初心にかえる方法・初心にかえる意味の名言

「初心にかえる」の意味と使い方は？

「初心にかえる」という言葉を耳にすることも多いでしょう。まずはこの「初心にかえる」という言葉の意味についてお話しします。

この言葉は、室町時代に能を大成した世阿弥が残した「花鏡」の書の結びに残された文章がもとになって定着していった言葉です。世阿弥が残した文章を以下に引用します。

「しかれば当流に万能一徳の一句あり。初心忘るべからず。この句、三ヶ条の口伝あり。是非とも初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。この三、よくよく口伝すべし」
出典: https://www.google.co.jp/amp/blog.share-wis.com/%3fp=425&amp=1 |

世阿弥の残した「初心」という言葉の本当の意味

世阿弥の言う「初心」とは、「物事を始めた頃の気持ち」ではなく、始めた頃の「芸の未熟さ」のことを示しています。始めの頃の未熟すぎた自分が芸が足りないばかりに屈辱を受けたことを思い出すことで、あの頃には戻りたくないと感じ、さらに精進するということを意味しています。

物事に慣れてくると、人はついつい努力を怠ってしまいます。その慢心が、芸が足りなかった初期の頃に自分を引き戻してしまうことになる、それを防ぐために初心を忘れるなと彼は説いていたと言えます。

「初心にかえる」と聞くと、「物事を始めた頃の新鮮な気持ちにかえる」ことだと意味をとらえがちですが、世阿弥が残したもともとの言葉では実は異なる意味を示していることがおわかりいただけたでしょう。初心を思うことでさらに自分を奮い立たせる、これが「初心にかえる」という言葉の本当の意味だと言えます。

「初心」を「新鮮な頃の気持ち」と捉えても良い？

世阿弥が残した「初心」という言葉の本当の意味についてお話ししました。ですが現代では、多くの場合でこの「初心にかえる」という言葉は「物事を始めた頃の新鮮な気持ちに立ち返ること」を示します。

ですから、もともとは「初心＝芸の未熟さ」という意味ではあるものの、現在定着している「初心＝始めたころの新鮮な気持ち」と捉えることも、決して間違いではないと言えます。

「初心にかえる」の使い方

「初心にかえる」ことの意味を理解したところで、「初心にかえる」の使い方について見ていきましょう。「初心にかえる」とは、物事に慣れて慢心した頃に自分をさらに奮い立たせるために使う言葉ですから、次のような使い方が正しいでしょう。

・仕事上でアイディアが枯渇した時こそ、初心にかえることが大切です。
・パートナーと良い関係を保ちたいという気持ちがあるのならば、初心にかえってみるべきでしょう。

このように物事に行き詰まった時に、物事を好転させるために過去の自分に立ち返ることを表すのが正しい使い方と言えます。

「初心にかえる」を表す言葉

次は、「初心にかえる」という意味を表す色々な言葉について見ていきましょう。ことわざはもちらんのこと、初心にかえることの大切さを説いた有名人も多くいます。それらの言葉についてご紹介します。

「初心にかえる」を表すことわざ

次は「初心にかえる」ことを表すことわざについてお話しします。

初心忘れるべからず

「初心にかえる」という意味を持つことわざと言えば「初心忘れるべからず」です。これは世阿弥の残した言葉から短くまとめられたことわざで、「初心にかえる」という意味の言葉の中で、もっとも身近なものでしょう。

覚えやすく、ふとした時に思い出しやすいフレーズですから、座右の銘として常に心においておくのも良いでしょう。

「初心にかえる」を表す漢字

次は「初心にかえる」ことを表す漢字についてお話しします。

原点回帰

原点回帰という四字熟語をご存知の方も多いでしょう。原点とは、初めの頃や自分にとってのスタートポイントを意味します。

この四字熟語は「初心忘れるべからず」とよく似た意味を持っています。

しかし「初心忘れるべからず」が世阿弥の言うとおりに「つまづいた時に初心に立ち返って自分を奮い立たせること」を意味するのに対し、「原点回帰」と言う言葉は、「つまづいて物事が複雑になりすぎてしまった時、原点にかえると現状を打破するヒントが得られる」ということを意味します。

例えば、仕事上のプロジェクトが複雑になりすぎてしまってスムーズさを欠いてしまった時、昔のシンプルさを思い出してそれを参考ににすれば、現状をかえることができるヒントが得られるでしょう。

「初心」にまつわる四字熟語として、原点回帰を覚えておきましょう。