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エンタルピーとエンタロピーの違い・覚え方・関係性|記号

Author nopic icontokain
カテゴリ:学習

初回公開日:2018年02月28日

更新日:2020年02月13日

記載されている内容は2018年02月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

エンタルピーとエンタロピーの違い・覚え方・関係性|記号

エネルギーであるエンタルピーとエントロピーの違い

物理学の本を読むと、エンタルピーとエントロピーという単語に出会います。エンタルピーとエントロピーは熱力学でエネルギーの状態や乱雑さを表す言葉です。名前は似ていますが、似ているのは名前だけで全く違う概念です。
エントロピーは情報系の分野でも使われる言葉ですが、ここでは物理学の使い方で説明します。

エンタルピーとエントロピーの記号

エンタルピーとエントロピーは字面がよく似ていて、つい間違えてしまいそうですが、全く別物です。エンタルピーとエントロピーはどちらも物理学の熱力学という分野に出てくる量を示す言葉です。

エンタルピーはHという記号で表されます。「熱含量(Heat content)」ともいいます。密閉された空間の中の気体にどれだけの熱量(エネルギー)があるかを示します。

エントロピーはSという記号で表されます。「乱雑さ」ともいいます。例えば、水に絵の具を一滴垂らすと、最初は水と絵の具の境界がはっきりわかります(エントロピーが小さい状態)。時間がたつと均一に混ざって水と絵の具の境界がわからなくなります(エントロピーが大きい状態)。

つまりエントロピーは均一さ(乱雑さ)を示します。エントロピーのSは熱力学の分野で大きく貢献した物理学者サディ・カルノーの名前から取られました。

エンタルピーとエントロピーの関係式

エンタルピーとエントロピーは全く別の量を示していて、互いに関係があります。次のような関係式で表されます。

dH = TdS + Vdp

ここではdHはエンタルピーの変化、dSはエントロピーの変化、Tは絶対温度、Vは体積、dpは圧力の変化を示します。

エンタルピーHとエントロピーSは互いに関係がある、ということがわかれば大丈夫です。

関係式の計算方法

上の関係式はどのように求められるのか。とても難しい計算ですので参考までに見てください。まずエンタルピーの定義は下の式で表されます。

H=U+pV

Uは内部エネルギーといって、物質が持つ全エネルギーです。エンタルピーは物質が持つエネルギーと、膨張や圧縮などに使われる外部のエネルギーを足したものと定義されます。

この式を微分するとエンタルピーの変化dHが表されます。

dH=dU+d(pV)
dH=dU+pdV+Vdp

dUは下の式で表せます。

dU=d'Q-pdV

d'Qは外部から流れ込んだエネルギーです。

ここでエントロピーの変化をdS=d'Q/Tと定義します。これを変形したd'Q=TdSを上の式に代入します。

dU=TdS-pdV

この式を上のdHの式に代入すると関係式が求められます。

dH=TdS+Vdp

エンタルピーとエントロピーの単位

エンタルピーとエントロピーは単位も違います。エンタルピーはエネルギーと同じ単位のジュール(J)で表されます。

エントロピーの単位はエネルギー毎ケルビン(J/K)で表されます。ケルビン(K)は熱力学で使われる温度の単位です。つまりエントロピーはエネルギーを温度で割った単位を持つといえます。

なぜエントロピーの単位がJ/Kになるのかというと、一定の温度Tの系でのエントロピー変化ΔSは可逆過程で系の外側から移動してくるエネルギーQを温度Tで割った値と同じと定義されているからです。式で表すと下のようになります。

ΔS=Q/T

単位そのものに意味があるのはなく、定義によって単位が決定しているということです。

自由エネルギーとエンタルピー、エントロピーの関係

エンタルピーとエントロピーを学んだとき自由エネルギーについても知っておく必要があります。

自由エネルギーとは物質の内部エネルギーのうち外側への仕事には2種類あります。ヘルムホルツの自由エネルギー(ここでは記号はFで表す)とギブズの自由エネルギー(記号はG)と呼ばれます。ヘルムホルツとギブズはどちらも物理学者の名前から取られています。

ヘルムホルツの自由エネルギー

エネルギー保存の法則というものがあります。閉じた系で、内部エネルギーの変化ΔUは外部から加えられたエネルギーQと仕事Wの和と同じだということです。つまりエネルギーは無から生じたり、消滅せずに総量は保存されるということです。式で表すと下のようになります。

ΔU=Q+W

この式を変形すると次の式になります。

d'W=dU-d'Q
d'W=dU-TdS

この式から次のような式を考えます。

F=U-TS

この式の微小変化量は次の式で表せます。

dF=dU-TdS-SdT

温度一定(dT = 0)のとき次の式のようになります。

dF=dU-TdS

d'WとdFは温度一定のとき、同じ値をとることがわかります。-TdSは温度を一定に保つための取り出せないエネルギーです。対して内部エネルギーうち仕事として取り出せるエネルギーをヘルムホルツの自由エネルギーといいます。

ギブズの自由エネルギー

続いてはギブズの自由エネルギーです。エントロピーはJ(エネルギー)/K(温度)という次元です。つまりエントロピーに温度をかけるとエネルギーになります。

G=H-TSと定義します。

ギブズの自由エネルギーはエンタルピーとエントロピー×温度を足したものだと決めます。こうすると自由エネルギーの変化量ΔGは次の式で表すことができます。

ΔG=ΔH-TΔS-SΔT

系の温度が一定ならΔT=0になるから次の式になります。

ΔG=ΔH-TΔS

さらに圧力が一定(ΔP=0)という条件だと次の式で表せます。

ΔG=ΔU+PΔV-TΔS

自由エネルギーが減る反応は自然に起こる可能性があり、逆に増える反応は自然には起こりません。(ΔG≦0)

自然に起こる現象としてエントロピーは増大し(ΔS>0)、化学エネルギーのエンタルピーは減少します(ΔH<0)。

エントロピーと温度の関係

エントロピー変化量ΔS=外からのエネルギーQ÷温度Tですから、Qが温度に依存性がないと仮定すれば、温度が高ければ高いほどエントロピー変化量は小さくなります。

エントロピーそのものは常に増大します。例えは冷たい水を熱したフライパンに入れると、水は最初はフライパンとの温度の差でジュっと音を立てますがやがて水とフライパンの温度の差がなくなります。

これを平衡状態といい、エントロピーは最初の状態よりも大きくなっていることを示します。

エントロピーとエンタルピーの覚え方

エンタルピーとエントロピーは違うものだと理解できたら大丈夫です。そして今後は間違えなくて済むように基本的なことを覚えておくと安心です。