苦笑いとは
ただ、この「苦笑い」はネガティブな意味で使われることが多く、相手に良い印象を与えないこともあります。無意識にしろ意識的にしろ、苦笑いをするような状況はどんなときなのでしょうか。また、なぜ、苦笑いしてしまうのか、考えてみましょう。
苦笑いの意味
意に沿わないことがあっても、なんとなく笑って対応しなければいけない場面は、社会の中にはたくさんあります。自然と「笑う」のではなく、笑い顔を「つくる」のが苦笑いの真意と言えます。
苦笑いをする心理とは
では、心から笑えないのに笑うしかない時の心理とは、どういったものなのでしょう。苦笑いをする時の心理と特徴を、5つの例をあげて考えてみましょう。
苦笑いをする心理の特徴
はっきりと自分の意思表示をしてしまったら相手が不快に思う可能性がある、という思いが働く結果、表情がどっちつかずになる、という訳です。
特徴1:困惑
自分の心の中を読まれたくない時に無意識に出てしまう表情で、相手に困った顔を見せないことが、意思をはっきり表さない、と思われて嫌がられることもありますが、あくまでも中立的な立場でいたいという、いじらしい思いを含んだ苦笑いです。
特徴2:会話がつまらない
なんとなく相槌を打つことでその場が乗り切れるなら、なにもはっきりつまらないと言わず、わざわざ相手に不快な思いをさせずに済みます。言い出せない時の苦笑いには、そんな配慮も含まれています。
特徴3:怒りたくても怒れないとき
私たちは、日頃の先輩や上司に対しての遠慮や尊敬も含めて、相手の人を傷つけないように、という心理が働くと、自分の表情を曖昧にする傾向があります。
特徴4:感情表現するのが苦手
しかし、ストレートな表現が「できるのにしない」のであって、それに対して感情表現が苦手な人は、ストレートな表現が「できない」ことが多いので、自然と苦笑いの場面も多くなります。
特徴5:無理して友人関係を保っているとき
無理をしている人間関係では、心から笑顔で接することは難しく、苦笑いでごまかすことがあります。心の中の声と表情が一致しない苦しさがよく表れていると言えるでしょう。
苦笑いの使い方
苦笑いは、複雑な社会の中で私たちが生み出したコミュニケーションのひとつの大切な方法です。そんな苦笑いを、私たちは日頃どんなふうに使っているか、また、意識的に使う場合と無意識の場合と、その使い方に違いがあるのか、考えてみましょう。
例1:苦笑いをする
無意識なことが多いものですが、相手のことをあまりよく思っていない、あるいはその話題にあまり興味がない、という時に多く、相手に「気を遣う」という意味で苦笑いをする場合は意識的にすることもあります。
友人の失敗を慰めたりする時の苦笑いは、同情の苦笑いとも言えます。
例2:苦笑いをされた
苦笑いを「する」方が意識的にしろ無意識にしろ、苦笑い「された」側の人は表情を読みとれることが多いので、注意も必要です。
例3:苦笑いを浮かべる
苦笑いを浮かべる場面は過去の場面、あるいは想像の場面であって、今現在目の前で起こっていることではありません。苦笑いを浮かべる、という表現は、過去を思い出したり、その後の展開を想像して、意識的にネガティブな笑いをすることです。
「笑い」を使った熟語の例
微妙な意味の違いを理解してみると、改めて、日本語の言葉の複雑さ、感情表現の多様さを感じます。そんな「笑い」に関する熟語のニュアンスの違いを、いくつか例を挙げてみていきましょう。
例1:失笑
しかし、実はもともと、失笑は「思わず吹き出す」という意味で使われていただけで、笑いも出ないくらい「あきれる」というようなネガティブな意味ではありませんので、使うときは注意が必要です。
例2:哄笑
また、大勢の人が一斉に笑う時に使われる言葉ですが、否定的な意味を含んだ表現として使われる場合もあります。相手への軽蔑の感情や、否定的な感情を含んだ時の大笑いの表現と言ってもいいでしょう。
例3:嘲笑
嘲笑は、見下すように笑うことで、人をからかう場面で使われます。この嘲笑は、目の前に相手がいようがいまいが、意識的にする表情には変わりなく、不快な笑いと言えるでしょう。
例4:冷笑
いわば冷笑は、ネガティブなイメージだけを含ませた苦笑い、と言ってもいいでしょう。相手に表情を読み取られた場合に、苦笑いよりもマイナスイメージが強く、不快に思われることが多い笑いです。
例5:笑止
ニュアンスとしては、苦笑い<笑止<冷笑といった順番にマイナスイメージが強くなると言えます。
例6:爆笑
また、哄笑という笑いは大勢の人が一斉にどよめく、一斉にドッと笑う時によく使われる表現ですが、爆笑という表現はひとりの人の場合にも使われます。
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苦笑いは、相手に不快な思いをさせないように配慮した結果ですが、自分にとっては、嘘をつくことにもなります。そんな心の中の矛盾を楽にするためにも、専門家のアドバイスは大切です。
苦笑いの類語
「類語」は、似たような言い回しですが意味は違う言葉のことです。ですから、それぞれの意味を知って、間違えて使うことがないように、ここで具体的に4つの類語について解説していきましょう。
類語1:空笑い
ことわざからもわかるように、空笑いは、意識的に作る作り笑いということも言えます。苦笑いのように、無意識に相手に配慮した笑いよりもネガティブなイメージがつよい言葉です。
類語2:作り笑い
その意味では、苦笑いに近いニュアンスを持っていると言えます。苦笑いと違うのは、その笑い顔を「意識的」につくる場合が多いことです。
類語3:あざ笑う
苦笑いにも似ていますが、声に出して笑うことを考えると、相手への同情や配慮は無く、よりネガティブな表現と言えるでしょう。作り笑い<空笑い<あざ笑う、の順番にマイナスイメージが強い表現になっていきます。
類語4:力なく笑う
先ほども書いたように、失笑は思わず笑ってしまうことですから、そこには本来、ネガティブなイメージは含まれません。力なく笑う、という言葉の中には、やれやれ、という弱々しい気持ちが含まれています。
苦笑いはある意味大人な対応
興味がなくても、好きじゃなくても、その場の空気を壊さないように配慮した結果が苦笑いを生み出しています。苦笑いで乗り切ることは、平和的に物事を解決しようとする思いの表れです。
大人げない人・愛想笑いな人とは
大人として当然あるべきとされる思慮や配慮ができない人の苦笑いは、ただの愛想笑いです。いくつもの似たような表情も、心の中には微妙な違いがあるもの。苦笑いを上手に使って、ポジティブな人間関係を築いていきましょう。