そもそも視野が広い・狭いとは?
よく「あの人は視野が広い」「視野が狭い人」と言ったりします。そもそも「視野が広い」「視野が狭い」とは、どのような状態を指すのでしょうか。視野が広いというのは「一つの考え方に縛られず客観的に状況を判断できること」と言い換えることができます。
反対に視野が狭いというのは思い込みが強い状態、いわば「物事を一つの視点からしか見られていない状態」です。自分の中にある価値観のみで判断することを主観的、自分の価値観や周りの状況など、様々な要素から判断することを客観的と言います。
視野が広い人は、物事を客観的に見ることができる人です。視野が狭い人は、自分の中の価値観でしか物事を見ることができないため、判断した後に後悔することが多くなってしまいます。
視野が狭くなってしまう理由
なぜ視野は狭くなってしまうのでしょうか。視野を広げることを妨げるものに「認知の歪み」と呼ばれる思い込みにあります。ここでは、思い込みの例として「認知の歪み」をそれぞれ見ていきましょう。
全か無か思考
全か無か思考とは、物事の白黒をはっきりさせたいという人に多く見られる考え方です。「人生は勝つか負けるかだ」「この人は間違っている、そうでなければ正しいに違いない」と物事を極端に分けてしまいます。選択肢が2つしかないため、全か無か思考は視野を広げることを妨げる考え方と言えます。
いきすぎた一般化
いきすぎた一般化とは、一つの経験から「すべてこうである」と結論付けてしまう考え方です。「部長に挨拶したら返事をしてもらえなかった、部長は自分のことを嫌っているに違いない」というのはいきすぎた一般化の例です。「部長は忙しくて返事ができなかったのかもしれない」等他の可能性を考えられないことから、いきすぎた一般化も視野を狭める考え方と言えます。
心のフィルター
心のフィルターは、物事の悪い面ばかりを見てしまい他の面について考えないことです。「今日は悪いことだらけだった」と考える時、実際は良いことがあったとしても悪いことの数しかカウントできない状態にあります。心のフィルターを通すと、物事を一つの側面からしかとらえることができなくなるため視野が狭いと言えます。
マイナス思考
マイナス思考は、その名の通り物事をすべてマイナスの方向に捉えてしまう考え方です。良いことがあった時は「まぐれだ」「次はうまくいかない」と思い、悪いことがあった時は「やっぱりこうなるんだ」と考えてしまいます。良いことがあっても悪いことのようにすり替えてしまうマイナス思考は視野の狭い考え方です。
論理の飛躍
論理の飛躍とは、結論付けるために必要な前提がない状態で物事を決めつけてしまうことを言います。極端な例に「あの人と目が合った、あの人は私のことを好きに違いない」というものがあります。目が合っただけでは好きかどうか判断することはできません。
人の脳はときどき飛躍した考えをしてしまう性質があります。そのことに気づかずに判断してしまうと視野が狭い状態のままになってしまいます。
拡大解釈・過小評価
拡大解釈は物事を過大に見てしまうことです。過小評価は、その名の通り物事を実際よりも小さいこととして捉えてしまうことです。「友達と意見が合わなかった、人と仲良くするのは無理だ」というのが拡大解釈です。
「あの人の苦しみに比べれば自分の苦しみは大したことない」というのが過小評価の例です。物事のどこに比重を置くかは人それぞれですが、極端になってしまうと考えが偏ってしまいます。
感情の理由づけ
感情の理由づけは、物事を客観的に見ずに自分の感情だけで判断してしまうことです。「嫌だと感じるからこれは間違っている」「この人のことが好きなのでこの人の言うことはすべて正しい」というのが感情の理由づけです。感情だけで物事を判断すると、盲目的になり視野が狭くなります。
すべき思考
すべき思考とは「こうすべきだ」「絶対にこうしなくてはならない」という思い込みのことです。無意識のうちにすべき思考をしてしまうと、実際は無理なことでも頑張ろうとして挫折してしまいます。強迫観念的なこの思い込みは、視野を広げることを妨げる原因となります。
レッテル貼り
レッテル貼りは、いきすぎた一般化がより重症になったものです。例えば、政治家が一度失言しただけで「あいつは人でなしだ」等と考えてしまうのはレッテル貼りといえます。レッテル貼りは、言葉にした時に誇張表現が多くなることが特徴です。
誤った自己責任化
誤った自己責任化は、明らかに自分の責任ではないことに責任を感じてしまうことです。「天気が悪いのは自分のせいだ」というのは、明らかに自分ではどうしようもないことに責任を感じている考えです。なんでも自分の責任と考えていくと、視野が狭まるだけでなく心の調子も悪くなってしまいます。
視野を広げる考え方
初回公開日:2017年09月29日
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