自己嫌悪しているか診断するチェック項目
自分で自分を嫌になることを「自己嫌悪」と言います。失敗が重なったり、自信を喪失した時に陥る心理状態ですが、深みにはまってしまうとなかなか抜け出せなくなることがあります。このような自己嫌悪の状態は、どのような心理状態なのでしょうか。
今回は、現在自己嫌悪に陥っている、という方のための自己嫌悪診断チェックと、自己嫌悪に至る心理、また自己嫌悪を克服する方法をご紹介します。
自己嫌悪している?診断チェック
気持ちが落ち込んでいるのは、自己嫌悪が原因でしょうか。ここでは、自己嫌悪の状態にあるかどうかを診断するための10のチェック項目をご用意しました。当てはまる項目が多ければ自己嫌悪の可能性が高いです。
自分に幻滅した
失敗が重なって「自分はなぜこんな簡単なこともできないんだ」と幻滅した、という場合、自己嫌悪の可能性が高いです。これには「自分にはもっとできるはずだ」という、自分に対しての期待があります。期待を裏切られたので幻滅してしまったということです。
他人と自分を比べてしまう
他人と自分を比べて、自分のできない部分ばかり見えてくる人は自己嫌悪の可能性が高いです。本来、正確に同じ基準で他人と比較することはできません。条件が違うので、比較対照できないからです。それでも比べてしまうのは、他人が羨ましいからです。また、他人が持っているものだから羨ましく見える、という性質もあります。
嫌いなものばかり目に付く
自己嫌悪の癖がある人は、好きなものや楽しいことではなく、まるで自分で自ら嫌な気分を探すように「嫌いなもの」ばかり見ようとします。これは自分をわざと傷つける行為で、嫌いな自分へのあてつけでもあります。嫌いな人に嫌がらせしたくなることと同じです。
愚痴を言ってしまう自分が嫌だ
「疲れた、仕事が嫌だ、帰りたい」などの愚痴を言ってしまう自分を許せない人も自己嫌悪の可能性が高いです。これは「真に素晴らしい人は愚痴を吐かないはずだ」という思い込みがあるためです。どんな人でも愚痴を吐くことはありますし、愚痴を言うことで健康になることもあります。理想を追い求めるあまり、自分の行動範囲を狭めようとする行為です。
些細なことも面倒に思えてしまう
窓を開ける、ちょっとコンビニに行く、などの些細なことも面倒に思えてしまう人は、自己嫌悪の可能性が高いです。自己嫌悪の状態のときは自信を失っているので、ちょっとした行動にも価値を見いだせません。「ご飯を食べることに何か意味があるのか」などと考えてしまいます。自分に価値を見いだせないので、付随する全ての事柄も無意味に思えてしまいます。
誰かと一緒でないと不安
自己嫌悪に陥っている人は、ひとりで行動することをひどく不安に感じます。自分を信用できないため、誰かの存在がないと不安だからです。誰かがいないと怖いので、電車に乗る、買い物をする、といった簡単なこともできなくなってしまうことがあります。
周囲からの評価が怖い
周囲からの評価に敏感になってしまうのも自己嫌悪の人の特徴です。自分で自分を高く評価できないため、他人の評価に強く依存します。この場合、褒められても納得せず、貶されると納得しますが心が傷つきます。どのような評価も受け入れることができません。しかし、周囲からの評価を求め続け、同時に評価を怖いと感じます。
愛想笑いをしてしまう
自己嫌悪中の人は、うまく愛想笑いで切り抜けます。真実の自分の感情を封印しようとしているので、対外的な関わりはうまくなるからです。その代わり、自分の感情に対しては鈍くなり、どんな感情に対しても否定的です。悲しいのも楽しいのも許せなくなります。
楽しいことはいけないことだ
少しでも楽しい気分になると「価値のない人間が楽しんではいけない」と封印しようとします。そのため、好きな食べ物、好きな映画、好きな洋服などを避けるようになります。自己嫌悪の状態は、自分のことが嫌いなので、楽しいことを積極的に避けます。友達からの誘いなども断ることが多くなります。
理想がある
自己嫌悪に陥りやすい人は、理想が高い傾向があります。平均的に60点取れれば合格のテストでも、100点満点でなければ許せないと感じます。理想が高い方が目標を達成することができますが、自己嫌悪に陥ってしまうと「全てが嫌になる」ため挫折することがあります。
「今できないけれど、次は頑張ろう」と上手に転換できなかった場合、自己嫌悪に陥る傾向があるため、理想のハードルを高く設定しすぎる人は自己嫌悪になる可能性が高いです。
自己嫌悪する人の特徴
自己嫌悪に陥ることが多い、という人はどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、自己嫌悪に陥りやすい人にある特徴についてご紹介します。
完璧主義である
自己嫌悪に陥りやすいタイプの特徴として、完璧主義が挙げられます。完璧を目指すがゆえに挫折することが多く、その度に自己嫌悪に陥ります。完璧を実現できることはあまり多くなく、本人の努力が報われないことが多いです。「こうでなければならない」「完璧でなければ許せない」というこだわりが強い、という特徴があります。
自己評価が低い
自己嫌悪に陥りやすい傾向のある人に見られる特徴のひとつとして「自己評価が低い」があります。この自己評価はあくまで自己評価なので、たとえ賞を受賞したり、誰かに褒められたり、大勢に認められても納得しません。自分で自分に正しい評価を与えられない、他人からの評価を受け入れられないためです。
そのため、何をやっても満足できず、何を達成しても自分を褒めることができません。仕事はできるのになかなか納得しない人、完成しているのに作業をやめない人などが当てはまります。
向上心がある
自己嫌悪に陥りやすい人は、向上心がある人でもあります。「もっとできる」と信じているからです。しかし、理想が高すぎるためになかなか達成できず、自己嫌悪に陥ります。小学1年生が、まだ習っていない6年生のテストに挑むようなもので、当然なかなか達成できません。向上心はあるが、空回りしているような人です。
無茶な挑戦をしたり、計画性がなかったり、ビッグマウス(できないことをできると言う)の人が、この傾向にあります。
自己嫌悪する人の心理
自己嫌悪する人は、どのような心理状態なのでしょうか。ここでは、シチュエーション別に自己嫌悪中の人の心理状態についてご紹介します。
恋愛の自己嫌悪
完璧を求める人は、恋愛においても自己嫌悪に陥ります。自分にも相手にも完璧を求めるため、すぐに「もう私たちはダメだ」という評価を下したがります。「ほどほど」ということを知らないため、毎日会ったり、全く会わない日が続いたり、という波があるのも特徴です。
自己嫌悪は自分との戦いでもありますが、身近な他人であるパートナーも巻き込んでしまいます。理想のカップル像が頭の中にある場合は、それを忠実に再現できなければならない、と思い込むため、相手にも強いプレッシャーを与えます。自己嫌悪型のカップル(片方、または両方)が早く別れる傾向にあるのは、相手に過度な期待を抱くためです。
仕事の自己嫌悪
仕事における自己嫌悪で多いのが「怒られてもいないのに落ち込む」ことです。「自分にはもっとできるはずだ」と考えているので、それが達成できないと許せないためです。小さな失敗で周囲がフォローしてくれたとしても、本人は落ち込みます。結果オーライ、という考え方ができないからです。
自分と仕事の妥協点を見つけることができない場合、その仕事を長く続けることができず辞める人も多いです。また、周囲の評価を重く受け止めてしまう傾向もあり、とくに悪い評価を重く受け取ってしまうため、落ち込みやすい傾向にあります。完璧主義であれば完璧以外は許せないため、自己評価は辛くなります。
自己嫌悪を克服する方法
自己嫌悪に陥りやすい人が、それを克服するためにはどのようにすればいいのでしょうか。ここでは自己嫌悪を克服する方法をご紹介します。
自尊心を守れる環境に身を置く
自己嫌悪に陥らない人になるためには、自尊心を正しく持つことが大事です。高すぎず、低すぎない自尊心を持っていれば、自然に自己評価は適切なものとなります。つまり、他人から自尊心を傷つけられない環境、さらにちょっとしたことでも褒められる環境に身を置くことをします。
職場や家庭において「そこにいるだけで責められる」ようであれば、その場から去って安心できる居場所を見つけることが大事です。また、安心して接することができる人、攻撃的ではない人と一緒に過ごすことも大事です。
失敗を認め事実に変換する
自己嫌悪に陥る人は、失敗してしまうと頭が真っ白になり「ダメだ、ダメだ」と感情に支配されてしまいます。このとき「なぜ失敗したのか、次どうすれば失敗を防げるか」までしっかり事実を見なければ改善できません。失敗により心は傷つきますが、そこから何かを学ぶことで次に活かすことができます。
感情に支配され、感情に振り回されるのではなく、事実だけを見て事実から学ぶことが大事です。小さなことから、事実を把握する訓練をするといいでしょう。
完璧をやめる
完璧主義によって自己嫌悪に陥る人は、自分が完璧主義であることを知り、認め、辞めることです。100点満点ではなく、60点もできたら合格だ、とハードルを下げます。ハードルを下げて、できたことをノートに書き記したり、自分で自分を褒めることもです。
達成できない完璧を追い求めるよりも、小さなことから少しずつ達成感を積み重ねたほうが自信もつき、自己嫌悪にも陥りにくくなります。ポイントカードでポイントを貯めていくような感覚で、毎日少しずつ達成感を積み重ねていきましょう。
自己嫌悪する人に名言
ひとつの名言で心が救われることがあります。ここでは、自己嫌悪に陥りがちな人に名言をご紹介します。
名言
小さなことを楽しみなさい。振り返った時に、それがとても大きく、大切な思い出だったと気付ける日のために。
これはアメリカのソフトウェア開発者、ロバート・ブラウルトの言葉です。自己嫌悪に陥る人は、小さな幸せを見過ごしている人です。大きな成功を夢見ることも大事ですが、まずは小さな幸せを実感できるようになることが、成功の第一歩です。失敗を嘆くよりも、小さな楽しみをその度に噛み締めることが人生の充実に繋がります。
自己嫌悪するストレスの解消方法
自己嫌悪は本人にとってもストレスです。自己嫌悪に陥ってしまったとき、そのストレスを解消するためにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、自己嫌悪によるストレスの解消方法をご紹介します。
自分自身と対峙しない時間を作る
自己嫌悪に陥っている人は、自分の不甲斐なさに落胆しています。気が付くと自分を責める思考になるため、自分に対して考えることを一旦やめなければなりません。そのため、別のことに集中することでストレスを解消することがです。
映画を見る、音楽を聴くのもいいですし、手先を動かして作業に没頭するのもです。ゲームや読書でもいいでしょう。余計なことを考える余裕をなくした方がいいので、頭を使う楽しいことがです。
日常を離れる
普段生活している場所にいるだけでストレスになることがあります。このような場合、日常を離れることがです。旅行に行く、温泉に行くなどのレジャーもいいですし、思い切って引っ越してしまう、旅に出るのもいいでしょう。
なかなか日常を離れる余裕がない場合は、いつもと違う道を通ってみたり、行ったことがない公園を巡ってみる、近所のスーパーではない店で買い物してみるのも、違う空気を感じられてです。
自己嫌悪は怖くない
現代は自己嫌悪に陥る人が増えています。何をやっても完璧を求められるため、自分にもそれを課してしまう傾向が強いからです。しかし、本来なら健康に生きているだけでも素晴らしいことですし、豪華な食事でなくてもご飯は毎日おいしいはずです。失敗や、できなかったことを数えるのではなく、楽しいことや小さな達成感を大事にしましょう。
「自己嫌悪に陥りやすい自分」に気が付けたら、もう怖くありません。完璧をやめ、ほどほどに生きていけるように努力するだけです。