マリーゴールドの花言葉を知っていますか?
鮮やかなオレンジや黄色の花のマリーゴールドは、次々と花が咲くことで長い間楽しめる花として人気があります。比較的安価で育てやすいマリーゴールドは、ガーデニング初心者にはピッタリの花とも言えます。
害虫除けにもなるというので、虫の苦手な人は花壇に植えたり畑の周りに植えたりする人もいるようです。
親しみやすいこのマリーゴールドという花はどんな花なのでしょうか。どんな花言葉を持つ花なのか、どういう意味を持ちどんな由来があるのかなどを詳しく見てまいりましょう。
マリーゴールドってどんな花?
マリーゴールドは英語で marigoldと書き、日本ではそのままの読み方で呼ばれています。学名はTagetesで紀元前8世紀から紀元前1世紀頃にイタリア半島中部にあった都市、エトルリアの神ターゲスからきています。
アメリカ大陸に約50種類アフリカには1種だけ分布していますが、すべてメキシコ原産です。アフリカンマリーゴールドやフレンチマリーゴールドのように、名前の頭にアフリカンやフレンチとつく呼び方をする種類のものもありますが、アフリカやフランスに自生していないので関係はありません。
分類からいうと、キク科コウオウソウ(紅黄草)属、あるいはマンジュギク(万寿菊)属になります。マリーゴールドは種類によって和名を万寿菊や千住菊といったように、数字の万や千がつくものがあります。これは花の大きさではなく、開花期間の長さの違いによるものです。
マリーゴールドの種類は?
50種あるというマリーゴールドはオレンジや黄色といった様々な色や、花の形が八重咲だったりボール状であったりします。どんな種類があるのか主なものをあげて、その特徴をご紹介します。
アフリカン・マリーゴールド
アフリカン・マリーゴールドは学名をtagetes erectaといい和名は千寿菊または山椒菊です。色は黄色やオレンジ色で、大きなボール状の花を1輪ずつ咲かせます。花の大きさは5~10㎝位まであり、とても見ごたえがあります。アフリカンという名前はスペイン人がアフリカに持ち込み、北アフリカで野生化して咲いていることからきていると言われています。
フレンチ・マリーゴールド
フレンチ・マリーゴールドは学名をTagetes patulaといい、和名は紅黄草、孔雀菊、万寿菊です。色は黄色やオレンジ色のほかに赤や斑入りのものもあります。花の大きさは5㎝位で一重咲きや八重咲、二色咲など様々です。フレンチという名前は、フランスのパリからこの花が広まったことからきています。
メキシカン・マリーゴールド
メキシカン・マリーゴールドは学名をTagetes tenuifoliaといい、和名は細葉孔雀草、姫孔雀草です。色は黄色や赤銅色でたくさんの花をつけます。花の大きさは2~3㎝ほどで基本的に小さな一重咲きです。
レモン・マリーゴールド
レモン・マリーゴールドは学名をTagetes lemoniiといい、日本でもそのままレモンマリーゴールドといいます。ほとんどのマリーゴールドが一年草なのに対し、レモンマリーゴールドは多年草で宿根マリーゴールドとも呼ばれます。
標高1200~2400mの山岳地帯に自生しているため、マウンテンマリーゴールドとも言われます。その名の通り花の色はレモン色、大きさは3~4㎝位で花付きが良く次々と花を咲かせます。
花言葉がたくさんあるマリーゴールド
マリーゴールドは様々な色や形など種類が豊富なことから、花言葉もたくさんあります。色や種類に関係なくマリーゴールド全体の花言葉は三つで「悲しみ」「嫉妬」「絶望」です。
何ともネガティブな花言葉ばかりが並びます。なぜこのような花言葉ばかりなのでしょうか?
他の花言葉は色や種類によって違いがあり、この中にはポジティブなものもあります。ネガティブなものポジティブな意味のものをまとめてみると次のようになります。
〈ネガティブな意味の花言葉〉
・嫉妬 ・絶望 ・悲しみ ・悲観 ・悲嘆 ・別れの悲しみ ・下品
〈ポジティブな意味の花言葉〉
・戦士 ・信じる心 ・悪を挫く ・健康 ・生命の輝き ・友情 ・生きる
・濃厚な愛情 ・変わらぬ愛 ・可憐な愛情 ・信頼 ・預言
この中から主なものを取り上げて、なぜこのような花言葉なのか、どういった意味があるのかをご紹介していきましょう。
マリーゴールドの花言葉の意味と理由について
たくさんの花言葉を持つマリーゴールドはなぜそのような花言葉がつけられ、どういった意味を持つのでしょうか。一つ一つ詳しく見ていきましょう。
「嫉妬」という花言葉について
種類に関係なくマリーゴールドの花全体には嫉妬という花言葉があります。色鮮やかな花が多いマリーゴールドになぜこのような花言葉がつけられたのでしょうか。
それはギリシャ神話によるものとされています。ギリシア神話の主神ゼウスの息子である太陽神アポロンは美しい神でした。水の妖精クリスティはそのアポロンに恋をしていましたが、アポロンにはすでに王女レウトコエという恋人がいました。
クリスティは娘のレウトコエがアポロンと恋人同士であることを父親である王様に告げ口すると、王様は怒り娘を土に生き埋めにしてしまいました。クリスティは自分のせいで恋人のレウトコエを死なせてしまったことを悔やんで、9日間ずっと太陽(アポロン)を地面に座って見続けました。
座り続けていたクリスティの身体は、いつしか太陽に向かって咲く黄色の花にかわってしまったということです。
この花がマリーゴールドであり、花言葉が「嫉妬」になった理由です。またこの神話から嫉妬に狂ったという意味での「下品」という花言葉や、慕い続けたといういい意味での「可憐な愛情」という花言葉にもなったということです。
「絶望」という花言葉について
絶望というマリーゴールドの花言葉もギリシャ神話によるものです。太陽神アポロンは女性はもちろん男性からも慕われる人格の持ち主でした。あるひとりの美少年クリムノンもアポロンに憧れ、アポロンが太陽神であることから毎日太陽を見つめていました。そしてアポロンもクリムノンに好意を抱くようになります。
このことを知った雲の神は嫉妬して太陽を雲で隠してしまいました。アポロンに会えない日が8日間続き、クリムノンは悲しみのあまり倒れてしまいそのまま息を引き取ってしまいました。そのことを知ったアポロンが彼を美しいマリーゴールドの花の姿にかえたということです。
アポロンに会えなかったために亡くなったクリムノンの心情から、「絶望」という花言葉になったということです。
「別れの悲しみ」という花言葉について
別れの悲しみという花言葉は、マリーゴールドによく似た花、キンセンカの花言葉になります。キンセンカはポットマリーゴールドとも呼ばれ、マリーゴールドとして扱われることもありますが、同じキク科ですが、マリーゴールドはコウオウソウ属なのに対しキンセンカはキンセンカ属になり違うものとする場合もあります。
なぜ別れの悲しみという花言葉になったのかというと、一説にはキリスト教に深く関係していると言われています。イエスキリストを裏切ったとされるユダが身にまとっていた衣の色が黄色だったために、黄色という色に対していい印象がないところから、このようなネガティブな花言葉になったという説があります。
また、嫉妬という花言葉がつけられた太陽神アポロンと水の妖精クリスティのギリシャ神話からきているという説もあります。
「変わらぬ愛」という花言葉について
マリーゴールドの変わらぬ愛という花言葉は、今までのネガティブな意味合いの多かったものと違い、いい印象を与えてくれる花言葉です。けれどもこれも悲しいギリシャ神話、カルタの伝説から来ています。
カルタという一人の少女は、人々から慕われている太陽神アポロンにやはり恋をしてしまいます。カルタはアポロンの側でただ見続ける日々を過ごしました。カルタの身体はそのうちどんどん痩せていき、ついには身体が消えてなくなり魂だけが残りました。残った魂が花の形になりマリーゴールドの花になったということです。
死ぬまでずっと見続け愛し続けたことから、「変わらぬ愛」という花言葉がつけられたということです。
「生命の輝き」という花言葉について
マリーゴールドの花言葉の一つ、生命の輝きはマリーゴールドが「聖母マリアの黄金の花」とされているところからきているとの説があります。
またマリーゴールドの花が次々と長い間咲く花であることから、命を輝かせて咲いているところからきているという別の説もあるようです。
どちらの理由も良い意味で使われているポジティブな花言葉です。
「健康」という花言葉について
健康という花言葉は、黄色いマリーゴールドの花言葉となっています。黄色はビタミンカラーであることから、元気で健康を表す色であるとイメージする人も多いでしょう。
またマリーゴールドは長い間咲き続けることからも、健康が連想されるのでしょう。黄色はキリスト教ではあまりよくないイメージがあり、黄色いバラやチューリップなどあまりいい意味の花言葉を持たない花もあります。けれども黄色いマリーゴールドに限っては、このようにいい意味の花言葉がつけられています。
「真心」という花言葉について
真心という花言葉は、オレンジ色のマリーゴールドの花言葉です。これは太陽神アポロンと美少年クリムノンのギリシャ神話のよるものと言われています。この神話は一方では「絶望」という花言葉を生み出しましたが、もう一方では全く違う意味の「真心」という花言葉にもなっています。
確かにアポロンを想いながら死んでいったクリムノンの心には絶望もありましたが、クリムノンの思いはアポロンへの真心で溢れていたはずです。
クリムノンはアポロンによってマリーゴールドに姿をかえましたが、実はその色がオレンジ色だったということのようです。
マリーゴールドは色別で花言葉に違いがある!
「健康」は黄色いマリーゴールドというように、マリーゴールドの花言葉には色に限定したものがつけられているものもあります。マリーゴールドの花の色は黄色、オレンジ、白(バニラ)が主な色です。白やオレンジ色の花言葉はどうなっているのでしょう。
白のマリーゴールドの花言葉
白というよりバニラ色に近いことから「F1バニラ」という呼び方のマリーゴールドがあります。これは品種改良されたもので、珍しい種類であまり見かけられないマリーゴールドです。
白は珍しい色ではありますが、育てやすい花のようで売られている種から花壇などに植えて育てる人が多いです。
白のマリーゴールドの花言葉を調べてみましたが、色別という意味での花言葉は見つかりませんでした。新しい品種ということでつけられていないようですが、今後つけられるとしたら、ポジティブな花言葉がつけられるのを期待したいものです。
オレンジのマリーゴールドの花言葉について
オレンジ色のマリーゴールドの花言葉にはオレンジ特有の「真心」という花言葉があることは先ほどご紹介しましたが、全く違う意味の「絶望」という花言葉も同時に持っているということは覚えておいて欲しいものです。
もし何かの機会でオレンジ色のマリーゴールドを誰かにあげることになった時、贈る相手が花言葉に詳しい人だったら注意しなければいけないからです。もしそんな機会があったならば、二つの花言葉があるけれど、いい意味の方で受け取ってくださいといったような一言を添える必要性も出てくるでしょう。
覚えておきたいマリーゴールドの花言葉の由来
マリーゴールドの花言葉の由来は聖母マリアに因んだものや、ギリシャ神話に基づくものからつけられたというのがおわかりいただけたことでしょう。特にギリシャ神話については、一つの花に異なる二つの花言葉があるということを、是非覚えておいてください。
鮮やかで長い間咲くマリーゴールドの花は、育てやすいということからも身近な花であり人にあげる機会も少なくないはずです。
せっかくプレゼントした花を花言葉の捉え方によっては、相手を嫌な気持ちにさせることにもなりかねません。人にあげる時は花言葉の由来を、ぜひ思い出してからあげるようにしましょう。
マリーゴールドの怖い話と花言葉!
実は日本ではあまり知られていないようですが、メキシコでマリーゴールドは「死者の花」として扱われています。特に明るいオレンジ色のマリーゴールドは、死者が通る道を照らしているとされて、「死者の日」の祭壇を飾る花としてたくさん栽培されています。
死者の日というのは日本のお盆のようなもので、10月31日を前夜祭とし11月1日と2日に行われている祭りのことです。祭り期間中は各家庭の祭壇のほか、町の中心部や公園などにもマリーゴールドの花がたくさん飾られています。死者の祭りということで、怖い話のように思われますが先祖や死者を祀るというのは尊い行事です。
メキシコでは死者の日が近づくと町のいたるところに骸骨が飾られ、死者の世界から戻ってきた先祖たちと楽しく過ごしましょうという雰囲気で祭りを盛り上げています。
日本ではそのようなお祭りはありませんが、日本でのマリーゴールドの花全体の花言葉が「悲しみ」「嫉妬」「絶望」とすべて怖い意味となっていることは覚えておきましょう。
決してネガティブな花ではないマリーゴールド!
実に多くの花言葉を持つマリーゴールドですが、どうしても悪いイメージの花言葉というのが記憶には残ってしまいがちです。けれども、数からいくといい意味での花言葉の方が多いのです。
花というのは自分で愛でて楽しむ分には花言葉をさして気にも留めませんが、注意したいのは人に花をプレゼントする時です。花が好きな人にマリーゴールドをあげる場合は特に気をつけたいものです。花言葉を知っていることが多いからです。
確かにマリーゴールドは花全体の花言葉からするとネガティブになりそうなものばかりです。けれども、花は自分がそんな花言葉をつけられているとは知らずに、健気に咲いているのです。
きれいに咲いているマリーゴールドを誰かにプレゼントする時は、「花言葉を知ってる?」と聞きながら、ポジティブな花言葉の方を持ち出して会話を楽しみながらプレゼントしてみるのもいいのではないでしょうか。
マリーゴールドは観賞用のほかにコンパニオンプランツとしても役立つ花でもあります。長い間きれいに咲き続けるマリーゴールドをあなたも是非育ててみませんか。