理想主義とは
本来の意味
「理想主義(アイデアリズム)」の本来の意味は、国際協調の視点で平和を求め構築しようとする国際関係論の学説に関する言葉です。ですが現代では、第一次世界大戦頃に生まれた平和を最大の利益と考えるこの「理想主義」という言葉の観念から派生し、自分の理想を追求して実現しようとする人生観を表す言葉として広まっています。
自分の人生に対して「アイデア」を重要視した生き方であることから、「アイデアリズム」とも言われるのです。
現代に広まる「理想主義」の意味
上記で少し紹介した通り、現代で広く認識されている「理想主義」という言葉の意味は、自分の理想を追求実現する主義を指します。具体的には、自分の中の理想を掲げ実現し、その人生を目指す生き方です。
物事を現実のまま捉えるのではなく、自分の思考や価値観を優先する性質を持つのも「理想主義」と考えられています。
対極にある現実主義という言葉
「理想主義」の対語として言われるのが「現実主義」、「理想主義」とは全くの反対の言葉で、リアリズムとも呼ばれます。こちらも国際関係における言葉であり、平和よりも国益を重視した「現実主義」は、平和を重視する「理想主義」に批判的です。
現代では、文字通りリアル(現実的)を重視し、理想を追い求めず目の前の事態に即して物事を処理するような立場や人生観を指します。
理想主義と現実主義それぞれの特徴
理想主義の特徴
「理想主義」というだけあって、自分の理想を追い求めるという考え方を持っているのが最大の特徴です。リアルや常識にとらわれないといった、「現実主義」とは対極の立場にあります。自分の理想や希望に沿って物事を対処し決定、そして理想の実現を目指すのです。
現実的な利益を得るよりも、自分の信念を大切にし損得などを度外視するのも「理想主義者」の考え方や行動の特徴です。理性を無理にコントロールせず、感情論で動く人も多いと考えられており、そのため行き当たりばったりな行動が多く見られることもあります。
現実主義の特徴
現実主義者は、何事にも慎重で堅実な取り組みを意識する気質を持っています。物事に取り組む前にはきちんと計画を組み立て、リスクやトラブル、アクシデント等の予想外の出来事にも対応できるように準備します。
感情に流されることや理性を失った行動に出ることは少なく、自分をコントロールする能力を持っていますが、その点が周囲から淡白な性格と捉えられるこが多いです。また、損得勘定で物事を考えるのも現実主義者の特徴です。
失敗に対して保険を用意しておくこともある点においては、やや臆病な面も持ち合わせているということが言えます。臨機応変な対応が苦手であったり、想定外の出来事には思考が停止することもしばしばあります。
理想主義の気質
理想主義者の気質は、少し風変わりに思われるでしょう。考え方が独創的であったり、完璧でないと気が済まなかったりと、自分の世界を持っている人が多いです。言い換えれば、自分の意思に素直に向き合う力を持っているということになります。
自分の人生に必要なものを追い求め、常識や現実に言い聞かされることなく突き進む力が強いのです。その上、向上心も兼ね備えていたり、何事にもエネルギッシュに取り組みます。
ユニークな発想を持っていて対人関係においても楽しい人だと認識されますが、夢見がちな部分も多く、自分の理想と現実の差に失望してしまうこともあります。また、ロマンチストな価値観を持っていたり、未来に対して楽観的に考えるのも特徴的です。
理想主義のメリット・デメリット
メリット
何事もポジティブに考えることができるので、人生自体をとても楽しんでいます。成功も失敗も自分の人生の大きな財産と捉えたり、ストレスを抱えることも少ないでしょう。様々な物事をいろんな視点から見ることができ、何事も楽しんで取り組めます。
対人関係を好む面もあり、ユーモアある発想で周囲を楽しませることもできます。そのため友人が多かったり、者である人も多いです。理想主義者の志の高さに周囲を感化させることもあります。
自分の人生の目的や希望を強く抱いているぶん、ちょっとの失敗やミスでは負けません。ブレない意思を強く持ち続ける忍耐の強さも持っているのも理想主義者の良き点です。
デメリット
理想主義者は、自分の世界を強く持っています。そのため、周囲の事柄にはやや鈍感な面も。自分の考えばかりを頭に巡らし、他人の話を聞いていないこともあります。「変わった人」や「独特な人」というレッテルを貼られることもあるでしょう。
あまりに現実を見無さすぎて、現状の事態についていけてなかったりと周囲に迷惑をかけてしまうこともしばしばあります。理想を追う一方で、現実離れした考えが時に自分を苦しめてしまうこともあるのです。
自分の思い通りにならなかった事柄にはすぐに心が折れてしまったり諦めてしまったりと、やや傷つきやすいところもあるので、その点も理想主義を持つ人のデメリットになってしまいます。
哲学の分野における理想主義と現実主義
理想主義哲学者
古代ギリシャ哲学において、理想主義の第一人者といわれているのが哲学者「ソクラテス」です。その影響を受けた弟子である「プラトン」もまた理想主義者です。
プラトンは、理想主義という観念の確立に重要な人物で、「イデア(時空を超越した理想的な絶対的永遠の存在)」という、理想主義を説明するのに欠かせないこの言葉もプラトン哲学から生まれました。
プラトンの主張は主に、感覚的な世界から離在するものを実在するものと考え、感覚的な事柄を実在するものとは見なしませんでした。
現実主義哲学者
現実主義の哲学を持つ哲学者を挙げるならばまずは「アリストテレス」。古代ギリシャ哲学の分野において、理想主義と現実主義の題材が上がる時にはこの「アリストテレス」と上記の「プラトン」の名前が登場します。それほど、互いに真逆の哲学を持っていたということです。
アリストテレスの現実主義の哲学は、感覚的な事柄をそのまま実在するものとし、感覚世界から離在している「イデア」は、感覚的事物との繋がりを説明できないために無用であると考えました。他にも、哲学者「イマヌエル・カント」も現実主義的な哲学を持っていたといわれています。
このように、哲学の分野においても「理想主義」と「現実主義」は登場しており、現在につながる意味を持っていたのです。
改革者に成り得る理想主義者
初回公開日:2017年09月14日
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