感性的な人は、物事を色々な方向から見ようとします。物事の表面にある固定観念に囚われず、本質を自分なりに見極めようとするのです。なので、想像力もとても豊かなのです。白い雪を見て「雪が黒かったらどんな景色になるだろう」と想像したことはありませんか? 丸いおまんじゅうが四角かったらどんな食べ方になるでしょうか。もしもシンデレラが美少女じゃなかったら王子様はダンスに誘ったかしら、など様々な「もしも」があふれてくるのです。
そして想像力があふれて、こぼれそうになると今度は創造する事に向かいます。心に思い浮かんだイメージを誰かに物語にしたり、絵にしたり、音楽で表現したりします。ファッションで表現しようとしたり、料理で表現しようとする人もいるでしょう。なので、芸術家タイプの人には感性的な人が多いのです。
感性的と感情的の違い
理性的・感性的・感情的
理性的とは、物事を「頭で受け止めて、理屈で理解する事」です。「ああ、つまり○○って事だね」と端的に処理する事が得意です。感性的とは、物事を「心で受け止めて、自分なりに理解する事」です。例え話を聞いたとき「なんとなく解った!」と、自分なりに解釈して落とし込みます。
では感情的はどういうものかとというと、物事を「感情で受け止めて、理解しない事」となります。例えば極端な話をします。「ここに猫がいます」と言った時に、理性的な人は「いや、いないじゃん」と思った後、「例え話なんだな」と理解して、次の言葉を静かに待ちます。感性的な人は、想像の中で猫が見えていますので「黒猫かな? 三毛猫かな?」という事が気になり、次の言葉をわくわくと待つでしょう。しかし感情的な人は「私は猫が嫌いなんだから、猫の話なんてしないで!」と突然怒り出したり、「去年死んだ猫を思い出した」と言って泣き出したりして、なかなか次の話に進まないのです。
理性的と感性的は「性質」を表す言葉ですが、感情的は「精神」を表す言葉になります。
感性的な人は感情的なのか
感性が鋭い芸術家は、感情をむき出しにして表現する事が多いです。歴史に名を残す画家や音楽家を調べてみると、とんでもないエピソードがある場合が多く、感性豊かな人は感情的という印象をもつ人も多いでしょう。
例えば、世界で有名な画家の一人「ゴッホ」も、小さな頃から癇癪を起こしては大人たちを困らせていました。大人になってからもこの癇癪で周りの仲間とたびたび衝突して、最終的に孤立してしまいました。また、音が聞こえない音楽家「ベートーベン」も感情の起伏が激しい人だったと言われています。親切で無邪気に振舞う反面、カッとなると身近なものを投げつけてくる事がよくありました。
感性が豊かな人はこのように「ちょっと扱いづらい人」なのでしょうか。
感情的とは
感情的とは辞書を引くと「理性を失って、感情をむき出しにする状態」を指していて、主にネガティブな意味で使われる事がわかります。感情的な人なすぐに怒ったり泣いたりして、周囲の人も困惑したり傷ついたりするのです。
もちろん感情が豊かで喜怒哀楽を素直に表現する事は、けっして悪い事ではありません。しかしあまりに感情に振り回されてコントロールしきれずに、周囲の迷惑にさえなってしまっているという場合は「精神的に未熟である」と言わざるを得ないでしょう。
これは体の成長に心の成長が追いついていない、幼児期にある「イヤイヤ期」や思春期の「反抗期」を迎えている子どもと同じなのです。
芸術家に感情的な人が多いのは、感性を研ぎ澄ませるために、純粋な子どものままの心でいようとしているからなのでしょう。
芸術家はみんな感情的?
しかし、優れた芸術家が全員感情的な人だとは限りません。穏やかな画風で知られるルノワールは、落ち着いていて控えめな性格だったと言われています。あたたかい家族やたくさんの友人に恵まれ、幸せな生涯を送りました。
ベートーベンと同じ時代に活躍した「ドイツ歌曲の王」、シューベルトも小さい頃から明るくて人に優しい性格で、周囲の人に慕われていました。なので感性の豊かさと性格の善し悪しは、切り離して考えなければいけません。芸術家には「作風そのままな性格の人」もいれば「作風とは正反対の性格の人」もいるのは当たり前なのです。
ルノワールは暖かそうな光あふれる作風そのままの穏やかな人ですが、明るくて優しい性格のシューベルトは「魔王」や「死と乙女」など名前からしておどろおどろしい曲も作曲しています。
感性とセンスの違い
センスとは
感性がある人はセンスがいいのかと言えば、どうやらそういうものでもないようです。感性は「他者から発信されたもの」に対して「いいね!」と思う心ですが、センスとは他者が「いいね!」と思えるようなものを「自分が発信できる力」を指します。お洒落な服を着ている人に「センスあるね~」とは言っても「感性あるね~」とは言いませんね。センスがある人はより発信する力を磨く為に、受信するための感性が鋭い事がほとんどです。あるいは受信しているうちに、今度は自分が発信してみようと思ったのかもしれません。
音楽を聴く人が全員音楽を作れるわけではないですし、漫画をよく読むからといってみんなが漫画を書けるわけではありません。しかし優れた音楽家は人より多く音楽を聴きますし、漫画家は他の漫画もよく読んでいるものなのです。
センスがある人の特徴
ではどういう人がセンスがある人なのでしょうか。
「センスがある」と言われる人は、オシャレな服を着ている人だけではありません。仕事上で言われる事もありますし、会話している中でも「センスのある言葉選び」と言われる事もあります。
それらの人の共通している事は、どうすれば良く見えるのか分かっている事です。ファッションセンスが良い人は、全員がスタイルが良いわけではありません。自分の強みとコンプレックスを熟知していて、体型が悪い所は上手く隠し、良いところはより良く見せる事ができます。それは仕事上でも言えることで、観察力と判断力があり、納期や仕事量を調整できる人が「仕事センスがある」と言われます。言葉のセンスが良いと言われる人も効果的な言葉の使い方が分かっているのです。
センスは感性的? それとも理性的?
感性は物事を「いいね!」と思える心の事で、センスは多くの人に「いいね!」と思ってもらえる技術なのです。ファッションにも「お腹を隠す着方」や「目が大きく見えるメイク」などがあるように、絵や写真では美しく見える構図や色彩パターンがあったり、小説では多くの人が読みやすくなる文法があります。自分にセンスがないと思ったら、それは才能ではなく知識が不足しているだけなのです。
感性はものごとに実際に触れて「磨く」ことしかできませんが、センスは書籍からでも「学ぶ」ことができます。まずは作法やマナーを知る事から始まり、現在の流行を研究して、自分なりに落とし込む事で、誰でもセンスを高めることができるのです。
つまりセンスは頭で理解をする理性的なものと言えます。
感性が豊かかテストできる診断はあるのか?
感性を測ることはできるの?
感性は心の受け止め方なので、正解不正解があるわけではありません。なので学校のテストのように成績で決められるものではないように思えます。それでも「感性」についての研究者は、様々な項目をつけて感性を測ろうとしています。そのほとんどは画像による診断です。
色々な写真やイラストを見てどういう風に感じるかを答えていくもので、不機嫌そうな女性の写真を見て「嫉妬をしている」「焦っている」という項目から選んだり、同じものを違う角度から描いた絵を見て「○○という題名にはどちらが相応しいのか」と選んだりします。けれどこれで解る感性は「コミュニケーションに対する感性」や「イラストや写真に関する感性」というように、ほんの一部分だけです。学力のテストに教科があるように、感性も様々な分野で診断することが必要です。
コミュニケーション感性を測るEQ
初回公開日:2017年09月03日
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