では、ここからは罪悪感をほかの視点から解説します。人は罪悪感を感じるときに、どのようなことが原因となって罪悪感を感じるのでしょうか。いくつかご紹介しましょう。
浮気
浮気をしていると、パートナーである妻や夫に対して、または残してきている子どもに対して罪悪感を感じます。そもそもの浮気の原因はさまざま考えられますが、もともと別の要素で感じていた罪悪感から逃避するために、浮気に走るということも考えられます。その場合は、罪悪感が浮気を生み、さらにその浮気がさらなる罪悪感を招くという負のスパイラルに入っていきます。
恋愛
あなたは、彼の愛情が本当の愛情なのか罪悪感から生まれる補償行為なのか見分けることができますか。相手に対して愛情をもって接する場合は、差し出した愛に対するさまざまな見返りを期待することがありません。
一方、罪悪感から相手に尽くすことを、愛情と勘違いしているケースもあります。相手に奴隷的に尽くすことで、罪悪感によって自分の心に空いた穴が埋まるように感じる場合です。その場合自分の心を埋めるという見返りを期待していることになりますし、いつまでたっても自分の心が埋まることはありません。それは恋愛における愛情であるとは言えません。
仕事
罪悪感を感じていると、無意識にその罪を償おうと補償行動に走るようになります。男性の場合は、それがワーカーホリックという仕事への依存症状になって現れることが多いです。
人よりも長い時間、また責任の重い仕事を、やりこなしていくことで、自分の罪が償われるかのように感じることができます。そしてさらに仕事にのめり込んでいきます。しかしワーカホリックから罪悪感が消えることはなく、仕事の忙しさから家庭で過ごす時間も減っていき、それがまた新たな罪悪感を生みます。
そして、異常なほどに仕事を続け、最終的には身体も心もボロボロになるまで、働き続けてしまうことになります。
罪悪感を感じたときの対処法
このように、罪悪感は人が悪いことをしてしまったと感じたときに、自分は罰せられなければならないとする感情のことです。
ものごとやできごとに対するとらえ方は人それぞれであるため、罪悪感も人によって感じる度合いが異なります。それらは、その人の日々の生活習慣や育ってきた環境にもよって異なりますし、国民性や宗教とも密接にかかわる感情です。自分が罪悪感を感じるような行動でも、人によっては全く感じないということもあるでしょう。
まずは、罪悪感がこれだけ人を苦しめる感情であるということを学ぶことが必要です。罪悪感の渦中で苦しんでいる人たちは、罪悪感がこれだけ自分を苦しめている原因だというころすら分かっていない場合があるでしょう。生きづらさや、日々の苦しさの原因が、罪悪感なのではないか、と自分で感じることがまずは対処法の最初のステップです。
罪悪感を解消する方法
罪悪感を解消していくためには、時間と根気強さが必要です。罪悪感を感じている自分は、今まで長い時間をかけて築き上げられてきた自分であるからです。そのため、過去に戻って「あのときああすればよかった」「あのときこうしなければよかった」というように過去に後悔の思いを寄せるのではなく、これからのステップに目を向けていくようにしましょう。
まずは自分への許しを
罪悪感を感じそうになったときに、そのまま罪悪感を感じて浸りきってしまうのではなく、その罪の意識を感じている自分のことを許すということと、それに気付かせてくれた罪悪感を感じている相手への感謝の気持ちを持つようにしましょう。
そうは言っても、はじめはなかなか難しいでしょう。ある意味自分の感情パターンどおりに、罪悪感を感じ続けるほうがその場は楽です。しかし罪悪感に支配される人生を変えたいのであれば、少しずつ、自分を許していくために最大の努力をしていく必要があります。
人は、悪いことをしようと決めて、人を傷つけたり大切なものを奪ったりするわけではありません。不可抗力であったり、まだ自分が未熟であったことが原因だったり、自分を許すために、当時のことを思い出してください。それは罪から逃れようとするためのいいわけではなく、そのときの自分を許していくために必要なステップです。
そして相手への感謝を
そして、自分を少しずつ許せるようになってきたら、こちらも少しずつで構いませんが、罪悪感を感じる相手へ感謝の思いを感じられるようにしていきましょう。「ありがとう」という言葉を繰り返すことで実践してみてもいいですし、実際に出すわけではありませんが当時の自分や相手に手紙を書く方法をとってみてもいいでしょう。
こうして、少しずつステップを繰り返していくことで、時間はかかっても、かならず罪悪感から解放される日はやってきます。
罪悪感を手放すために必要なこと
罪悪感や自己否定の感情を持っていると、幸せになることができません。本来、人間は幸せに生きていくことができる存在です。
しかし、ここに来るまでの育ってきた環境や、親から教えられた生き方、友人たちから影響されたこと、先生たちから教えられたこと、さらには仕事で学んできたこと、そういったすべてのことからさまざまな影響を受けて生きているのが人間です。
また政治のような国民に影響を与える大きなものや、もともとの国民性のようなより広い範囲のものも、人間ひとりひとりの人格形成に大きな影響を与えています。
そのような異なる要素をもつ人間ひとりひとりが、自分が幸せになるための生き方を日々それぞれ模索しています。
軸を他者から自分に戻す
このようにして、今まで繰り返してきた数多くの経験をベースにして、人はそれぞれ自分の中に数多くの見えないルールを構築し、そしてそれを基準にしてやっていいことやってはいけないことという設定を作っています。
多くの人が周りから与えられてきた要素を元に自分のルールを設定しているため、常に行動の基準が周りからの評価と連動する形になってしまっています。
自分の生きる基準を他者のような外側に設定するのではなく、自分の内側に戻してみませんか。人にどう思われようと、自分がやりたいことをやる、自分が食べたいものを食べる、というように、周りからのパワーに押しつぶされるのではなく、少しずつ自分を自分の元の世界に引き戻していきましょう。
そうすることで、他者からの評価が基準となって自分に生まれていた罪悪感も、自分が基準となって生きていくことでだんだんと解放されていくことになります。
落ち込みたい時は落ち込む
負のスパイラルはどこまでも永続するものですが、罪悪感を感じないようにしなければならないと思いながらも、罪悪感を感じてしまう自分にさらに罪悪感を感じてしまうことを避けていきましょう。
罪悪感から解放されるためには自分への許しと、相手への感謝が必要であるとご紹介しましたが、始めたその日からうまくいくわけがありません。そのように、ときにはうまくいかない自分のことも許しましょう。
ダメだと分かっていてもどうしても罪悪感を感じてしまうとき、それは自分が今罪悪感を感じたいんだととらえて、飽きるまで罪悪感に浸ってみるのもひとつの方法です。
思いっきり暗い映画を見て、暗い部屋の中でジャンキーな食事をとり、これでもかというほど罪悪感にあふれた日を何日か送ると、そんな生活にも飽きてきます。そろそろ次のステップをと自然に思えて少し前向きになってきたときに、また自分を見つめ直してみればいいのではないでしょうか。
初回公開日:2018年03月08日
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