神社の役割を知っていますか?
ある日突然、カフェがオープンするように神社ができることはありません。昔から「そこに」神社はあります。いつも見かける近所の神社が、いつ頃からあるのか知っていますか。神社の「あり方」が、「そこに」ある理由にも繋がってきます。
神社の在り方は日本そのもの
日本が起源である神道と神社は深い繋がりがあります。宗教ではありがちな「開祖・教義・経典・戒律」などが存在しないのも神道の特徴です。古代日本人の生活の中で、自然発生的に生まれた考え方が神道で、「古事記」や「日本書紀」に書かれた「日本神話」が基になっています。
自然をうやまう信仰
「八百万の神」と言われるほど、日本にはたくさんの神様が今も存在しています。
神社の象徴としての鳥居の意味は?
神様は「穢れーけがれ」を嫌います。本殿へと続く鳥居をくぐる度に清められ、結果、穢れを払ってから神様の前へと進みます。ちなみに、鳥居は「一基、二基」と数え、一見すると同じように見える形ですが、実に60以上の種類があり、大きく分類すると「明神造り」と「神明造り」の2つに分けられます。
「明神造り」の特徴は、鳥居の一番上に乗っている横木(笠木)が、ゆったりとカーブしており、仏教建築の影響を受けています。「神明造り」の鳥居は笠木が直線的で、日本古来の形状とされています。
なぜ鳥居は赤いのか?
しかし、鳥居といえば、やはり赤を連想します。赤を使うにはいくつかの理由があります。
・赤・朱色が魔力を持ち、厄災を防ぐと考えられていた
・祀られている神様の力を高める
・防腐剤(塗料となっている原料の石が「賢者の石」と呼ばれ、防腐効果がある)
・朱雀の方向(南)に由来。赤い鳥居はお稲荷さんが祀ってある神社に多いとされます。お稲荷さんは農耕の神様です。南向きの神社が多く、風水的には南の方向は朱雀(赤・朱色)となるためです。
神社で行う「手洗い」の意味とは?
境内に入ったら、手を洗います。では、なぜ手洗いをするのでしょうか。神道の「禊ぎーみそぎ」が、手洗いの本来の姿です。神前にいく前に、神社の近くの川や湖、滝などの水辺で全身を洗い清める儀式を行います。古来から、水には穢れを払い身を清める力があるとされています。
伊勢神宮の内宮への入り口でもある宇治橋は、俗世から神聖な世界への架け橋とされています。その下を流れる五十鈴川では、お清めの儀式を行える石畳があり、現在も「禊ぎー水行」を体験できます。
しかし、現代において神社を参拝するごとに全身を清めることは、現実的ではなく困難と言えます。簡易的な意味を込めて、手洗いで穢れを落とし、禊ぎの儀式をしていると言えます。
神社の手洗いの場所はなんて呼ぶ?
お手水・手水場・手水舎などと表記されます。どれも同じものを指す言葉で、一般的には「手水舎ーちょうずや」が正しい呼び方とされます。参拝するための作法のひとつが、手洗いで清めることです。手水舎の前に立ち、心身の浄化のために手洗いを行い、口をすすぎます。
なぜ神社の手洗いには龍がいるのでしょう
龍は架空の生き物とされていますが、日本では昔から神様として信仰の対象でした。水や雨、雲など「水」にまつわる神様で、「龍神」として崇められてきた歴史があります。水がなければ、人も含め動植物は生きていけません。水は命の根源で、神聖なものとされてきました。
龍神の口から流れ出る神聖な水で手洗いをし、身を清める場所が手水舎です。神社によっては、山からのわき水を使用している手洗いもあります。ご神体である山から流れ出る神聖な水を龍神が守り、邪気を払う役割もしています。
龍以外の手洗いの生き物
その中でも代表的なウサギは、住吉神社に多く見られる「手水舎の兎」です。住吉神社の総本山である住吉大社の創建日が、神功皇后摂政十一年(211)辛卯(かのとう)年の卯月の卯日であったため、兎が住吉大社の「神使」とされています。
正しく知っていますか?神社での手洗いの作法と手順
人々が神社に訪れるのは、人生の節目(厄除けや厄払い、七五三やお宮参り)や初詣などです。近所の神社のお祭りなどに頻繁に参加し、子供の頃は遊び場にしていた人もいるでしょう。もちろん、観光で訪れることもあるでしょうが、自発的に神社に訪れる機会は多くありません。
神社に訪れる頻度が高いから御利益があるわけではありません。量より質が大切です。手洗いでの作法とやり方、参拝の仕方を覚えておけば安心です。
具体的な手水舎での作法
②柄杓を左手に持ち替えます。同じ水で右手を清めます。
③再び右手に柄杓を持ち、左手の手のひらに水を貯めます。その水で口をすすぎます。
④改めて左手を清めます。
⑤柄杓を立てて持ち、残った水で柄杓の柄の部分を清めます。柄杓を元の場所に戻して終了です。
全ての動作を最初に柄杓に汲んだ「1杯の水」で済ませるのも作法です。柄杓に直接口を付けるのは衛生的にもNGで、御法度です。
神社で手洗いした後は拭くべきか?
しかし、神社などで公開している手洗いの作法や参拝の仕方には、あらかじめハンカチを用意することを勧めています。その際は、清潔な白いハンカチや手ぬぐいがおすすめです。
神社の手洗いの水は口につけても大丈夫?
手洗いの水自体が枯渇し、落ち葉が溜まっていたり、ゴミが手洗いの中に浮いている場合も残念ながらあります。そういった神社では、無理に手洗いを使う必要はありません。参拝するのは、神様に対する気持ちの方が大切です。
水質検査をしている神社はある?
参拝客のために、手洗いの水の水質検査をしている神社も存在します。飲料水として水を汲み、持ち帰ることが可能な神社などでは、きちんと水質検査をしています。「飲料水」という言葉がポイントで、手洗いの水は飲むことを前提にしていないので、水質検査をしている神社は多くありません。
神社の手洗いを忘れたらどうなる?
参拝をする際、手洗いがあることに気づき、きちんと管理をされている手洗いにも関わらず、あえて手洗いをしなかったら、どうでしょう。罰が当たることはないでしょうが、手洗いがなぜ存在しているのか、お清めや穢れを落とす意味などを考えると、粗末にできないと気づくはずです。
正しい作法を知って参拝しましょう
ちゃんとした作法にのっとり参拝し、手洗いでお清めをすると清々しさを感じます。さらには、手洗いに龍がいる理由や由来にまで思いをはせれば、より神社を訪れることが身近に感じられ楽しめます。日本の神様は、昔からとても身近な存在です。