所有欲と所有欲の強い人の定義
一般に所有欲とは、我が物にしたいという欲望のこと、を指します。つまり、何かを欲しいという気持ちは所有欲といえるので、所有欲があること自体は決して悪いことではありません。むしろ所有欲とは誰しもが持つ健全な欲望といえます。
ただし、所有欲は欲の分類の中では低次な欲求と言われる生理的・本能的な欲求(主に三大欲求)よりも、ヒトの高度な思考力によって生み出されたより高次な欲求の心理・社会的な欲求に分類される欲望であるといえます。
所有欲が強い人というのは、この健全な欲望である所有欲の度合いがより強い人、もしくは周りよりも強いと自覚している人ということになります。
最後に所有欲の類語には支配欲や物欲が含まれているということを付け加えておきます。
所有欲が強い人の心理や特徴とは
自分に自信がある
自分に自信があるタイプの人や完璧主義の人達の多くは自分の価値に見合ったものや理想に沿ったものを所有することを望んでいます。
それらは物質的なものであったり、異性であったり、仕事上の成功であったりとさまざまですが、自分の価値や才能に自信があるだけにより洗練したものを手にしたいという欲望が強い傾向があります。
ただし、この欲望は必ずしも悪いものとは限りません。常に成長したいと望んでいる向上心の高い人と捉えることもできます。
また実際に実力がともなっていたり過去の成功体験を裏付けとし、自分の可能性を信じられるポジティブな人であるからこそ多くを望めるともいえます。
プライドが高い
強い自己顕示欲は例えば高級品や洗練した異性との交流などを周囲に見せつけ自分には高い価値があることを認識してもらうことでも満たされます。
自己顕示欲が強い人はその強い自己顕示欲を満たすための強い所有欲をもっている傾向が高いです。
自分に自信がない
その理由は自信のなさや不安を補うための精神的武装が必要な人もいるからです。心理学では人は身に付けたものを無意識に自分の一部とみなす傾向があるといわれています。
例えば高価なものを身に付けると自尊心が高まるといわれています。これを心理学では自我拡張効果といいます。
この自我拡張効果について知っていれば自信がないからこそ所有したがるという心理傾向にも納得できるはずです。
所有欲が強い人の恋愛傾向
自分勝手
というのも、これらの人は自分の生活や理想とする世界観を崩そうとはなかなか思えないためです。恋愛においても自分のスタンスを貫きたいと考えており、理想の恋人像や理想の恋愛像がしっかりと欲望としてあるため、自分を変えるよりも自分に合わせてもらうことを望む傾向にあるからです。
ただし、この傾向も良い意味で捉えれば芯のあるぶれない人ともいえます。
相手に成長や変化を求める
そのためファッションや体型、趣味や料理などのスキル、言葉使いや仕草など多くのことで変化や成長を求めてくる場合もあります。
しかし、この傾向がうまく作用すれば思わぬ成長や変化を与えてくれたり、成長を促し合える素敵な関係が築けたりもします。
所有欲を無くす方法はあるのか
誰しもが持つ自然な欲望であるために人は生きている限り所有欲を完全に無くすということはできないでしょう。
しかし、強すぎる所有欲で悩みが生じている場合には所有欲をある程度コントロールする必要もあります。所有欲をコントロールしたいと考えている場合には所有欲が生じている根本的な原因について考える必要があります。
心理学から探る所有欲
マズローの欲求5段階説というものはご存知でしょうか。マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求には5段階の次元があり、第1段階の生理的欲求から、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現欲求と欲求の次元は上がっていくという説のことです。
例えば、恋愛において束縛が激しい人の場合、その独占欲は自信のなさや依存対象を失う不安からきている場合があります。この場合はマズローがいうところの第2段階の安全欲求から生じていると考えられます。
物欲が激しいという場合は、高価なものを身に付けることによって自分の価値を高く見せたいという第4段階の尊厳欲求からきている場合や、理想の自分に現実が追い付いていない焦りが第5段階の自己実現欲求を刺激し物欲となってあらわれている場合があります。
心理学では所有欲には段階がある
例えば自己顕示欲による物欲に悩んでいる場合は、欲求を満たすための方法を購入する、身に付ける、という方法とは違うやり方で満たす努力をしていきましょう。尊厳欲求や自己表現欲求から生じている物欲は、自分の価値を周囲に示すことや理想の自分に近づくことができれば解消に向かうと考えられます。
所有欲で悩んでいる場合には、所有欲には段階があるというマズローの説を参考に、自分の求めている欲求の段階を知ることから始めてみましょう。
所有欲と物欲の違いとは
ただし、物欲が所有欲であるかという解釈は人によって異なります。では、その解釈の違いはどこで生まれるのでしょうか。所有欲の定義から考えてみると、我が物にしたいという欲望、という言葉には対象に対しての執着心や信念すら感じることができます。物欲が所有欲の一部であるかどうかは対象に対する執着の度合いで決まるといえます。
所有欲を満たす方法
一番シンプルな答えは、我が物にしたいと思う対象そのものを獲得してしまうことでしょう。所有欲とは自分に不足していると感じるからこそ生まれる欲望なのですから望む対象をそのまま手にできればひとまず満たされるというのはまず間違いないのないことです。しかし、現実には難易度の高い問題といえます。
では、所有欲とは絶対に満たすことができない欲望であるのかといえばそうでもありません。強い所有欲で悩んでいる場合は、マズローの欲求5段階説を用いて所有欲について説明したように、まずは広い視野でその所有欲が生じる本当の原因ついて考えてみましょう。
すると、それを獲得することでしか満たされないと感じていた所有欲も違うものでも満たされる可能性があることに気付くはずです。ときには冷静に柔軟に自分の欲望に向き合うことも所有欲を満たす上では大切なことです。
所有欲を感じない人の特徴
自己受容できている
ただし、自己受容できている人にもいくつかパターンがあり、ある程度理想を実現したからこそ自己受容できている人や、自分に限界を定めて諦めに似た考えで自己受容している人もいます。
大きな野心や夢がない
草食系気質
強い所有欲を感じる、つまり、あれが絶対に欲しい、これを実現したいと強く感じるということは肉食動物的な発想や欲求であるといえます。
さらに本当にそれを獲得していくには仕事や異性に対してエネルギッシュでアグレッシブであることが求められます。
所有欲をあまり感じないタイプの人はその逆の気質をもっているので草食系気質であるか一般的に草食系に見られることが多いです。
所有欲と独占欲の違いとは
基本的に所有欲は理想を獲得することに対しての執着です。それに対し独占欲は獲得したものを自分だけのものにしておくことに対して執着心を燃やしています。
独占欲には依存的な傾向があり、恋愛においての束縛行為は独占欲によって起こることが多いです。
強い所有欲が人生にもたらす影響とは
所有欲が強いと聞くと支配的とか見栄っ張りであるだとかネガティブなイメージを抱いていた人も多そうですが、強い所有欲が必ずしもネガティブなものとはいえません。
所有欲が生じる理由を心理学的に見ていくと所有欲の強い人は自分の可能性を信じることができる人、向上心の高い人、という捉え方は十分にできます。また自分を信じて夢を描き実現することに執着心を燃やせるというのは多くの成功者が持つ性質のひとつでもあります。
今後はその所有欲をひとつの才能と捉え、ポジティブに動き出しましょう。きっと人生がより豊かなものになっていくことでしょう。