不動明王とは?
どんな仏様?
また不動明王は、降三世明王、 軍荼利明王、大威徳明王、 金剛夜叉明王とともに五大明王の一尊であり、中心に位置する仏様です。さらには密教の大日如来の化身とも言われ、大日如来が穏やかに諭しても聞き入れない人に対し、厳しい形相をした不動明王に姿を変えて現れたと伝えられています。
どんな特徴があるの?
火焔光
また、炎の一部が鳥の頭のような形をしたものがあり、迦楼羅炎(かるらえん)と呼ばれています。迦楼羅炎はインド神話に出てくる火の鳥ガルダが前身とされている、聖なる鳥の化身、迦楼羅(かるら)が吹く炎を表しています。
忿怒の形相
一見恐ろしく感じ、本当に不動明王のご利益にあずかることができるのか心配になりますが、この表情には、たとえ言うことを聞かない人でも、見捨てることなく救いの手を差し伸べる、そんな慈悲深い心が表されています。
天地眼
平安時代の中期以前は、前をまっすぐ見据える平常眼(へいじょうがん)が主流だったのですが、それ以降には天地眼が見られるようになりました。天と地をくまなく見渡せるからこそ、不動明王のご利益が人々に行き渡るのでしょう。
三鈷剣と羂索
左手の縄は羂索(けんさく)といい、赤、青、黄、白、黒の五色糸でよりあわされた投げ縄のようなもので、邪悪な者を縛り上げ、また煩悩を断ち切れない人を縛りあげて救うためにあるとされています。
高尾山の不動明王は飯綱大権現
薬王院の正式名称は高尾山薬王院有喜寺といい、あちこちに天狗像がみられます。そのことから天狗信仰の強い寺院という印象を受けますが、これらの天狗像はご本尊である飯縄権現(いづなごんげん、いいづなごんげん)の守り役とされています。
飯縄権現は古くから戦勝の神様としてあがめられ、武田謙信や上杉謙信などの戦国武将達も不動明王のご利益にあずかっていました。飯縄権現は白狐に乗った鳥天狗の姿をしていますが、不動明王の化身であり、それを証するように背後には火焔光、顔は忿怒の形相、手には剣と羂索を持っています。
飯縄権現と不動明王のご利益
戦国時代後半には、武神としてあがめられ、江戸時代中期になると人々の祈願は無病息災や雨乞いに変わり、そして江戸時代後期では火防の神として信仰を集めました。それほど不動明王のご利益はパワーがあると人々に信じられていたということです。
古くからその時代の背景に合った、さまざまな苦悩や祈願を聞き入れて、今もなお人々を救済し続けています。
不動明王のご利益は?
現世利益
邪気払い
恐ろしい形相と手にしている剣と羂索で、あらゆる邪気や悪霊を払いのけてくれるため、今も変わらず多くの人が邪気払いを祈願します。また、不動明王のご利益の中でも邪気払いはとても効果が高いとされています。
不動明王のご利益を受ける方法は?
真言をとなえる
真言をとなえるにあたり、密教の「三密」である、身、口、意を実行するとより効果が高まりますが、修行を積んでいない人には容易にできることではありません。身は印を結び、口は真言をとなえ、意は仏と一体化することを意味していますが、真言を口に出してとなえるだけでも効果があり、不動明王のご利益を受けることができます。
まず不動明王のご本尊前に座ります。ご本尊がなければ絵や写真、またはイメージをしながらでも構いません。気持ちを落ち着かせて、真言「ノウマク・サンマンダー・バーザラダン・センダー・マーカロシャーダー・ソワタヤ・ウンタラター・カンマン」を9回となえます。手は印を結ばず合わせるだけでも大丈夫です。
護摩で祈願する
この護摩祈願は、ご本尊前にある火炉で護摩木を焚いて清めることで、不動明王のご利益が得られると大変人気があります。護摩木は願う事によって異なり、値段も3千円ほどから10万円ぐらいとさまざまです。
より効果的に不動明王のご利益を受けるためにも、自分に合った護摩木を選びましょう。また祈祷日時が決まっている場合が多く、お寺によって違いますので、護摩祈願をするときには必ずお寺に確認してください。
お守りを購入する
最近はインターネット上でも不動明王のお守りを購入することができ、古式護符、カードお守り、指輪やネックレスと、種類も豊富です。どれが良いということはありませんが、自分が常に持ちやすいものを選ぶとよいでしょう。より確かな不動明王のご利益を受けるためにも、購入の際には、お坊さんによって法要されたお守りなのかという点も確認することが大切です。
不動明王のご利益は信じる人のみ受けられる
誰でも迷いや苦悩があり、神仏にすがりたくなる時があります。昔から人々の信仰を集めている不動明王のパワーは、はかりしれません。その力を信じる人だけが、不動明王のご利益を感じることができるでしょう。