原体験ってなに?
原体験とは、「臭覚」「味覚」「触覚」や「視覚」「聴覚」という五感を重視した直接体験で、その人の思想や人格形成に大きな影響を与える体験の事をいいます。この原体験(直接体験)を通して学んだ知恵が人としての生きる力となり、人生の役に立っていきます。
昔の子ども達は、自然の中での主体的、自主的な遊びとして経験できていた原体験ですが、現在の子ども達は自然の中で遊ぶことが減り、この原体験(直接体験)が絶対的に不足しています。
そのため、テレビやインターネット、教科書などから学ぶ間接体験が多い現代の子ども達には、実際に触ったり、臭いをかいだり、味わったりという原体験(直接体験)が生きる力を養うためにもとても重要と言えるでしょう。
原体験の8つの意味とは
原体験とは人工的なおもちゃや設備ではなく自然物を通した体験で、8つの体験に分類されます。ここからは、それぞれについてご説明します。
水の体験
水道の蛇口やシャワーからでる一定の規則的な水の流れではない、滝や自然の川、海などの不規則な水を触った時の感覚、冷たさなどの温度を感じること、心地よさや気持ちいいと思う体験などのことです。
また、海や川で泳いだ時に感じる流れや、急に深くなって足がつかなくなった時に怖いと感じることからも、色々な経験をする事ができます。
木の体験
木に登る、登った時に木の種類によって折れやすいと知ること、木のにおいをかいだり、木の幹を触って知る感触など、木からも色々な体験を得ることができます。
季節によって木の葉の色が変わること、落ち葉となった時の感触の違い、色々な移り変わりを見ることも学びにつながります。
倒れた木から新芽がでていたり、腐って折れた幹の下に虫がいることに気づいたり、木やそこに関わるものの生と死の連鎖についても感じることができます。
草の体験
草の生い茂った場所でかいだ草の匂い、肌に触れた時の感触、洋服に付くと払ってもなかなか落ちないという気づき、草の汁がつくと服がシミになるという驚きなど、草からさまざまな体験を得ることができます。
笹で作った笹舟や、草で作った草笛などで遊んだり、草笛を口に入れた時の味の記憶、草原に寝そべった時の感触など、色々な体験があります。
石の体験
山にある石はごつごつしているのに、川の石は丸くてツルツルというように場所によって石の種類や形状が違うことに気づくことや、水の中にある石を踏むとコケが生えていてヌルヌルするという体験をします。
投げた時の重さや、投げた後に地面にぶつかった音を聞く、石と石をぶつけ合うと欠けるもろい石があることを知ったり、種類や形による割れ方の違いなどに想いをはせたり、想像力を働かせるという体験もできます。
土の体験
土を触る、掘る、水と一緒にこねる、だんごを作ったりして土を色々な形に変える体験、乾いた土と泥の手触りの違い、土の匂いをかぐ、土で汚れた手で目をこすって痛いと感じたことなど、土からも色々な体験をすることができます。
また、土を掘っていた時に急に虫がでてきてビックリしたという体験も、学びにつながります。
火の体験
オール電化の家庭が増えたり、危ないからという理由で火を見る機会が減っている今の子どもたちには、マッチをすって火を着ける、火を着ける時には風向きを気にすることを知ることも大事な体験です。
火に近づいた時の熱さ、怖さや危険を感じること、小さな火が大きくなっていく様子を見る、火をつけると煙がでて、煙が目に入るとしみるという体験など、火からも色々な体験ができます。
動物の体験
動物に直接触れて感じる体温や、柔らかさや愛おしさを通して生き物を慈しむ心、他の人への思いやりが育ちます。
動物の匂いや毛の感触、鳴き声の違いを知ったり匂いを嗅ぐ体験からは生き物の多様性を知ることができるでしょう。ペットや生き物の死を通して、その悲しみを乗り越えていく体験ができます。
ゼロの体験
人間の力の及ばない、力ではどうにもできない自然の体験を通して、自然への怖さや畏敬の念を抱き、自分という存在の小ささや、自分をとりまく世界の大きさを実感する体験をゼロの体験といいます。
電気の明かりのない真っ暗闇への恐怖、エアコンではコントロールできない極端な寒さや暑さ、いつでも食べ物が手に入る現代ではなかなか感じることのない、たくさん歩いてお腹がぺこぺこになった、喉がカラカラで辛い、というような極限状態の体験も大事な経験です。
原体験プログラムにはこんなものがあります
原体験プログラムをご紹介します。
初回公開日:2018年04月25日
記載されている内容は2018年04月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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