自分の声
中には、録音した自分の声があまりにも気持ち悪く感じ、愕然としたという話も聞かれます。なぜ録音した自分の声は気持ち悪いと感じるのでしょうか。改善する方法はあるのでしょうか。
今回は、自分の声が気持ち悪いと感じる理由と、改善方法を解説します。
自分の声が気持ち悪い理由
自分が聞いている声は、「気導音」と、「骨伝導」が混ざったものを聞いています。「気導音」とは、口から出た空気が振動することによって、聴覚神経に音が伝わる音のことです。
「骨伝導」とは、自分が発した声などの振動が頭蓋骨や口腔内に伝わり、聴覚神経に直接伝わることによって音が聞こえることです。硬いものを食べた時、ポリポリと大きい音がしているように感じますが、他の人にはそれほど大きな音として聞こえません。これは、骨伝導によって自分が発した音が自分の耳にダイレクトに伝わっているからです。
録音された自分の声が気持ち悪い理由
「骨伝導」で聞こえる自分の声は、自分の頭蓋骨や口腔を介して聴覚神経に伝わるので、自分以外の人には聞こえません。しかし、ボイスレコーダーなどの録音機材は気導音のみ録音するので、自分が聞いている骨伝導の声は録音されません。
そのため、録音した自分の声は骨伝導で聞こえる声がない分、普段聴いている声よりも若干細く聞こえるので、自分の声が気持ち悪いと感じるでしょう。
歌う時の自分の声が気持ち悪い理由
歌う時の自分の声が気持ち悪いと感じる理由はどのような理由なのでしょうか。
カラオケ
カラオケの機材には「エコー」という機能がついています。エコーをかけると、大きな会場で歌っているような、音が反響しているように聞こえる効果を与えることができます。便利な機能ですが、エコーをかけると歌声の欠点が聞こえにくくなります。さらに、マイクの音量を大音量にして歌うと、部屋に音が反響し、エコーの効果が増幅して、本来の歌声が聞こえにくくなります。
エコーや音の反響によって本来の歌声が分かりづらくなっている状態で歌っていたので、録音した実際の自分の歌声を聞くと、歌っていた時に聞こえていた自分の声と違うので、気持ち悪いと感じるのでしょう。
声優も自分の声が気持ち悪いと感じるのか
自分の声が気持ち悪いと感じている人は8割にも及ぶと言われていますが、声優も例外ではありません。現在活躍しているプロの声優の中にも、自分の声が気持ち悪いと感じた経験がある、と語る人は多いです。さらに声優の中には、生まれながらに周りの人とは違った独特の声を持つ人も多く、その声が原因でコンプレックスを持ったという人も少なくありません。
しかし、ボイストレーニングを積み、演技力に磨きをかけ、自分の唯一無二の声の特性を生かして、声優として活躍しています。
歌手も自分の声を気持ち悪いと感じるのか
自分の声が気持ち悪いことは改善されるのか
人間の声は、「声帯の長さ」「声道の長さ」によって決まります。声帯と声道の長さは基本的に身長に比例する傾向があり、身長が高い人は声帯と声道が長いため低い声になりやすく、身長が低い人は声帯と声道が短い人が多いため高い声になりやすいです。
しかし、声帯と声道の長さが声に影響する割合はおよそ2割程度で、残りの8割は、環境や発声時の癖、心理的なものなど、後天的要素が大きく影響しているとされています。いきなり大きく声を変えることはできませんが、自分の声が気持ち悪いと感じる原因が後天的要素が関係している場合は、練習次第で改善に近づけることができます。
では、自分の声を改善する方法を解説します。
どんな声になりたいか明確にする
好きな声優やアーティスト、俳優や女優、タレントやアナウンサーなどの声を繰り返し聞いて、自分の理想の声を明確に把握しましょう。YouTubeやなどの動画サイトや、インスタグラムなどのSNSを利用するのも良いでしょう。
自分の声を録音する
しかし、スマホの内蔵マイクは録音できる音域に限界があるので、よりクリアな音質を求める場合は、専用のボイスレコーダーを使用するのが良いでしょう。さらに良い音質を求めるのなら、ボイスレコーダーに外付けのマイクを取り付けて録音すると、より原音に忠実に録音することができます。
また、インスタグラムやツイッターなどで、ライブ配信をするのも良いでしょう。ライブ配信は、常に自分の声をスマホやパソコンで聞きながら行うので、リアルタイムで自分の声を聞くことができます。
自分の声に慣れる
繰り返し聞き続けているうちに、自分の声の癖がわかるようになります。その中で、良い部分と悪い部分をチェックし、改善が必要だと感じたらボイストレーニングを行なって、癖を直すように練習します。
ボイストレーニングをする
ボイストレーニングをしたら、再度自分の声を録音し、変化があるか確認します。これを何度も繰り返して、徐々に理想の声に近づけるよう練習を行います。
姿勢に気をつける
猫背になっていたり、首や肩に必要以上に力が入っていたりすると、体が緊張している状態なので、声がこわばっていたり、本来の声よりも響かなくなっている場合があります。背筋を伸ばし、首や肩の力を抜いてリラックスした状態で声を出すだけでも、声の聞こえ方が良くなります。姿見などを利用して、自分の姿勢をチェックしてみましょう。
練習次第で理想の声になれる
録音した自分の声を聞いたとき、自分の声を気持ち悪いと思うことはごく自然なことなので、あまり気にしすぎる必要はありません。しかし、どうしても気になる場合は、トレーニング次第で理想の声に近づくことができるので、練習を継続して行いましょう。