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「ぞんざい」の漢字表記の種類や意味・正しい漢字表記がないのか

Author nopic iconyosy
カテゴリ:ビジネス用語

初回公開日:2018年02月08日

更新日:2020年02月12日

記載されている内容は2018年02月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

「ぞんざい」の漢字表記の種類や意味・正しい漢字表記がないのか

「ぞんざい」の漢字表記の種類や意味

皆さまは「ぞんざい」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。「ぞんざい」は、「取り扱いや言動などが丁寧ではなく、なげやりで乱暴なこと。礼儀がなっておらず、いい加減なさま。無作法。」という意味があります。この言葉の使い方としては
・物をぞんざいに扱う
・ぞんざいな口調
などです。

さて、ここまでの説明で「ぞんざい」という言葉がすべて漢字ではなくひらがな表記であることにお気づきでしょうか。口ではよく使うこの言葉ですが、いざ漢字表記にしてみようとしたところ、変換では出てきませんでした。「ぞんざい」という言葉には漢字がないのでしょうか。

調べてみたところ、いくつか候補がでてきましたので、ひとつひとつまとめていきます。

存在

ひとつめの候補としてあげられたのは「存在」という漢字です。この漢字はほとんどの方が「そんざい」と読むでしょう。意味は「人間や事物がいる・あること。また、その人間や事物そのもの」です。

・歴史に存在する人物
・自分にとって大切な存在
などの使い方をします。

この「存在」という漢字が「ぞんざい」の漢字の候補である理由として、「存在のまま」というのは「あるがまま」という意味にもなり、これが「あるがまま勝手にふるまう」ということから「いい加減なさま」をあらわすようになったということです。ただあくまで候補・一説ですので、確実にこの漢字が当てはまる、というわけではありません。

粗雑

次の候補は「粗雑」という漢字です。この漢字は「そざつ」と読み、「細かい点までは行き届かず、あらっぽくていい加減なこと。またそのさま」という意味を持っています。この漢字の使い方は
・粗雑な渡し方
・他人のものを粗雑に扱う
などです。

意味や使い方を考えていただくとわかるとおり、「粗雑」という言葉は「ぞんざい」とほとんど同じため、類義語として使われることが多いです。このことから、「そざつ」が転化して「ぞんざい」になったのではないかと考えられます。

粗末

次に「粗末」という漢字についてです。この漢字は「そまつ」と読み、「品物や物事の仕方が上等でないこと。作り方などが大雑把なこと」「大事にすべきものをおろそかに扱うこと。ないがしろにすること」という意味を持っている言葉です。

・粗末な作りをした家
・食べ物を粗末にする人は許さない
などといった使い方をします。

大切なものをないがしろにする・大雑把で上等ではないということから、なげやりで乱暴なさまという意味を持つ「ぞんざい」という言葉を連想させられます。

しかし漢字を見てみると、「末」は「ざい」とは読みませんので特別な読み方でない限り完全に当て字であるということが分かります。このことから「ぞんざい」が「粗末」である可能性は完全ではありません。

粗略

最後の候補は「粗略」という漢字です。「そりゃく」と読み、「物事に対しておろそかなこと。扱いがいい加減で丁寧ではなく、荒々しいこと。また、そのさま」という意味です。

・環境問題を粗略にしてはいけない
・客を粗略に扱う
などの使い方をします。

この言葉も粗末と同じように「ぞんざい」の意味とほとんど同じで、「~に扱う」という使い方を多くします。丁寧ではなく、荒々しいさまから「粗略」が連想され「ぞんざい」の漢字として考えられますが、これも当て字であり正式な漢字ではないことが分かります。

「ぞんざい」には漢字表記がないのか

ここまで「ぞんざい」の漢字候補をいくつか見てまいりましたが、いかがでしょうか。「ぞんざい」の語源は「存在のまま」を略した説と「そざつ」の転化説の二つが有名であり、他には意味合いが似ている言葉の漢字を当て字として使うことがある、ということが分かりました。またこのことから、「ぞんざい」の正式な漢字表記がないということが証明されます。

漢字表記のない日本語は特別珍しくはありません。「しんどい」「さいたま市」などさまざまなものがひらがな表記です。明確な理由がわからないのがとても残念です。

では次に、なぜ上記の漢字が候補として挙がったのか、由来として有名なのかに注目していきます。

「ぞんざい」の漢字表記を使うようになった著名人

結論から申し上げますと、上記で紹介した「ぞんざい」の漢字候補は何人もの著名人が作品中で使用した物です。有名な著名人が使うことで「ぞんざい」の語源や説が有名になっていきました。ではどのような著名人がどの作品で、どのように使っていたのかをご紹介していきます。これを機に作品を読んでみるというのもいいでしょう。

夏目漱石

小説家として知らない方はいないであろう夏目漱石。ロンドン留学の功績があったことから起用された、旧千円札の肖像としても有名です。

1905年発表の、彼の処女作品である「吾輩は猫である」にて「ぞんざい」と読む「存在」が使われているそうです。

『「それについて、あなたに伺おうと思って上がったんですがね」と鼻子は主人の方を見て急に存在(ぞんざい)な言葉に返る。』

『鼻子の先刻からの言葉遣いが初対面の女としてはあまり存在(ぞんざい)過ぎるのですでに不平なのである。』
とあります。

この他にも、1911年発表の「門」でも同じように「ぞんざい」を存在と表記し使っています。

もうひとつの「ぞんざい」

また、夏目漱石は1908年1月より朝日新聞にて連載していた「坑夫」という作品でも「ぞんざい」という言葉を漢字表記して使っていました。こちらでは「存在」ではなく、通常では「やひ」と読む「野卑」を使用していたようですが、これはなかなか「ぞんざい」とは読めないのではないでしょうか。

作品によって使い分ける夏目漱石。なにか意味を込め、考えて使っていたことでしょう。

小栗風葉

次に明治から大正にかけて活躍した小栗風葉です。明治38年から約1年半の間、読売新聞にて連載された名作「青春」で「ぞんざい」を使っているとのこと。小栗風葉は「ぞんざい」を「粗雑」として使ったとの情報がありますが、どのように使ったのかは特定できませんでした。小説をお持ちの方や作品が気になる方は、ぜひ文中から探してみて下さい。

近松秋江

明治から昭和にかけて小説家として名をはせた近松秋江もまた、「ぞんざい」に当て字を使っています。連作「別れた妻」のうち、1910年発表の「別れたる妻に送る手紙」にて「粗末」を使用しています。

『口の利きようからして次第に粗末な口を利いた。』

作家としての地位を確立したといっても過言ではない作品ですので、ぜひ一度読んでみて下さい。

田村俊子

最後に、「木乃伊(みいら)の口紅」を代表作にもつ田村俊子です。明治から昭和にかけて活躍した彼女の、1911年発表の「あきらめ」にて「粗略」を「ぞんざい」として使っていたとの情報がありました。こちらもどの文で使っていたかまでは特定できませんでしたので、ぜひ探してみて下さい。意味としては乱暴で荒々しいさまを差しますので、そのまま「そりゃく」と読んでしまっても違和感のない文であることが予測できます。

ぞんざいには正式な漢字表記はなかった!

結論を述べますと、「ぞんざい」という言葉には正式な漢字表記はなく、当て字を使うことで著名人は言葉を表現していました。その当て字が「ぞんざい」の語源や説を作りだし、現代の人々に疑問を与えていたということが分かりました。

結果として漢字のない明確な理由がわからなかったのは悔しいですが、一番ぞんざいに扱われていたのは、漢字を与えられなかった「ぞんざい」という言葉そのものなのではないかという考えに至りました。

その場その状況で当て字を活用したり、またはあえてひらがなを使うことをおすすめします。