してでも一貫した態度、言動で相手を裏切らないというイメージです。反対に一貫性のない人は、気まぐれで頼りにならないというイメージです。人は社会的に高評価を得たい、自身が信頼を得る人物だと示したいので一貫性を保とうとすると考えられます。
一貫性をもつことは意外と簡単
一貫性をもつということは、意外と簡単なのです。なぜなら、一貫していることとは脳が「習慣化」された思考回路を自動的に使おうとすることだからです。
人はなるべく悩んだり、考えたりせず過ごしていたいと感じています。そのようなときに、脳が自動的に習慣化された思考回路をたどってくれればとても楽なのです。
一貫性をもつことのメリット
一貫性をもつことは、自分の中に核となる考え方があり、その為に言動や行動がぶれなくなるので
責任のある仕事などを任されやすくなります。
以下に一貫性をもつことのメリットをご紹介していきます。
信頼が得られる
一貫性をもっている人は、常に一つの目標や考えをもって行動しているため、周りから信頼を得やすいというメリットがあります。どんなトラブルが起きても、こうしたい、こうすべきと核が定まっているので、迅速に正しい行動が起こせるのです。
そのような行動が評価され、責任ある仕事を任されやすくなります。
誰に対しても対等でいられる
一貫性をもっている人は、どのような人に対しても平等に接することができます。なぜなら、自分の考えがしっかりとしているので人の意見に流されることが少なく、常に毅然とした態度でいられるからです。
目上の人に対しても気を遣いすぎることなく、自然な態度で自分をもっていることができるのです。また、部下や後輩に対しても筋の通った言動や、行動で対等な関係を築くことができます。
応援してもらいやすくなる
一貫性をもっている人は、いつも言動、行動が一貫しています。その為、「あの人、いつもこれがしたいと言っているな、これが欲しいと言っていたな。」など思い出してもらいやすく、小さなことでも応援してもらえる機会が増えます。
小さな機会でも応援してもらえることや、思い出してもらえることはとても重要です。そこから更にコミュニケーションが広がることもあるので、普段から一貫性をもって自分の考えを発信することはとても重要です。
一貫性をもつことのデメリット
ここまで、一貫性をもつことのメリットをご紹介してきましたが、その場面や加減によってはデメリットとなり得ることもあります。一貫性をもつということを意識し過ぎるあまり、意固地になってしまうと融通の利かない人だという印象を与えてしまうかもしれません。
以下に一貫性をもつことの具体的なデメリットをご紹介していきます。
柔軟性がないと思われる
一貫性をもつことばかり意識していると、こうでなければならないと自分の中で決めつけてしまい他人のいうことを受け入れられなくなる事があります。自分の中にルールを決めて信念をもつことは大切ですが、度が過ぎるとただのわがままだと捉えられても仕方がありません。
自分の考えはこうだけれど、この状況ではこうした方がよさそうだと想像力を膨らませ、柔軟に対応することで信頼を得ることができます。
相手と対立してしまう
この世の中には多くの人がいて、その全ての人によって考え方は様々です。一緒に何かを成し遂げようとした場合、一人の力だけではどうにもならないことがほとんどです。
違う意見をもった人々が、よりよい結果を生むために話し合い、時には妥協点を探しながら物事を成し遂げていきます。そのような場面で、一人が自らの一貫性を維持するためだけに行動すると当然対立が生まれます。
対立して前向きな結論がでるという場面もあるかもしれません。対立が生まれること自体がマイナスではありませんが、あまりに意固地になることは生産的ではありません。
小さく柔軟な対応をしながら、大きな核をもって行動する
ここまで述べてきたように、一貫性をもつことにはメリット、デメリットそれぞれがあり、必ず一貫性をもたなければと意識しすぎることはマイナスなイメージを与えてしまうかもしれません。
しかし、仕事をする上、日々の暮らし、また人間関係の構築において、自分の中に核となる考え方があって行動していくと自分自身も楽になれるでしょう。
自分の中の核をもつことが、一貫性をもった言動や行動につながり、自然と周りからの信頼も得やすくなります。まずは自分を楽にするためにも、一貫性をもった行動を心がけてみるのもいいかもしれません。