理解力がない人の特徴・高めるトレーニング方法・本
理解力がない人とはどういう人でしょう。また、その理解力とはどういうものでしょう。そして、その理解力を上げるためにはどうしたらよいでしょう。皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
理解力がない人の特徴
序章:「理解力がない人」と決めつける上司の問題
最初に確認しておかねばならないことがあります。それは、「理解力がない人」というのは、どういう人なのかということです。一番わかりやすいのは、伝えたこと、読んだことについて、受け手である本人が分かっていないという事象です。そのとき、上司は「わかっていないなぁ」と思いますし、そのようなことを口に出して言ってしまいます。
この発言に本人が聞いたとしたらどうでしょう。「自分は上司から理解力がない社員と思われている」と思った途端、自信を無くして落ち込むことでしょう。これが本人の気持ちに刻まれてしまうと、なかなかここから抜け出すことは難しいものです。
「理解力がない人」の特徴①
確かに「理解力がない人」という人はいます。この表現は不適切ですが、学生時代の成績は、理解力を測るためのバロメーターのひとつになります。俗っぽくいうならば偏差値です。但し、この理解力を測るものが、記憶して回答することが中心であり、実行力は評価対象になりません。本当は、実行力からも理解度は読めますし、仕事では重要です。
しかし、偏差値で理解力を測るというのは抵抗があるかもしれません。実は、偏差値とは関係なく理解力のある方はいるからです。偏差値に絶対的な信ぴょう性はおけない背後には、学科への得意・不得意、或いは好き・嫌いがあるからであり、それが理解力のレベルを決めてしまうことがあるからです。
学生時代の学科の得意・不得意が会社の仕事の理解力に関連する事例
学生時代の学科の得意・不得意が、会社の仕事の理解力に関連する顕著な事例としては、文系・理系という基準です。極端な事例ですが、数学・理科の苦手な人が研究開発の仕事をすることは極めて少ないです。また、さほど技術的な要素を知らなくてもできるソフトウェアの開発でも、やはり理解力がもう一つの人の多くは文系の人に見られます。
一方で簿記については、の表現と仕組みについて、独特な表現や決め事があり、ロジカルに考えることを旨とする理系の人には馴染めそうで馴染めない分野です。会社の研修で、自社の業績について経理担当が話すとき、技術系の人は「何度聞いてもわからない」と言っております。
「理解力のない人」の特徴②
前項で、「知識が無いから理解できない」と書きました。実は、話し手が受け手が持っていない知識で話をしても、受け手の人は何を言っているのかさっぱり理解できません。業務遂行上の知識を持っていないことが、理解力のない人の特徴の二番目といえます。しかし、これは、本人の問題とはいえない点はあります。育成・指導は上司の責任です。
「理解力のない人」の気の毒な点は、こういう状態に置かれたときです。但し、気の毒ではあっても、「指導してくれない上司が悪い」のは正論でも、「自分の仕事に関する知識くらいは自分で身につけろ」と一蹴されてしまうことがあり、「理解力のない人」に加えて、「やる気の無い人」という烙印までつけられるアンラッキーな面はございます。
「理解力のない人」の特徴③
「理解力のない人」の特徴の3番目は、「因果関係で把握することができない人」です。学校のテストは、例えば「1600年(慶長5年)の戦いの名前は何ですか」という1対1の関係の理解度を試すものです。しかし、実際の仕事では1対1の関係より、複数の関係から理解度を求められます。製造業ならば、営業→設計開発→製造→品質保証→サービスというビジネスプロセスの中に、多くの部門と人が関与した理解度を求められます。
この関係性に本人が気が付くか否か。もし、気が付かないと間違った回答をして上司は落胆します。しかし、これは社歴の浅い社員に求めるのは酷な話で、上司の指導は必要です。さらに、考えるべきことは、この関係性が正しいか否かです。この関係性について、もう少し解説してみます。
●関係性について
関係性について単独で章を設ける理由は、関係性という要素が、理解力のバックボーンとして重要な要素だからです。簡単に解説します。仕事は、様々な部門や人、規則他、色々な要素を加味して考えなければなりません。大事なことは、いま直面している問題について、どんな要素が必要とされているかという観点から物事を理解することです。
次に大事なことは、一旦構築した関係性は永久不変なものではなく、変化するものであり、都度修正を求められるという点です。そして、もっとも重要なことは、この関係性について、関係者が同じ認識を持っているという点です。各々の関係者が自分勝手な関係性を自分のアタマの中だけで持っていると、皆がバラバラの理解をして仕事はうまく進みません。
理解力を高めるトレーニング方法
理解力を高めるトレーニング方法①-知識の習得
まず、知らないことに始まりません。「理解力がない」と言われている分野についての知識を習得しましょう。これは自己啓発でできます。もちろん、知識では対応できない部分はございます。経験に基づく見識です。これについては、上司からの指導が必要です。よって、上司とのコミュニケーションを上手に取りましょう。
知識の習得に際しては、自分で診断して習得してもよいのですが、これも上司とすり合わせしておくとよいと思います。どの項目をどの順番で覚えるべきかということについては、自分では判断できないところがありますので、確認してみるとよいです。
理解力を高めるためのトレーニング方法②-知識の関係性から正しい判断へ
知識を覚えているだけでは理解度があるとはいえません。学校の試験とは異なります。例えば、英語で「semiconductor」を和訳すると「半導体」です。しかし、これが何の役に立つのでしょうか。入試の英単語として覚えるのならばよいのですが、仕事で半導体に関係する場合、半導体の性質を知らなければなりません。つまり、知識には深度があるのです。その深さを明確にして目標としましょう。
実は、この深さを獲得すると何がよいのか。知識にも関係性が構築されます。つまり、知識と知識が結びついて正しい認識を導き出してくれるのです。これがあることで、正しい判断ができるようになります。これが「理解力ある人」への導線です。
理解力を高めるためのトレーニング方法③-正しい判断に基づく実践力の形成
さて、理解力を高めるところまでもう一歩です。次の要点は、「アタマで理解したことを実行に移すこと」です。それには強い意志が必須です。実行がないと理解していないのと同じなのです。上司は、「そこまで理解しているなら、なぜやらない」と怒ります。むろん、実行には難しい面はあるでしょう。でも、その理由は、実行しないための逃げの理由であって、せっかく築き上げた関係性を伴った知識やそれに伴う判断を無にします。
次に、なによりも自分が動いてみることです。それまでは、見て、聞いて、考えて学んでいましたが、今度は実行して学ぶというプロセスが大切です。そして、この①~③の一連のプロセスを繰り返して振り返り分析を行い、改めて必要な知識・見識を確認して習得することで、正しい理解力を養成することができます。
理解力を高めるためのトレーニング⓸-固定観念の打破
この一連の流れの中で、理解力を高めることはできますが、人は自分がいったん確立したシステムを自己変革していくことは難しいのです。自己否定はなかなかできません。ここに固定観念が生まれるのます。しかし、時代やビジネスが変わると同時に、自らも変えていかねばなりません。最近の例ならば人工知能です。
「理解力がない」ことを、人工知能が代行してくれるかもしれません。囲碁・将棋などはその好例です。相手の棋譜を読み、どういう状態かを理解し、次の一手を打ちます。むろん、いまから人工知能に期待するのは突飛すぎるかもしれませんが、固定観念は理解力を妨げる要因です。
理解力を高めるための本
初回公開日:2017年08月29日
記載されている内容は2017年08月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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