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「行く」の尊敬語と使い方の例文・謙譲語・丁寧語|伺う

Author nopic icongoodnews Nara
ビジネス用語 / 2017年12月19日
「行く」の尊敬語と使い方の例文・謙譲語・丁寧語|伺う

「敬語」が気になったことは?

日常生活の中で、いつも何気なく使っている「敬語」ですが、ファストフード店やフランチャイズ店に行くと、ときどき「おや」と思うような言い方を耳にすることはないでしょうか。

慣用句としても聞かれることの多い「ちょっと気になる敬語」ですが、「そうは言っても、バイト先のマニュアルで決まってるし」というケースもあるでしょう。また、尊敬語(敬語)は、相手との距離を作ってしまうとか、身分制度みたいで苦手だから「使わないことにしている」という人もいるでしょう。

いくら尊敬語を使っても、心の中で相手をバカにしていたのでは「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」といって人間関係にプラスになることはありません。それでも、しかるべきところで尊敬語を使いこなせないということになれば、少し損をしてしまう可能性もあります。

尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い

では、敬語はそれぞれどのような場面でどう使い分けるべきなのかを、一度見比べてみましょう。敬語のポイントは、まず「誰の言動に注目するか」という違いで使い分けるという点です。

日本語の文法には、「尊敬語・謙譲語・丁寧語」という3つの尊敬語があります。尊敬語と謙譲語は、どちらも同じように丁寧な印象を受けることから混同されやすい面もありますが、実際は真逆の立場を表すものです。やたらと回りくどい「二重敬語」と並んで、違和感を覚えることの多いケースでしょう。

言い回しによって相手を高めたり(尊敬語)、自分を低めることで敬意を表す表現は、中国語や朝鮮語(北朝鮮および韓国の言語)にも見られますが、日本語では特に受動と能動の関係(~していただく・さしあげる・~してくださる)を表現する用法が複雑だと言われています。

謙譲語

謙譲語は、話し手である自分自身の言動について表現するときに使う敬語で、自分自身が遜る(へりくだる)ことで相手に対する敬意を表しています。また、文化庁が2007年に発表した「敬語の指針」によれば、謙譲語には2つのタイプがあります。

・謙譲語Ⅰ
相手に対する自分の言動を「行く」を「伺う」と言い換えたり、「言う」を「申す」と表現することで、尊重の意味が込められます。

・謙譲語Ⅱ
相手に直接関係のない事柄について、自分自身の言動を丁寧に述べる表現です。たとえば「明日から新婚旅行に参ります」「自宅にはおりません」などが「謙譲語Ⅱ」に分類されています。「寒い日が続いております」のように、気候や事象に対して用いられるケースもあります。

先生はおられますか?

「先生は、おられますでしょうか」という表現は、謙譲語の誤用でしょうか。尊敬語を使うべき相手に「いる」の謙譲語である「おる」が用いられていることから、間違った使い方とされる場合もありますが、結論から言えば、間違いとも言い切れないのが敬語全般の難しいところです。

たとえば、西日本では「おる」を謙譲語としてではなく「いる」の代わりに使っている地域が少なくありませんので、「れる・られる」を付けて敬語とすることは間違いではありません。

少しまえなら「地域差」で済んだ言葉の違いですが、インターネットの普及によって正誤の問題として取り上げられるようになったことは、この時代の特徴のひとつと言えるでしょう。

尊敬語

敬語の大きな柱とも言える「尊敬語」は、自分が話している相手や話題の主体になっている人物など、自分以外の人の言動に対して使う敬語です。目の前にいる人に対して意向を伺う場合、

・もうご覧になりましたか
・何か召し上がりますか

という表現になります。一方、その場にいない人に対して尊敬語を用いる時は、以下のようになります。

・先生がお見えになる
・お客様が傘をお忘れになった

一般に目上の人や上の立場の人に対して使う表現とされていますが、あくまでも「相手を尊重する」というスタンスや立場の違いを表現しているのであって、身分の違いを意味するものではありません。

尊敬語を使ったからと言って自分が偉くなるわけではありませんし、反対に謙譲したからと言って価値が下がるわけではありません。あまり難しく考えることなく、マナーとして身に着けるべき語彙と言えるでしょう。

丁寧語

一般に、「だ・である」という表現を「です・ます・でございます」と丁寧にすることで敬意を表すのが丁寧語で、「ですます調」と表現されることもあります。また、文化庁の「敬語の指針」によれば、「お酒・ご祝儀」のように「お・ご(接頭辞)」を付けて物の丁寧さを強調する「美化語」も丁寧語(敬語)に含まれます。

「~です」

「です」は、形容詞や形容動詞のあとに用いることで改まった表現になります。また、国会答弁などでよく見られるように、言葉の途中に使うことで語調を強めたり、調整する効果もあります。

語源は「~でございます・であります・~で候」がなどの言い方が江戸時代に遊女たちの間で「~でありんす・~であす」のように短縮されたものという説もあります。

・新しい換気扇は、音も静かです。
・私も一度は行ってみたいです。
・その件につきましてはですね、あのですね、それがですね

「ます」は、「参らす(差し上げる)」が「まする」に変化し、短縮された言い方であることが分かっています。

・これから伺います。
・とんでもない話でございます。

「改まり語」は丁寧語?

「本日(今日)」や、「あちら・こちら(あっち・こっち)」のほか、「後ほど・先ほど」のように、同じ意味の言葉をビジネス用語として丁寧にした表現は「改まり語」と呼ばれています。

「改まり語」には、以下のとおり多くの種類がありますが、現在のところ丁寧語(敬語)とは区別されていますので「間もなく行くつもりです」のような使い方も間違いではありません。

・わたくし(わたし)
・ご年配(老人・年寄り)
・太っている、痩せている(体格が良い、スマートな)

・どのような、どういった(どんな)
「本日は、どのような品をお探しでしょうか」「どういったご用件でしょうか」のように使われます。

・ただいま、間もなく(すぐ)
「ただいま替えの品をお持ちしますので、今しばらくお待ちください」
「間もなくご到着の予定です(到着のご予定です)」

・このたび(今回)
「このたびは、誠におめでとうございます」

「行く」の敬語

では、改めて「行く」の尊敬語(敬語)について考えてみましょう。ます、「行く」とは、人などが「移動する」という意味のほかに、「遠くへ行く」「目的地へ向かっている・到着する」という意味があり、意味によって尊敬語の言い回しにも違いが出てきます。

移動しなくても「行く」場合

「今日も元気に行きましょう」と言う表現は、「どこかに移動する」という意味ではなく、動作を開始する始動の様子を「行く」と言い換えたものです。他にも、移動しないのに「行く」と表現されるケースがあります。

・「次はうまく行くだろう」
物事が進展したり、実現することを「行く」と表現しています。

・「最後は、納得の行く仕上がりになった」
気持ちが落ち着いたり、満足した状態になることを「行く」と表現したものです。

・「見るだけで食欲が失せて行く」
物事がある方向に傾いたり、傾向が強くなることを「行く」と言っています。

「往く」と「行く」の違い

「往く」と音も意味も近い言葉に「往く(ゆく)」があります。「行く」という意味のほかに、「物事がうまく捗る(はかどる)こと・満足する・納得する」という意味を持つ言葉で、「この世を去る」というニュアンスで使われていることもあります。

奈良時代辺りから「行く」と併用されるようになりましたが、古い時代には「行く」よりも「往く」のほうが用いられていたということです。使い分けとしては、「行く」のほうが口語的(話し言葉)で、「往く」は文語的(書き言葉)に用いられる傾向があります。

現在では「行く」が感じであるのに対して、「往く」は「ゆく」と平仮名で表記されるのが一般的です。用法としては、以下のとおりです。

・「流れ往く」
・「わが道を往く」
・「極楽往生」


つまり、移動しないのに「行く」と表現されるケースに関しては、「行く」と似た意味を持つ「往く」の領域に由来していることが分かります。

「行く」の尊敬語

以上のことを踏まえて、次に「行く」の尊敬語を考えてみます。

いらっしゃる

「行く」の尊敬語でもっともポピュラーな言い方は「いらっしゃる」です。「行かれる」のように、動詞に「れる・られる」という助動詞を付けて尊敬語にする用法は簡単で便利ですが、「れる・られる」の尊敬語よりも別の言い方で敬意を伝える「変換形式」の尊敬語の方がより丁寧な印象に感じられます。

「れる・られる(接尾辞)」は軽い敬意を表現する用法で、厳密に尊敬語を使う間柄ではない場合でも気軽に使えるという利点があるものの、尊敬語のほかにも「受け身・可能・自発」の意味を含んでいることから、いくつかの点で注意が必要です。

変換形式の敬語を使う

尊敬語独特の動詞を使って敬意を表現する用法を、「変換形式の尊敬語」と呼びます。たとえば「新聞を読まれましたか」という場合、

1・「新聞をお読みになりましたか?」という尊敬語の疑問文
2・「新聞を読むことはできましたか?」と可能を問う疑問文
3・「誰かに新聞を読まれましたか?」と受け身を表す疑問文

の3つの意味が考えられます。新聞ならそれほど問題なさそうですが、「このお弁当、食べられますか?」と言った場合、「召し上がりますか」と聞いているのか、「腐ってませんよね」と聞いているのかが分かりにくく、尊敬語として相手に伝わりにくい表現になっています。


このことから、尊敬語には「行く→いらっしゃる」のように、誤解が生じにくい「変換形式」を用いることが推奨されています。

向かわれる

「行く」を「目的地に向かう・到着する・行動を開始する」などの意味として捉えた場合、「向かわれる・向かわれた」という表現で「行く」の尊敬語として使えます。

前述の「いらっしゃる」は、「行く」の一般的な尊敬語ではありますが、ほかにも「来る・いる(居る)」の尊敬語としても用いられていますので、使い分けた方が良い場合もありますので、よりリアルに状況を伝えたい場合には、それ以外の言い回しを使えると大変便利です。

たとえば、「さっきまでいたけど、ついさっき目的地に向かった」という場合「お発ちになった」という表現ができるでしょう。「発つ」とは出発することで、「行く」と同じように「ここにはいない」ことを言い表すことができます。「お~になる」で尊敬語になっています。

「お~になる」は、「来・る」「見・る」など語感が1音節の動詞では活用できませんが、比較的使いやすい尊敬語の表現と言えるでしょう。

お行きになる

少し聞き慣れない言い回しですが、「行く」の尊敬語として「お~になる」の形を用いることは間違いではありません。一方、「行く」の尊敬語として「お行きになる」を使うべきではないという意見の根拠には、「言葉としての収まりが悪い」「いらっしゃる・行かれるという敬語があるため」などがあり、やや曖昧な印象があります。

ただし、「お行きなさい」「お行きください」という表現には抵抗がないという場合でも、「お行きになる」は別という人も少なくありません。話し言葉の場合は特に、文法的な正誤よりも耳触りや相手に与える印象の方が重視されるべきで、「収まりが悪いから使わない」は、その意味で十分な根拠だと言えるでしょう。

「行く」の尊敬語の使い方・例文

次に、「行く」の尊敬語を使った例文と、具体的な用法についてご紹介します。尊敬語をきれいに使いこなすポイントのひとつは、全体の「バランス感」です。

具体的には、難易度の高い言い回しを使う一方で基本的な用法を誤解したままでは、スマートどころか「ネットで調べました」的な白々しさが際立ってしまうことにもなりかねません。「行く」の尊敬語に限らず、全体的な敬語のセンスを身に着けたいところです。

「行く」に限らず、尊敬語はおもにビジネスシーンで活躍する言葉です。ここでは、会社の上司に対する尊敬語を中心にまとめます。

「行く」の尊敬語

・「課長は、あのお店に行かれたことがありますか」
たとえば、忘年会の会場を決める幹事が上司に意見を求めるといった場面で、話し相手を立てる敬語です。「行く」の一般的な尊敬語は「いらっしゃる」ですが、「れる・られる」を使うことで、「いらっしゃったことがありますか」という長めの言い回しをスッキリまとめることができます。

・「○○商事の○○部長は、出張で中国にいらっしゃるそうです。」
取引先の部長が出張で「中国に行くらしい」と、報告している場面です。場合によっては「これから行く予定」なのか、「すでに到着していて留守」なのかが分かりにくいので、「いらっしゃるご予定だそうです」「すでに~いらしゃるそうです」のように言い換えます。

・「そのお客様は、すでにお発ちになりました。」
お客様が次の目的地に向かったという報告です。「行く」を「向かう・出発する」と言い換えた場合の敬語表現です。

「行く」の謙譲語

「行く」を謙譲語で言い表すと、おもに「参る」と「伺う」の2種類になりますが、「伺う」が行く先の相手に対する敬意を表す謙譲語であるのに対し、「参る」は聞き手に対しても用いるという違いがあります。

「お邪魔する」も謙譲語のひとつですが、「家の中に上がり込む」というニュアンスを含むことからビジネスシーンでの謙譲語としては適切ではありません。また、飲食店に客として行く場合にも「お邪魔する」を用いることはしません。

敬語は一概に「上の立場を取ったものが偉い」わけでも、「遜ったほうが感じが良い」わけでもありません。現代の日本では飲食店と客は対等な立場であり、店側が遜るからと言って客が偉いわけではありません。反対に、客のほうが無暗に遜るのも少し筋が違うと言えるでしょう。

伺う

たとえば、自分が相手のところへ行く場合は「伺う・参る」のどちらでも意味が通ります。

・「それでは、また後日伺います」
・「次は、家族を連れて参ります」

一方、「伺う」を使った場合、「年末は実家に戻って参りました」と言うことはあっても「年末は実家に伺いました」とは言いません。また、「散歩にでも参りましょうか」とは言っても「散歩に伺いましょうか」とは言いません。

「行く」の尊敬語を正しく使いこなそう

いかがでしたか。今回は「行く」の尊敬語を中心に、丁寧語や尊敬語、謙譲語の詳しい用法などをご紹介しました。

大切なのは「言葉づかいよりも心」という考え方もあり、尊敬語も時代とともに変化しています。それどころか、尊敬語がうまく使えないことでトラブルが多発するようになれば、いつかは消失する可能性だってあるでしょう。

しかし現在のところ、まだまだ目に見えない「心」よりも、美しい言葉づかいのほうがより良い信頼関係を築くために有効であり、信頼されやすいという現実があります。

尊敬語を使いこなすためのコツは、外国語を習得する時の要領で何度も耳で聞いて、実際に声に出して練習することではないでしょうか。いざという時、正しい尊敬語が無意識に口から飛び出すように、日ごろのエクササイズで日本語に磨きを掛けましょう。

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