浄土宗
浄土宗での意味をご紹介します。
・眼施(がんせ) 人を憎まず常に和らいだまなざしで周りを見ること。
・禾顔施(にげんせ) 嫌な顔つきを人に見せずにこやかに和らいだ顔を周りに与えること。
・言辞施(ごんじせ) やさしい言葉を人々にかけること。
・身施(しんせ) 身をもって尊敬の態度を相手に示すこと。
・心施(しんせ) 善い人の心で人を和らぎ善いことをしようと努めること。
・床座施(しょうざせ) 床の間が上座になるなど目上や年上の人に席を設けること。
・房舎施(ぼうしゃせ) 本来は主に父母や師や宗教家などがきた時には泊まらせること。他人を自宅に自由に出入りさせることを示す。
日蓮宗
日蓮宗での意味をご紹介します。
・眼施(げんせ) 優しいまなざしで接すること。
・和顔施(わがんせ) 笑顔やさしい表情で周りに接すること。
・言辞施(ごんじせ) 相手を思いやる言葉や心のこもった言葉で人に接すること。
・身施(しんせ) 自分の身体でできることを奉仕することを示す。
・心施(しんせ) 思いやりの心や周りに心を配ること。
・床座施(しょうざせ) 場所や席を譲ること。
・房舎施(ぼうしゃせ) 自分の家を提供し人を泊めてあげたり休ませてあげたりすること。
臨済宗
臨済宗での意味をご紹介します。
・眼施(がんせ) あたたかい優しい眼差しを与えること。
・和顔施(わげんせ) 明るい笑顔やほほえみを周りに与えること。
・言辞施(ごじんせ) あたたかでやさしい言葉をかけること。
・身施(しんせ) 身体を使って人のために働くこと示す。
・心施(しんせ) 相手の幸せを心から祈ること。
・牀座施(しょうざせ) 場所や席を進んで譲ってあげること。
・房舎施(ぼうしゃせ) 一宿一飯を与えること。
言い回しは違っても意味は同じ?
上記で紹介した宗教別の無財の七施は言葉や言い回しは違えどももともとは同じ意味です。ここでは無財の七施の意味についてもっと詳しく掘り下げていきましょう。
眼施
無財の七施の中の眼施とは、優しい目で相手を周りを見つめることをいいます。
優しい目で見ることで、相手は見守られているという安心感を持ちます。目は口よりもものを言うとか、目は心の鏡という言葉があるとおり、相手の目を見ると思いはだいたいわかります。
相手を思いやる心で見つめると、自然にやさしい眼差しとなり相手は安心します。目を通して相手に心が伝わって、相手も自分の気持ちを理解して、お互いが打ち解けることができることでしょう。
そして傷ついた心やすり減ってしまった心が癒されるでしょう。
和顔施
無財の七施の中の和顔施とは、笑顔の事を示します。眼施と同様に、顔はその人の気持ちを表します。素敵な笑顔や和やかな笑顔を見ると、幸せな気持ちになります。純粋無垢な笑顔に接する時、人は人生の苦労を忘れ、生きがいさえ感じます。
そして笑顔は伝染します。笑顔は周囲全体を和ませトゲトゲしい対人関係をスムーズにします。人生では腹の立つことも嫌なこともたくさんありますが、暮らしの中ではいつもニコニコとなごやかで穏やかな笑顔を絶やさぬよう心がけたいです。
言辞施
無財の七施の中の言辞施とは、優しい言葉をかけることをいいます。言葉は人と人との関係を円滑にする、大事なコミュニケーションの手段です。私たちは言葉一つで相手を喜ばせたり、逆に悲しませたりする事ができます。
「こんにちは」や「ありがとう」や「おつかれさま」や「お世話になります」など、当たり前の挨拶を心から伝えることが重要です。心からの優しい言葉は、どんなに相手を喜ばせるか、どんなに救いになるか計りしれません。
身施
無財の七施の中の身施とは自分の身で奉仕することです。例えば重い荷物を持ってあげる事や、困っている人を助ける事、お年寄りや体の不自由な方をお手伝いするというような、身体でできる奉仕の事を示します。
どんなに良いこととわかっていても、それが実行できなければ意味をなしません。よいことを思いついたら、実行し、自ら進んで人のために尽くしましょう。相手に喜んでいただくと同時に、自己の心も高められます。
心施
簡単にいうと、無財の七施の中の心施というのは、思いやりを持つことをいいます。相手の立場に立って考える言葉を掛ける事や、家族のように相手を心配し心を寄り添うことです。
心の持ち方で物事の見方が変わってしまうように、心はとても繊細なので、自分の心も言葉遣いや態度に映し出されます。自分だけがよければいいというのではなく、心底からともに喜びともに悲しむことができ、人の痛みや苦しみを自分の痛みとして感じ取りましょう。慈悲の心や思いやりの心が、自然とやさしい顔や和やかな眼差しにも表れてくることでしょう。
床座施
無財の七施の中の床座施とは、譲ることを示します。どうぞの一言で電車や会場でお年寄りや身体に障害を持っている方に席を譲ることです。また、座席だけに限らず、全てのものを分かち合い譲り合う心が大切であるという意味です。場合によっては自分の地位を譲って後のことを託すという意味も含まれるでしょう。
房舎施
無財の七施の中の房舎施とは自分の場所を提供するという意味です。四国にはお遍路さんをもてなすお接待という習慣が残っています。人を家に泊めてあげたり、休息の場を提供することなど、大変なですが普段から来客に対しても心をこめておもてなしをしましょう。平素から喜んでお迎えできるように、家の整理整頓や掃除も心がけるのも大切です。
また、家だけではなく、雨の時に相手に傘を差し掛ける思いやりも房舎施の一つといえます。
簡単に言うと無財の七施を行うってどういうこと?
初回公開日:2018年05月31日
記載されている内容は2018年05月31日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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