怒らない人は、必要に駆られてそうした生き方をしているわけではありません。そもそも、コミュニケーションの手段に怒るという行為が含まれていない場合があります。これは両親の教育方針の影響もあります。なるべく怒らず、穏やかに諭すといった育て方をされると、怒るという行為は身近なものではなくなります。
そのまま成長すれば、余程のことがない限り、怒るという選択をすることはありません。基本的に選択肢には含まれていないのです。また、自分がどういう教育を受けたかは、子育てに影響するとされています。普段は怒らない人でも、教育に関しては叱ることも必要になるでしょうが、その頻度は比較的少なくなります。ヒステリックになって過剰に怒鳴ることも、ほとんど皆無となるでしょう。
怒らない人になる方法
口調を変えてみる
怒らない人は、その口調も普段から穏やかなものです。イライラしているときや、誰かのミスを注意するときなど、口調を柔らかく意識することで、だいぶ印象が違ってくるでしょう。怒っているときの口調は、早口だったり、声量が上がったりと、特徴があるものです。自分の平常時の口調と比べてみれば、どこに注意して直せば良いか分かります。
そうすることで、たとえ怒りそうになっても、声だけは小さくできたり、ゆっくり目に話すことができたりと、とっさの対応がしやすくなるのです。こうした対策も、最初は上手くできないでしょう。感情が昂っているのですから、コントロールするのは難しいものです。
しかし、常に意識し続けることで、次第に慣れていきます。そのうちに余裕も生まれるでしょう。作った笑顔でもストレスに効果があるように、まずは形から入ることも有効な手段なのです。
怒る目的を考える
怒らない人は、まったく怒りの感情がない人ではありません。あくまでも、怒る頻度が非常に少ない人のことです。人間である以上は、必ず怒る場面はあるはずです。しかし、そういうときでも、怒らない人は比較的冷静に自分の意見を主張できます。これはなぜでしょうか。
怒るという行為には、目的が重要です。例えば、上司が部下を注意するといった場面でも、成長を促したい、仕事の効率を上げたいなど、何らかの目的をもって怒っているでしょう。目的がなかった場合、ただ感情をぶつけるだけになってしまい、必要以上に辛辣な言葉を使ったり、相手をひどく侮辱するようになります。関係のない問題を持ち出して批判するというのも、こうした場合によくある行為です。
これでは反発が生じるだけで、修復不可能なほどに関係がこじれるかもしれません。あまりひどいと、怒った相手が暴力を行使する危険もあります。したがって、怒ることには明確な目的意識が必要となります。怒らない人は、この目的をしっかり認識している場合が多いのです。怒るときには、自分が何のために怒るのか、一度考えてみましょう。そこがはっきりしていれば、冷静さを取り戻すことができるでしょう。
視点を変えてみる
怒らない人は、人の気持ちを考えられる人です。怒っているときは視野が狭くなりがちですから、自分の都合だけで一方的に怒鳴ったりしてしまいます。しかし、少しでも相手のことを考える余裕ができれば、意外な側面が見えることもあります。例えば、些細なことで上司にひどく叱責され、その後ずっとイライラが続くというとき、一度冷静になって、上司がなぜそれほど激怒したのかを考えてみましょう。
もしかしたら、上司も何かイライラを抱えていたのかもしれません。もしくは、何らかの体調不良で余裕がなく、ちょっとしたことで頭に血が上ったのかもしれません。そのように考えてみると、今頃は上司も後悔しているのではないかと想像することもできます。実際のところどうなのかは不明であっても、これで少しは心の余裕ができます。自分がだれかに当たり散らすことも防げるでしょう。
このように、視点を変えたことで怒りを鎮められる場合もあるのです。広い視野をもつには、なるべく多くの人と交流したり、本を読んだりして、いろいろな考え方があることを知りましょう。そうすることで、誰かを受け入れる心の容量が増えていくことでしょう。
ポジティブに考える
怒らない人は、小さいことを気にしません。嫌なことがあっても、すぐに切り替えられれば、イライラは抑えられます。また、嫌なことや辛いことも、「自分を成長させてくれる」「ピンチこそチャンスにつながる」など、常に前向きに考えることで、それほど大きな苦痛にはならない場合もあります。
怒らない人は、嫌なことや辛いことを受け入れる、ポジティブな思考回路をもっていると言えるでしょう。ポジティブに考えれば、周囲の人の反応も気になりません。自分が非難されているのではないか、自分のせいで相手の機嫌を損ねたのではないかなど、ネガティブに考えれば考えるほど、周りのちょっとした反応がストレスになるものです。それがイライラを蓄積させることになります。
怒らない人は、ポジティブな思考で、どんなことも楽観的に受け止めます。大雑把とも言えますが、それによって怒りの感情が生まれにくいことは確かです。基本的な考え方を変えることで、怒らない人に近づくことができるでしょう。
他人に変化を求めない
上記のような方法は、いずれも自分自身を変えるものであり、相手の変化を促す方法ではありません。これは、怒らない人の考え方としては重要なことです。怒らない人は、他人に多くを期待しません。そうすることで、誰かにイライラすることもなく、想定の範囲内として対応することができるのです。相手を変えようとして向かっていくことはありません。自分自身が視点を変えたり、ポジティブに考えたりすることで、双方がストレスを軽減できます。これは、相手に壁を作って接するということではなく、過度な期待の押し付けをしないということです。
相手も同じ人間なのですから、ミスもあれば、イライラすることもあります。自分の思いどおりに動いてくれる人などいません。それをしっかり分かっていれば、怒る頻度も減っていくことでしょう。
普段怒らない人が怒ると怖い?
溜め込んだものが爆発する
怒らない人とはいえ、無感情なわけではありません。ストレスも溜まればイライラもします。ただ、楽観的だったり、優しかったりすることで、怒る回数が人より少ないだけなのです。
しかし、周囲への気配りなどから、些細なストレスがずっと蓄積され続けているという危険があります。通常であれば、溜まったストレスをその都度解消し、なんとか毎日を過ごしているものです。
ところが、怒らない人はストレス自体があまり大きくないので、発散しなくても我慢になる場合が多いのです。その時点では抑え込んだとしても、長い時間をかけて小さなストレスが溜まっていき、あるとき限界を突破して大爆発します。これが俗に言う「キレる」という状態です。
普通は限界になるまで溜め込むことを避けて生活しますが、本当に限界まで溜め込んで一気に開放した場合、その激しさは計り知れません。普段は怒らない人が怒ると怖いというのは、こうした理由があるのです。
感情のコントロールができない
怒らない人には、一見穏やかなように見えて、実は非常に感情的な人がいます。普段は怒りの感情を抑え込むことができても、その怒りを抑えているのが、恥ずかしさや不安という場合があります。
そのような人は、怒りよりも遥かに強い別の感情があるということなので、普段から穏やかな性格なわけではないのです。この場合、暴力的な怒り方をする危険があります。
人が怒るときは興奮状態になるので、誰しも感情は乱れるものです。しかし、内に秘めた強すぎる感情が爆発した場合は、あまりに感情のうねりが大きく、まったくコントロールできなくなります。
その結果、怒鳴るだけでは終わらず、怪我人が出るほど暴れるという大惨事に発展してしまうのです。
怒り方の加減が分からない
普段からときどき怒る人は、実は怒り方の加減というものを知っています。怒ったとしても、このラインは越えてはいけないというセーブが働いているのです。怒り慣れているとも言えるでしょう。
しかし、怒る回数が少ないということは、慣れる機会もありません。怒らない人は、普段まったく怒らずに突然爆発するため、加減も何も関係なく、感情の赴くままに暴走します。そのため、暴力沙汰に発展しそうな険悪な空気になってもセーブできません。感情がコントロールできないことも拍車をかけているのです。
客観的な視点をもてない
怒らない人にもタイプがありますが、その中には、自分の殻に閉じこもって、他人との交流を絶っているような人もいます。そのために怒る機会も少なくて済んでいるのですが、このタイプの人は、人との関わり方が理解できず、自分も含めて周りを客観視できなくなります。
このため、怒ったときに自分がどういう状態なのか、何をしているのかはもちろん、周囲がどうなっているのかも一切把握できません。普通は、怒っていても漠然と周囲の状況を理解しているものですが、このタイプは周りが見えていないために、結果を予想することができないのです。
ギャップが大きすぎる
怒らない人が怒ったとき、すべての人が上記のように極端な怒り方をするわけではありません。あくまでもごく一部の例です。普通の人と同じような怒り方をする人も多くいますが、それでも普通より怖いという印象を与えてしまうようです。
これは、普段とのギャップが大きすぎるためです。ときどき怒る人は、ある程度の予想がつくので、それほどの恐怖は感じないものです。しかし、怒らない人は、怒ったときの様子がまったく想像できず、より怖く感じてしまうのです。普段から笑っているような人なら、ギャップはより大きくなります。
怒らない充実した生活を
このように、怒らない人には利点もありますが、あまり褒められない特徴もあります。また、怒ることが必ずしも良くないとは限りません。例えば、先述したように、教育では適度に叱ることも必要です。その他にも、生きていれば、怒らなければならない場面はあるでしょう。
しかし、必要に応じて、目的をもって怒るのなら良いのですが、いつもイライラしているのは問題です。そんな生活をしていては、精神を病んでしまいます。不必要に怒ることはせず、普段は怒らない人であるよう意識すれば、今よりも充実した生活を送ることができるでしょう。
初回公開日:2017年05月31日
記載されている内容は2017年05月31日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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