特徴5:無理して友人関係を保っているとき
友人、とひとことで言ってもその親密度は人によってさまざまです。付き合うのが苦手だな、と感じる相手でも、慕われれば邪険にすることはできませんし、嫌いな人に対しても笑顔をつくらなくてはならない場面は、社会に出たらよくあることです。
無理をしている人間関係では、心から笑顔で接することは難しく、苦笑いでごまかすことがあります。心の中の声と表情が一致しない苦しさがよく表れていると言えるでしょう。
苦笑いの使い方
苦笑いは、感情表現としては好まれる表現ではありませんが、苦笑いという表現が無かったら、すべての表情がストレート過ぎて、かえって良好な人間関係を築くことができません。
苦笑いは、複雑な社会の中で私たちが生み出したコミュニケーションのひとつの大切な方法です。そんな苦笑いを、私たちは日頃どんなふうに使っているか、また、意識的に使う場合と無意識の場合と、その使い方に違いがあるのか、考えてみましょう。
例1:苦笑いをする
感情をあらわにできない時に思わず出てしまう苦笑いの表情は、スムーズにコミュニケーションしようという時のとっさの努力の表れです。
無意識なことが多いものですが、相手のことをあまりよく思っていない、あるいはその話題にあまり興味がない、という時に多く、相手に「気を遣う」という意味で苦笑いをする場合は意識的にすることもあります。
友人の失敗を慰めたりする時の苦笑いは、同情の苦笑いとも言えます。
例2:苦笑いをされた
逆に、相手に苦笑いをされたことがある人も多いでしょう。苦笑いは、自分では無意識に表情を作ってしまう場合が多いですが、その表情を見ている相手にはニュアンスが伝わってしまい、それが良い印象を与えない原因のひとつになっているとも言えます。
苦笑いを「する」方が意識的にしろ無意識にしろ、苦笑い「された」側の人は表情を読みとれることが多いので、注意も必要です。
例3:苦笑いを浮かべる
苦笑いを「浮かべる」という表現が「する」「される」苦笑いと大きく違う点は、目の前にその苦笑いの相手がいないことでしょう。
苦笑いを浮かべる場面は過去の場面、あるいは想像の場面であって、今現在目の前で起こっていることではありません。苦笑いを浮かべる、という表現は、過去を思い出したり、その後の展開を想像して、意識的にネガティブな笑いをすることです。
「笑い」を使った熟語の例
苦笑いの他にも、「笑い」という言葉が入った表現はいくつかあります。そのなかには、意味が変化してしまい、実は間違った使い方をされている言葉もあったり、似たような表現で使われている言葉もあります。
微妙な意味の違いを理解してみると、改めて、日本語の言葉の複雑さ、感情表現の多様さを感じます。そんな「笑い」に関する熟語のニュアンスの違いを、いくつか例を挙げてみていきましょう。
例1:失笑
苦笑いと似た表現でよく使われるのが「失笑」という表情です。日頃、失笑という言葉を私たちが使う時、そこには相手に対するちょっとした軽蔑や呆れた思いが加わっていることが多いです。
しかし、実はもともと、失笑は「思わず吹き出す」という意味で使われていただけで、笑いも出ないくらい「あきれる」というようなネガティブな意味ではありませんので、使うときは注意が必要です。
例2:哄笑
苦笑いとは対照的に、大声でドッと笑う時の表現が「哄笑」です。哄笑は、会場でどよめきがおこるような場面で使われる笑いの表現です。
また、大勢の人が一斉に笑う時に使われる言葉ですが、否定的な意味を含んだ表現として使われる場合もあります。相手への軽蔑の感情や、否定的な感情を含んだ時の大笑いの表現と言ってもいいでしょう。
例3:嘲笑
苦笑いは「する」側と「される」側、あるいはその相手によって、ネガティブな意味にもポジティブな意味にも捉えられる笑いですが、そこに、明らかにネガティブなマイナスイメージしか含まれない笑いが「嘲笑」です。
嘲笑は、見下すように笑うことで、人をからかう場面で使われます。この嘲笑は、目の前に相手がいようがいまいが、意識的にする表情には変わりなく、不快な笑いと言えるでしょう。
例4:冷笑
嘲笑に似た表現で、意識的だけでなく無意識にも使われるのが「冷笑」です。冷笑も、見下して笑う場合や、冷ややかに笑う表現として使われますが、嘲笑よりも少し控えめな表現と言えます。
いわば冷笑は、ネガティブなイメージだけを含ませた苦笑い、と言ってもいいでしょう。相手に表情を読み取られた場合に、苦笑いよりもマイナスイメージが強く、不快に思われることが多い笑いです。
例5:笑止
もうひとつ、苦笑いに似た表現で「笑止」という笑いの表情があります。困ったことがあった場面に思わず出てしまう笑いで、苦笑いと似ていますが、笑止の場合、そこにちょっとだけ、見下したような意味が含まれるときがあります。
ニュアンスとしては、苦笑い<笑止<冷笑といった順番にマイナスイメージが強くなると言えます。
例6:爆笑
「爆笑」は、このお笑い芸人全盛の時代にはおなじみの表現です。大声でドッと笑う、という意味では哄笑とニュアンスは似ていますが、爆笑という言葉には否定的な意味が含まれることはほとんどありません。
また、哄笑という笑いは大勢の人が一斉にどよめく、一斉にドッと笑う時によく使われる表現ですが、爆笑という表現はひとりの人の場合にも使われます。
初回公開日:2018年10月29日
記載されている内容は2018年10月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。