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「眠れる森の美女症候群」の症状と日本で実際あった症例

Author nopic iconシン
雑学 / 2017年09月22日
「眠れる森の美女症候群」の症状と日本で実際あった症例

眠れる森の美女症候群ことクライン・レビン症候群とは

皆さんは、「眠れる森の美女症候群」についてご存知でしょうか。

眠れる森の美女症候群、正式名称「クライン・レビン症候群」は、その世間一般的な名前のように眠りに関する病気です。

寝不足でないにも関わらず、昼間に異常なまでに強い眠気や居眠りを繰り返す睡眠障害、いわば過眠症と似たようなものですが、この眠れる森の美女症候群は過眠症を遥かに上回る睡眠障害であり、非常に危険な難病として認定されています。

眠れる森の美女のあらすじ

まずはこの病気の名前の由来である「眠れる森の美女」についておさらいしましょう。

ヨーロッパのとある国を治める王と王妃は、長いこと跡継ぎとなる子供に恵まれずに悩み続けていました。そんな中、跡継ぎとして一人の美しい娘が生まれたことに大喜びし、王女として宝物のように大事にし、愛情深く育てました。

そして、王女が14歳の誕生日を迎えた時、王は娘の健やかな成長を祝福してもらおうと、国に住む12人の魔法使いたちを祝宴に招待します。

ところが、実は魔法使いたちは12人ではなく13人であり、祝宴に招待されなかったその13人目の魔法使いは怒り、祝宴に乱入して王女に呪いをかけました。その呪いは「15歳になった時に紡ぎ車の錘が指に刺さって死ぬ」という恐ろしいもので、王と王妃をはじめとする城の人々は恐れ戦き、大騒ぎしました。

しかし、祝宴に招かれた魔法使いの1人が、解けない死の呪いを弱める方法として「王女は死ぬのではなく、100年間眠り続けた後に目を覚ます」という内容に呪いを書き換えました。

それでも15歳になれば、100年もの間眠り続けるという恐ろしい運命が王女に降りかかってしまう。それを心配した王は、国民に国中の紡ぎ車を全て焼き捨てて、呪いが起きるのを防ごうとしました。

そして、王女は順調に育っていき、15歳の誕生日を迎えた日に一人で城の中を散歩していると、城の塔の最上階で一人の老婆が紡ぎ車を使って糸を紡いでいるのを見つけます。

好奇心に駆られて紡ぎ車に近寄った途端、錘が手の指に刺さってしまい、王女は呪いによって深い眠りに落ちてしまいました。さらに呪いは城の中にまで広がり、王と王妃をはじめとする城の全ての人々が眠りに落ちてしまい、そして城もみるみる茨に覆われて、誰も入れなくなってしまったのです。

それから100年の月日が経とうとした時、近くの国の王子がこの国を訪れて、茨の森に囲まれた城を見つけます。その城を見て不思議に思って近くの村に住む老人に尋ねた所、あの城の中に一人の美しい王女が眠り続けている、と教えてもらいました。

その話を聞いた王子は好奇心に駆られ、王女の姿見たさに茨の森を潜って城の中へ入り、城の奥で眠っている王女を見つけ、口付けをします。すると呪いは解けて王女、そして王と王妃ら城の人々も全員目を覚ましました。その後、王女も王子に一目惚れし、二人は結婚して幸せに暮らし続けたのです。

眠れる森の美女症候群の症状など

このように、皆さんも一度は読んだことはある有名なグリム童話と同じメルヘンでロマンチックな名前ですが、実は一度発症すると日常生活が送れなくなってしまうほど恐ろしい病気です。

まず、日中の活動が難しくなるほどの異常なまでの眠気が現れ、ハッとすると時間や場所問わずいつの間にか眠ってしまっているという状態となっていきます。自然と目を覚ますことは勿論、誰かから揺さぶられたり声をかけられたりしてもなかなか目を覚まさず、気がつくと1日に16時間以上と半日近くも眠ってしまっているということもあります。

この眠気による異常は徐々に数日、数週間、数ヶ月の順と長くなっていき、ついには数年にまで及ぶようになります。この場合、仕事などの社会生活だけでなく、日常生活にも間違いなく支障が生じることとなります。

また、この病気は以前は16〜17歳前後の男性が主な発症者となりましたが、近年になって女性にも発症者が現れるようになり、さらにその発症者の大半が美女であるという事例から、先述のグリム童話からとって「眠れる森の美女症候群」という二つ名がつけられました。

眠れる森の美女症候群の原因

このように、童話の中で呪いにかかった姫のように、長い時間を眠り続けてしまう眠れる森の美女症候群は恐ろしい病気で、今も研究が続けられていますが、その原因は未だに特定できていません。

なぜならば、眠れる森の美女症候群は10万人に1人程度で発症する稀少なもの、いわば「レア物」の病気であり、その発症の実例は極端に少ないからです。さらに発症者の症状や特徴、それらに繋がる環境を調査して、その原因を特定するのが極めて難しいものとなっています。

しかし一方で、風邪などの発熱によるもの、怪我やストレスなどによる心身や精神の疲労、薬物や麻酔の副作用といった、身近なものが原因となって発症したという報告がいくつか挙げられています。

これらが眠れる森の美女症候群の原因であるという確固たる証拠はなく、先述にもあったように眠れる森の美女症候群は稀少な病気で発症者も少ないため、原因の究明はまだまだ先です。

しかし、風邪やストレスといったもので発症するといった報告も挙げられていることから、眠れる森の美女症候群の原因は、私たちのすぐ近くに潜んでいることも考えられます。

眠れる森の美女症候群の日本での症例は

発症者こそ少ない非常に稀少な病気といえども、眠れる森の美女症候群は海外でもその症例はいくつか発見、発表されています。しかし、日本での症例についてはどれほどのものなのか、確認することはできていないのが現状となっています。

1.相談や報告をしない

その理由としてまず、日本人は寝坊や遅刻を恥だと考える傾向にあり、学校や会社に自ら報告、そして病院にも自ら相談しようとはしないことが挙げられます。

なぜならば、日本人は寝坊や遅刻を恥だと考える傾向にして文化となっており、もしもそのことで先生や上司に相談や報告でもしようものなら笑い者にされてしまう考えを持っている人が大半を占めているからです。それがたとえ眠れる森の美女症候群は勿論、睡眠障害にかかっていたとしてもです。

2.セロトニンが少ない

もうひとつの理由として、日本人には脳を目覚めさせ、精神を安定させるセロトニンの分泌が少ないことが考えられています。セロトニンの量が少ない日本人は不安で神経過敏になりやすく、鬱病や不眠症などの睡眠障害を起こしやすい傾向にあります。

そして、先述にもある通り、眠れる森の美女症候群の原因にはストレスも可能性のひとつとして挙げられているため、セロトニン不足による不安や神経過敏も恐るべき難病を引き起こす引き金ともなっていることが考えられるのです。

さらに他にも、この病気自体の情報が少なく、日本では診断マニュアルも作成されていないため、医師による診断も難しいとされており、眠れる森の美女症候群の実例を確かめることができないものとなっているからです。

そして、日本での実例は少ないということから、眠れる森の美女症候群は日本において多くの人が発症しているという事実にも繋がっていますが、これから先、日本で流行しないとは限らない可能性もあります。

眠れる森の美女症候群はどうやって治療される?

眠れる森の美女症候群の治療法についても、稀少な病気ゆえの詳細や情報は少なく、確証たる治療法は未だ発見されていません。そんな中で、唯一行われている眠れる森の美女症候群の治療法として、以下の二つが挙げられます。

1.薬物療法による治療

現在、眠れる森の美女症候群の主な治療法として行われているのが、薬物療法です。

その薬物療法による治療薬としては、塩酸メチルフェニデートや硫酸アンフェタミンといった薬剤が選ばれており、これらを使用することで中枢神経を刺激、活性化させて眠気を抑え、発症を遅らせます。その他にも、炭酸リチウム製剤など気分安定を図る薬剤を症状に合わせて処方し、フォローしていきます。

しかし、この薬物療法でもどこまで眠れる森の美女症候群に対する効果があるかははっきりしておらず、副作用もあるため、本当にこれが一番の治療法かどうかは疑わしいものです。

2.時間経過による治療

薬物療法とは違って積極的ではなく、かなりの時間を費やすことになりますが、自然治癒も眠れる森の美女症候群に効果的な治療法とされています。

実際、何もしなくても時間経過で自然と回復していった報告もあり、自然治癒に任せるしかないだろうという見方によって、積極的な治療が行われていないケースも存在しています。

眠れる森の美女症候群の人の生活って?

眠れる森の美女症候群の患者の中にも、当然生活を送っている人はいます。そして、その生活と、生活の中における家族の協力と周囲の理解が眠れる森の美女症候群の患者が生きていくために重要なものです。

最初にも説明した通り、眠れる森の美女症候群は重度の睡眠障害であるため、1日のほとんどをベッドか布団の上で過ごします。では、生活の中でも重要な食事とトイレはどうしているのでしょうか? その二つについて説明していきます。

食事の時間が近づくと起きてくる

眠れる森の美女症候群の患者もまた、他の病気の患者や通常の人間と同じように、食事をすることはできます。

正確に説明しますと、1日に16時間以上眠っている中、自然と目を覚まし起きてくることがあります。そして、食事がある時はその場所へと向かい、自然と食事に手をつけます。

しかし、そうして起きているように見える時間も意識が混濁、朦朧とした状態、いわば夢遊病に近い状態であるため、目を離さないよう注意が必要です。

特に食事の時は目の前にある食べ物を何も考えず、そのまま口に運んでしまうことがあり、生肉や生魚など調理しないと食べられないもの、あるいは腐っているものだろうと関係なく食べてしまうことがあります。

トイレは1日に1回ほど

眠れる森の美女症候群の患者もまた、トイレに行くことはできます。

ちなみにこちらも食事の時と同じように、意識がはっきりとしていない状態にありますが、1日に1回ほど自然と自分で起き出しトイレへとまっすぐに向かい、自分で用を足します。

それからトイレを済ませた後はベッドか布団に戻り、また元のように眠り続けます。当然、こちらも食事と同じように夢遊病に近い状態となっているためその間の記憶はありませんが、普通の人間と同じように生理的な機能は働いているようです。

眠れる森の美女症候群は謎が多いが危険な病気

今回は、眠れる森の美女症候群と、その症例や患者の生活などのあらましについて解説しました。

眠れる森の美女症候群は発症数は極めて少なく、存在そのものが極めて稀であると言っていいほどの病気で、治療法は勿論原因ですら謎に包まれている部分が多く、今も研究が続けられています。

有名なグリム童話に因んだその二つ名こそメルヘンでロマンチックな響きですが、実際のその症例は不眠症など従来の睡眠障害よりも重く、決して軽く見てはいけないほど危険なものです。

そして、今回の記事にも取り上げたように、可能性の段階を出ていませんが眠れる森の美女症候群の原因は私たちにとって身近なものが含まれていることから、この病気はすぐ近くに迫ってきていることも考えられます。

皆さんも肉体面での健康管理は勿論、カウンセリングや相談などで精神面のケアをしっかりしておき、そして眠れる時はしっかりと眠っておくようにしましょう。それが、眠れる森の美女症候群に対して私たちができる唯一の予防策です。