立場別夫の呼び方
喪主
「やも」は家を守る「屋守」+「女」で「やもめ」、「屋守」+「男」で「やもお」という意味がありました。平安時代からは妻を亡くした男の人にも「やもめ」の呼び方が使われるようになりました。
「やもめ」でも「男」の人を区別していうときは「男やもめ」という呼び方をしました。現在では男女問わず配偶者を亡くした人に対しての呼び方として「やもめ」は定着しています。男性の「やもめ」の字は「鰥」「鰥夫」が用いられています。
家長
シーン別夫の呼び方
訃報
人前
人と話しているときに「夫」を指していうときは、公の場や会社、友人などによって呼び方が変わります。
義父母の前
ニックネームや名前を呼び捨てにするのは、息子を大切にしてくれていない印象を与えてしまうため避けます。子どもがいればパパも問題なさそうですが、子どもが主体の言い方になってしまいます。
「○○さん」の呼び方は名前を敬称で言っているため、大事にしている気持ちが伝わります。夫の家族や親戚の前でも「○○さん」と呼ぶのが自然です。
正式な夫の呼び方(人に言うとき)
主人
①家の主
②雇い主
③妻が夫を指して他人にいう言葉
④客をもてなす人
「主人」はフォーマルなシーンで使える呼び方ですが、嫌う人もいます。年配の人の前で使うと比較的良い印象です。夫を立てる控えめで奥ゆかしい妻の像が、昔の理想とされてきたからです。現代では夫と妻を対等に見る傾向があります。
「主人」には「雇い主に仕える人」の意味があるため、女性蔑視の悪い印象を持たれる面があります。夫婦は対等であるべきなのに「主人」と「仕える人」との主従関係の言葉自体が差別を生んでいます。
男性と肩を並べて働いている女性からすれば「主人」という言葉に疑問を持つ人が多いでしょう。男性が上位で、女性を下に見る古くからの名残が見られる言葉です。
夫
「夫」の語源は平安時代の書物に男の人を「をひと」という記述があります。「をひと」の「ひ」がつまって「っ」となり、室町時代に「おっと」になったとされています。
かしこまったシーンで「主人」を使いたくない人は「夫」を使うことをおすすめします。実際には普段「夫」のことを人に話すときに「夫」と呼ぶ人は少ないです。
正式ではない夫の呼び方(人に言うとき)
旦那
①人にほどこしをする人、檀家
②奉公人が男の主人を敬う言い方
③商人や役者が自分をひいきにしてくれる人、金持ちの男性
④妻が夫を指して言う言葉
「旦那」はサンスクリット語の「ダーナ」が語源とされています。元仏教語である「ダーナ」は「贈る」「与える」の意味があり、「ほどこし」などに翻訳されて「檀那」「旦那」となりました。
「旦那」には「お金をくれる人」「面倒を見てくれる主人」の意味にがあります。夫の敬称であったとしても、面倒を見てくれることに敬意を表して、夫に依存している印象です。「主人」の呼び方に似た男性優位の関係が読み取れます。あまり公式なシーンには向いていないことがわかります。
旦那様
例えば会社で取引先の人に「部長さんはいらっしゃいますか」と聞かれた時に「部長さんは席を外しています」と言うのと同じです。身内に「様」を付けて人に話すのは恥ずかしいです。「様」の他に「さん」「君」「ちゃん」などでも同じです。
夫婦同士で呼び合う分には問題ありませんが、表に出たら立場を考えて聞いた人がどう思うか配慮して言い方を変えましょう。
亭主
彼
①男性を指していう3人称の人代名詞
②3人称の人代名詞あの人、あれ
③2人称の人代名詞、あなた、おまえ
④遠くのものを指していう、あれ、あのもの
⑤恋人である男性
「恋人」の呼び方と、「ただの男の人」を指す呼び方では意味合いが全然違います。「彼」は「主人」や「旦那」と違って差別的な意味はありません。夫がいることを知らない人に「彼」というと「恋人」がいると思われやすいです。
うちの人
「主人」と「旦那」の言い方に抵抗がある人は、「うちの人」に流れ着くパターンもあります。いずれにしてもかしこまったシーンでは使えないため、普段友達に話すくらいなら自由に言ってもいいでしょう。
パパ
本来「パパ」と呼ぶのは子どもだけです。妻にとっては「パパ」ではないのに、外の人に「パパ」と言うのは変です。話している相手に子どもがいない場合や、子どものこと全然知らない人に「パパ」というのは失礼です。家族間で呼び合うときの言い方であって外では使わない方が良いでしょう。
お父さん
「おとうさん」は家族間で呼ぶときの言い方で、人にも話すことは好ましくありません。敬称の「さん」まで付けて人に話すのは失礼です。
名前を呼び捨て
下の名前「○○さん」
他にもある呼び方
夫の呼び方(妻が直接)
あなた
「あなた」の意味は次のようになっています。「同じ立場か下の人に親しみを込めて丁寧にいう言い方」「妻が夫に対して親しみや敬意をもっていう言い方」「あっち、あなた、かなたなどの指示語」
このように「あなた」には対等である意味があるため、もっと使われてもいいはずですが、残念ながら若い人はほとんど使いません。自分の親が使っていなかったら益々これから使われなくなるでしょう。