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禅問答の例文7つ・禅問答について書かれたおすすめの本4選

Author nopic iconそそんそ
雑学 / 2019年02月13日
禅問答の例文7つ・禅問答について書かれたおすすめの本4選

禅問答とは

「禅問答」という言葉、あまり聞きなれない単語です。日常生活よりも小説など文字で目にすることの方が多いでしょう。

今回の記事ではそんな「禅問答」の解説と禅問答の具体例を7つ紹介して行きます。

古代インドからと歴史の古い禅という言葉ですが、「禅問答」はそれに関係し、東洋哲学と関わります。哲学的でウィットに富んだ禅問答の世界にのめり込むこと間違いなしです。これを機会にぜひ禅問答の世界を体感して見てください。

読み方

禅問答は「ぜんもんどう」と読みます。「ぜんもんとう」ではないので注意しましょう。「と」が濁ります。

言葉で発することが少ないので間違えやすいと言えます。注意です。

また「禅」という言葉は英語にしても「ゼン」と発音します。ある意味世界共通語とも言える「禅」は広く人々の間に知れ渡っています。

意味

仏教、特に禅宗の用語です。師から弟子に向けて問われる謎かけのようなものをさします。

すぐに答えが出るものではなく、また何が正解かもわかりません。側からからみれば屁理屈や一種の大喜利に見えることから、日常生活で禅問答という場合は哲学的なことや現実的でない議論をさして使われます。

公案

公案とは修行のために弟子が師匠から与えられる問題です。公案に回答していくことで禅問答が生まれて行きます。

公案のほぼ全てが一朝一夕には答えられるものではありません。回答の仕方や何を聞いているのかすらわからないものがほとんどです。こうした無理難題に答えていくことが「禅問答」の真骨頂と言えます。

由来

次に禅問答がどうして生まれたのか、その由来が気になるところです。

禅問答の意味は端的に言ってしまえばブッタの教えを体現しているかどうか?を証明するためのものです。あらゆる角度からの質問によって本当にブッタの教えが理解できているかどうかを試しています。

言い換えれば面接試験のようなイメージです。

景徳伝灯録

禅問答を集めた最もポピュラーな史料が「景徳伝灯録」です。

禅宗には「聖書」や「コーラン」のような聖典がありません。そのため彼らが行ったことは禅問答によって受け継がれてきた教えをさかのぼり、ブッタとくっつけることで正統性を獲得しようとしました。

紀元前の人であるブッタまでを禅問答でつないでいくため、途方も無い量の禅問答がここには収録されています。そのためこの書物が禅問答の基礎という立ち位置になっています。

禅問答の例文7つ

ここまでは「禅問答」について大まかな説明をしてきました。普段馴染みのない言葉である「禅問答」ですが、イメージがついてきたのではないでしょうか。

「禅問答」はその字面どおり言葉による対話がメインです。しかし身体作法である「禅」を取り入れたことで、その発想は言葉より身体を重んじる傾向にあります。現代から見ればその発想は新鮮なものに映るはずです。

では次に実際の「禅問答」の例文を7つご紹介します。

例文:野鴨

鳥がいると思うのは自分の心の働きに他なりません。鼻をつまんで痛いと言った弟子に対して、「ここにいる」と言ったのは弟子の心の働きがそこにあることを表しています。それを指摘した禅問答です。

仏教では人間の思い込みを極端に嫌います。思考で凝り固まると本質を見失うと考えます。

常識という言葉で作られた思い込みは思った以上に多くあります。それに気づかされる禅問答と言えるでしょう。

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師匠が弟子と歩いている。すると野原から野鴨の一群が飛び去っていった。
 それを見た師匠が、弟子に聞いた。
 「あれは何だ」
 「野鴨です」
 「どこへ飛んでいったのか」
 「わかりません。ただ飛んでいったのみです」
 答えを聞いた師匠は、急に弟子の鼻を強くつまんだ。
 「痛い!」
 「なんだ、飛び去ったというが、野鴨はここにいるではないか」
 弟子は悟りを開いた。

例文2:狗子仏性

この禅問答では犬には仏性、つまり解脱する能力があるかどうかに焦点が当てられています。仏教では万物全てに改心する能力があるとする立場ですが、ここではバッサリとそれを切り捨てています。ある種矛盾している風にも思えるこの問答ですが、師匠の中に矛盾はありません。

この「禅問答」を現代に引きつけて考えて見ましょう。自分の胸の内に秘められた能力は自覚する心がなければないものと同じということです。

Blockquote firstBlockquote second

ある僧が、和尚に尋ねた。
 「犬にも、仏性(仏の性質)はありますか?」
 「ない」
 「なぜないのですか?」
 「自分に仏性があることを知らないからだ」

例文3:茶一杯の禅理

この禅問答では「立場の無視」がテーマです。初めての者、以前に来たことがある者、そして知り合いである院主。立場が違う3人を対等に扱います。仏教は差をつけることを嫌います。何もかもが等しく、平等に価値がないと考えるからです。

諸行無常に代表されるように、何かを絶対視することを嫌うのが仏教です。誰に対しても態度を一貫させるというのは現代にも通じる警句でしょう。

Blockquote firstBlockquote second

師匠のところに2人の修行僧が来た。

「前にもここに来たことがあるか?」
「来たことがありません」
「ではお茶を召し上がれ」

もう一人の僧に師匠がたずねた。
「前にもここに来たことがあるか?」
「来たことがあります」
「ではお茶を召し上がれ」

院主が師に尋ねた。
「前に来たことがない者に『お茶を召し上がれ』とおっしゃるのはともかくとして、 前にも来たことがある者になぜ『お茶を召し上がれ』とおっしゃるのですか?」
「院主さん」
「はい」
「お茶を召し上がれ」

例文4:風になびく旗

ここでのテーマは「見方を変える」ということです。「旗が動いている」「風が動いている」どちらも正解です。そして「心が動いている」というのも哲学チックですが正解です。

どれでもいいと切り捨ててしまうのは簡単です。しかし見方を変えると思いもよらぬ示唆が得られるのも事実です。柔軟な思考というのはこうしたところから生まれてくるのでしょう。

Blockquote firstBlockquote second

風になびく旗を見ながら、二人の僧が言い争っていた。
「これは旗が動いている」
「違う。風が動いているのだ」
 そこに通りかかったもう1人の僧侶がいった。
「旗が動くのでも、風が動くのでもない。あなたたちの心が動いているのだ」

例文5:瓦を磨く

この禅問答のテーマは「本末転倒」です。車を鞭で打ったところで牛車は動きません。ここで弟子は「仏になるため」と言っていますが、仏教的な考えではNGです。すでにみんな仏です。つまり「仏だから座禅を組む」が正解です。

このように目的のための手段がトンチンカンなものになってしまうことは良くあることです。「なんのために今これを行うのか?」常に自分に問うことの重要性を教えてくれる禅問答です。

Blockquote firstBlockquote second

弟子は毎日座禅ばかりしていた。
 そこへ師匠がきていった。
 「何のために座禅をしているのだ」
 「仏になるためです」
 すると師匠は、落ちていた瓦を拾って磨き始めた。
 「師よ、何をなさっているのですか?」
 「瓦を磨いて、鏡にしようとしておる」
 「瓦を磨いても、鏡になるわけないではありませんか」
 「ならば聞くが、座禅をして仏になるのか?」
 「同じことなのですか?」
 「牛車が動かなくなったとき、おまえは牛を打つのか、車を打つのか」

例文6:南泉の猫

仏教ではものに執着することは禁止です。そして殺生も禁止されています。ここではみんながみんな訳のわからないことを行っています。優秀な弟子はそれを指摘する意味を込めて頭の上に草履を乗っけたのでした。

このように禅問答では言葉ではなく、具体的な行為で相手をたしなめるということが散見されます。言葉の力を疑っているからです。この態度は、情報の溢れる現代では多くの示唆を含んでいます。

Blockquote firstBlockquote second

弟子たちが、
「これはわれわれの猫だ」と言い争っていた。
 そこへ現れた和尚は、
「いまこのときに、仏の道にかなう言葉を発すれば猫は斬らない。さもなければ、この猫は斬って捨てる。さあ、どうだ!」
 だが、だれも答えられる者はなかったので、猫を切り捨ててしまった。
 優秀な弟子が帰ってくると、お前ならどう答えたかと迫った。
 すると弟子は、履いていた草履を頭に乗せ、部屋を出ていった。
「ああ、お前がいたならば、ワシも猫を斬らずにすんだのに・・・」

例文7:柏の木

仏教では全てに仏性が宿ると考えられています。当然、柏の木にもです。そのためダルマは仏の心を伝えようとしたと師匠は言いたい訳です。しかし言葉では説明しません。百聞は一見にしかず、具体的な事物を目の当たりにすることこそが丁寧な回答であると考えます。

ものが溢れる現代、示唆を得ることなく多くのものを見落としてしまってはいないかと不安にさせられる禅問答でしょう。

Blockquote firstBlockquote second

ある僧が趙州に尋ねた。
 「達磨がインドから中国に来て伝えようとした心とは何ですか?」
 「庭先にある柏の木だ」
 「和尚、たとえはやめてください」
 「私は、たとえなどしていない」
 「達磨がインドから中国に来て伝えようとした心とは何ですか?」
 「庭先にある柏の木だ」

禅問答が何か知りたい人におすすめの本4選

ここまで代表的な禅問答の具体例を見てきました。禅問答の独特な世界に触れ、より興味が湧いてきたのではないでしょうか。

「禅問答」はこれだけではありません。今回紹介したのはほんの一部です。長い歴史を持つ「禅問答」には膨大な量の蓄積があります。

さらに詳しく禅問答が知りたいという方にオススメの本を4つご紹介します。

本1:禅 (ちくま文庫)

禅 (ちくま文庫)
禅 (ちくま文庫)
口コミ

鈴木大拙がこんなにも熱く 愛を語り、力を全否定していることに驚いた。

鈴木大拙著の『禅』です。直球なタイトルが特徴的なこの本ですが、入門書として非常に人気です。

著者の鈴木大拙氏は英語の著書も多数、海外への禅紹介の第一任者です。東洋思想に馴染みのない海外の人に向けてわかりやすい解説を得意としているので入門書としてとてもわかりやすい一冊となっています。

本2:マンガ 禅の思想

マンガ 禅の思想
マンガ 禅の思想
口コミ

私も、いくつか禅に関する本を購入しましたが、やはりこうした漫画でかかれたものが一番とっつきやすかったですね。こんなにわかり易く禅を紹介してくれた作者に敬意を表します。

2冊目に紹介するのは『マンガ 禅の思想』です。「わかりやすい マンガ中国の思想シリーズ」の1つである本書は抽象的な禅という思想を図で理解することができるため非常にわかりやすくオススメです。

本3:はじめての「禅問答」

はじめての「禅問答」
はじめての「禅問答」
口コミ

中国禅のパイオニア、馬祖の禅問答集「馬祖語録」を、平易な訳文 と大胆な解説で示してくれます。

次にオススメする禅問答の著書は『初めての禅問答〜自分を打ち破るために読め!』です。

入門書として非常にわかりやすいだけでなく、興味引かれる面白い禅問答がピックアップされており、読み物として非常に面白く仕上がっています。

また解説だけでなく、「現代の私たちが禅に向き合う意味とは?」という視点も忘れていません。「禅問答」をうまく現代に蘇らせた名著です。

本4:自分をみつめる禅問答

自分をみつめる禅問答
自分をみつめる禅問答
口コミ

仏教とは覚悟がいるものなのだなと、思わされる。 また読むことがありそうだ。

4つめに紹介しますのは『自分をみつめる禅問答』です。

入門書としてだけではなく、自分に引きつけて考える手がかりを与えてくれるのも特徴です。『なぜ、こんなに生きにくいのか』など心のサプリメントとしての著作も多数ある著者ですので、心の励みとなること間違いなしです。

禅を通して自分の内面に迫って生きたいという方に特におすすめです。

より深く東洋哲学に触れたい方にはこちら

ラブ、安堵、ピース 東洋哲学の原点 超訳『老子道徳経』
ラブ、安堵、ピース 東洋哲学の原点 超訳『老子道徳経』
口コミ

老子が語りかけてくる。 わかりやすく優しく。 人生の言葉そのもの。

インドから中国に伝来した仏教。スムーズに人々に受け入れられた理由の1つに「老子」の存在が挙げられます。「万物斉同」「胡蝶の夢」などニヒルに世界を見る目は仏教とどこか似ています。

中国ではアンチ儒学として、競争社会に疲れ果てたエリートたちの心の拠り所であったと言われるのが『老子』という書物です。

より東洋哲学に触れてみたいという方にはおすすめです。

禅問答の解答へ辿り着く方法

「禅問答」を本格的に読んでいきたいという方も多いはずです。しかし難解でわかりづらいのも禅問答の特徴です。読んでいても理解できないとなかなか苦しいでしょう。「答えはない」と言われる禅問答ですが、「自分なりの答え」というものは必要です。

「自分なりの答え」を導き出せるようになって初めて「禅問答」に親しむことができると言っても過言ではありません。

ここでは「禅問答」を理解する際のコツを紹介します。

視野を広く持つ

禅問答の理解には「視野を広く持つこと」が重要です。

視点を変えてみる柔軟な発想が求められます。また解釈について有識者の間でも割れることが多い禅問答は1つの答えを絞り込むのではなく全て受け入れることが重要です。

自分の思い込みで読み進めても得られる効果は薄いでしょう。自分好みではない解釈でも受け入れる心が試されています。知らないものの見方を味わうように「禅問答」と向き合っていきましょう。

禅問答には心を豊かにするヒントがある

起源を遡ると2000年以上前、古代インドにまで行き着く「禅」そこから発展した「禅問答」には「則天去私」といった自己に振り回されない思考法が隠されています。

普段とは違う心の使い方を身につけ、ぜひ日常生活にも応用してみてください。

哲学に触れてみよう

哲学はいわゆる実学ではありません。お金を生み出すスキルとは違います。しかし物事の見方や発送に大きな影響を与えてくれるのは哲学です。クリエイティブな思考、柔軟な発想の必要性が叫ばれる昨今、哲学は大きな助けになってくれるはずです。

この記事を機会に他の哲学にも触れたいという方には下記の記事もおすすめです。ぜひこれを機会に一読してみてください。世界の見え方が変わること間違いなしです。

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