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野生・飼育別カラスの寿命|日本/100年/120年/死骸

更新日:2023年10月20日

カラスの寿命は100年、飼育下だと120年生きるという話を聞いたことはありますか?カラスの研究はまだまだ途中ですが、実際はそこまで寿命は長くありません。では実際の寿命はどのくらいでしょう。この記事では身近にいながら謎の多いカラスの謎に迫ります。

野生・飼育別カラスの寿命|日本/100年/120年/死骸

カラスの死体は消える?

都会に住んでいるとカラスはよく見かけます。ゴミを漁るカラスに悩まされたり、カラスに襲われたりとトラブルも多いです。しかし、カラスをよく見かけるのに、カラスの死体を見た人はあまりいません。

そしていつしか「カラスは死ぬと、その瞬間に死体が消える」という都市伝説ができました。これはUFO研究家で名高い矢追純一氏の著書「カラスの死骸はなぜ見あたらないのか」から発生しました。

もちろん、カラスが死んだら魔法のように消えるような事はありません。人目につくような所で死なないだけで、カラスの死体は存在します。カラスは飛ぶ力が弱くなると、巣にこもるようになり、やがて静かに息を引き取ります。そしてその死骸はムシや他のカラスに食べられる事により、白骨化してやがて風化していきます。

稀に町中で死んでしまっても、すぐに処理されてしまうでしょう。これがカラスの死体がない真相です。

野生のカラスの寿命

カラスは100年生きる?

カラスは百年生きる、と聞いたことがある人もいるでしょう。実際、カラスに限らず、野生動物の寿命を測る事は大変難しいです。ましてやカラスは人知れずひっそりと死んでいくので、正確な寿命を知る事は困難なことでしょう。

しかし、どんな些細な事でも研究者がいるという所が、学問の面白いところです。宇都宮大学農学部の医学・農学博士である杉田昭栄(すぎたしょうえい)氏は、カラス博士と呼ばれるほどのカラス研究の第一人者です。

杉田氏はカラスの学習能力や記憶力、識別能力を解明し、カラス対策の研究に力を入れている人です。その研究の一環として、カラスの寿命も研究されています。それによると野生のカラスの寿命は「10年から15年」と言われています。

ただし、これもまだ研究の途中で、杉田氏をもってしても「データが足りない」と言われています。確実な数字を算出するにはまだまだ時間がかかりそうです。

他の野鳥との寿命の比較

「野生のカラスの寿命は15年」と聞いて、長いのか短いのかよくわからない、という人も多いでしょう。そこでカラスと同じようによく見る野鳥との比較をしてみました。

まず、カラスと同様に、なじみの深い鳥と言えば「ハト」でしょう。ハトの寿命は約6年と言われています。また「スズメ」の寿命は3年です。ハトもスズメもカラスに比べて小さいので、寿命も短いのでしょう。

カラスより一回り大きいトンビの寿命は6年から7年と言われ、だいたいカラスと同じくらいの大きさであるフクロウの寿命は8年ほどと言われています。

こうしてみると野生のカラスの寿命は体の大きさからしても長い方だと言えます。

野生のカラスの生態

カラスだけどオシドリ夫婦

野生のカラスは研究途中ですが、その中でも分かった事は多々あります。まず、カラスが繁殖可能となるのは、だいたい3年ほどとされています。そしてカラスはとても夫婦仲が良いといわれ、1度つがいになると一生パートナーを変えないと言われています。

3月から7月頃がカラスの繁殖期です。どうやらカラスはいくつかの群れで合コンのような形でお見合いをするとみられています。初めて繁殖期を迎えるオスは巣を作り、メスを誘います。子育ては夫婦で協力して行い、ヒナが育っても2、3ヶ月は両親と行動をするぐらいに家族仲も良好です。

やがて子どもは同年代の若者同士で群れを作るようになり、両親もそれぞれの群れに帰って行きます。しかし季節が巡り繁殖の季節になると、また同じ夫婦でつがいになります。去年と同じパートナーを見つけたカラスは、今度は夫婦揃って巣を作ります。これを繰り返して一生を過ごします。

カラスの1日

カラスの葬式

もうすぐ寿命を迎えるカラスは飛ぶ力が弱くなり、寝床から出なくなってそのまま静かに息を引き取ります。しかし人間を悩ませるほどの賢く強いカラスでも、不慮の事故などで命を落とす事もあります。

その時に、カラスの群れは死んだ仲間の周りに集まる事が確認されています。それを「カラスの葬式」と称して、死んだ仲間を悼んでいると言われています。たしかに群れで仲良く暮らしているカラスなら、ありえない話ではないように思えるでしょう。

しかし実際は「仲間の死を悼む」のではなく「仲間を死に至らしめた脅威を警戒」しているという事が、アメリカの研究で明らかになりました。

もしも人がカラスを殺したら、仲間のカラスが数日間その人物の周りで騒ぎ立てるでしょう。そしてその顔を一生わすれません。また逆に、優しくしてくれた人間には恩返しをするという例もあります。カラスは人間1人1人を認識し、注意を払っています。

ペットとして飼育した場合のカラスの寿命

飼育下だと120年生きる?

「カラスの寿命は100年」という話に合わせ「飼育されたカラスの寿命は120年」という話もありますが、実際の野生のカラスの寿命が10年から15年という事実からすれば、飼育すると120年というのも、都市伝説の一種でしょう。

動物の寿命は、飼育すると野生動物の倍は生きると言われているので、飼育されているカラスの寿命は、20年から30年と言えます。現在記録に残っている、飼育されたカラスの寿命は最長60年です。

オウムやインコも長生きの鳥類として知られていますが、カラスもきちんと飼育すれば同じくらいの寿命になります。そして実はカラスもオウムやインコのように人間の言葉や犬の鳴き声を真似る事ができます。

カラスはペットにできるのか

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初回公開日:2017年12月27日

記載されている内容は2017年12月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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