そうなんですねという言葉
元々「そうなんですね」と使われている言葉は「そうなんですか」という形でした。
末尾が「ね」なのか「か」なのかの違いではありますが、言葉としての全体のニュアンスはとても大きく変わってきます。
この「そうなんですね」という言葉が、どういう印象を相手に与えるのか、敬語としてそもそも正しいのかについて紹介します。
「そうなんですね」は敬語表現としてOK?
けれど、遣うシーンを間違えてしまうと相手に不快感や違和感を与えてしまう言葉でもあります。
前述したとおり、「そうなんですか」という相槌の言葉が変化して、「そうなんですね」という言葉はできています。場合によってはその言葉を遣っても問題はありません。
ただ、「そうなんですね」という言葉はニュアンスとして「上から目線」です。
そのため、目上の方の話に「そうなんですね」と返すのは、時には失礼になってしまうため、ビジネスのシーンなどには本来向いていない言葉です。
「そうなんですね」は間違った日本語?
普段の日常会話で、あまり面識がない相手の話に「そうなんですか」と返す分には、まったく問題はないです。けれど、場合によっては相手や聞く人に違和感を与える言葉でもあります。
では、遣う人によってどのように変わってくるのかいくつか事例を紹介します。
アナウンサー
「そうなんですか」と相槌をする人がいます。
例えば、スポーツで一をとった人へのインタビューシーンがあったとしましょう。
【例1】
「怪我もあったので、諦めかけましたが頑張って本当に良かった」
「そうなんですか」
【例2】
「怪我もあったので、諦めかけましたが頑張って本当に良かった」
「そうなんですね」
例1のほうは、相手への驚きなどが伝わり、「はい、でも家族が応援ししてくれて」と、会話がつなげやすいでしょう。けれど、例2はそれがわかっていたかのように、感動などがあまり伝わりません。言われた側も「はい、そうなんです」と、会話をあまり続ける気にはなれないでしょう。
このように「そうなんですね」という言葉は、とりあえず相槌を打っておこうとして発された言葉のように思えてしまいます。また、「そうなんですね」という言葉は、そのことを知っていたかのようにも聞こえます。「ああ、やっぱりそうなんですね」というニュアンスを相手に与えてしまいます。
そのため、アナウンサーの人が遣うには少々違和感がある言葉です。
おかしいなど
無感情的に感じられ、話された内容を知っていたかのように思えてしまうため、ビジネスシーンや目上の人と話すときにはあまり使用しないほうがいいでしょう。
けれど、日常的な会話では自然と遣われ、今後も遣う人は増えるでしょう。言葉とはそうやって作られていきます。
「そうなんですね」が口癖の人の心理
相槌の言葉として適切かは、相手によりますが、話をよく聴いている人が必然的によく遣います。
ですが、言葉の印象からは「早く話を終わらせたい」、「とりあえず反応しておこう」という心理から、多用してしまう人もいます。
相手の目を見て、向き合っている状態でそうなんですね、と返す人は、話をしっかり聴こうとする人、している人とも考えられます。
これは「そうなんですね」に限らず、どの相槌でも当てはまります。
話を聞こうとする心理、逆に適当に終わらせようとしている心理のどちらに相手がいるかは、態度を含めて判断しましょう。
「そうなんですね」と「そうなんですか」の違い
何かを教えてもらった時や知った時に、これらの言葉は相槌として返します。
「そうなんですか」と返されれば、そのことを初めて知った、学んだという驚きは感心が感じられます。そのため、伝えた側はもっと話そう、聞いてもらおうと話を続けてくれるでしょう。
しかし、「そうなんですね」と返されると、なんだもう知っているのかな、あまり興味がなさそうなので話しても無駄かなと、無関心に感じられます。
末尾が違うだけで、それだけ言葉が与える印象は違い、会話というコミュニケーションが続くかどうかに関わってきます。
いつから「そうなんですね」は使われるようになった?
「さようでございます」「そうでしたか」「そうですね」という言葉が「そうなんですね」という言葉に入れ替わってきています。
テレビでアナウンサーや、取材のインタビューなどで遣われると、自然と耳に残り咄嗟に言葉として出てきます。それが繰り返されることで、一般的になりつつある言葉の1つです。
日本語としてどうなのかという意見についても、賛否両論ではありますが死語となるのか、むしろ当たり前になっていくかはこれからです。
正しいのかそうでないのか
日本語は数ある言語の中でも、特に難しいと言われています。状況や相手によって、語尾の変化や言葉そのものが変化するということは、小学校から学んでいますが大人になってその難しさをより痛感します。
新しい言葉は日々生まれ、それらが社会的に使用されるようになるか、一部のコミュニティ内の用語として終わるかはわかりませんが、インターネットの普及により日本語はさらに拡充したといえます。そんな中で、「そうなんですね」という言葉を、今度どのように使っていくかは各自で考えてみる必要があります。
言葉が正しいかではなく、使う場が適切であるかが重要です。